公務員給与改定の勧告に当たって
人事院総裁談話(平成13年8月8日)
1 本日、人事院は、国会及び内閣に対し、公務員給与の改定を勧告しました。
本年は、引き続き厳しい経済・雇用情勢の中で、官民の給与較差が昨年を更に下回り、極めて低率となっています。人事院としては、こうした状況の下で、民間企業の給与改定や四現業の賃金改定等の諸事情も踏まえ、とるべき措置について慎重に検討を行いました。
その結果、特別給(ボーナス)を0.05月分引き下げるとともに、昨年に引き続き基本給(俸給表)の改定を行わず、官民給与較差に見合った年額相当額を暫定的な一時金として支給することとしました。これにより、職員の年間給与は3年連続で減少するという、厳しい勧告内容となっています。
2 人事院の給与勧告は労働基本権制約の代償措置であり、公務員給与については民間給与の動向を的確に反映させることが要請されています。
完全失業率が過去最悪の水準で推移するなど極めて厳しい経済・雇用情勢の下で、民間企業においては、引き続き給与抑制や雇用調整等の懸命な合理化努力が続けられています。
公務においても、引き続き行政組織の整理・合理化、定員の削減などに取り組んでいるところですが、職員各自がコスト意識を持ち、勤務能率の向上・業務改善に取り組むなど、業務遂行に当たって今後一層の効率化が求められていると考えます。
人事院は、このような状況を踏まえつつ、国会の附帯決議で精確な官民比較による公務員給与の適正な水準の確保が求められていること、郵政等四現業職員については賃金改定の実施が決定していること、約半数の民間企業では低率・低額ではあっても給与改善が行われていることなどを総合的に勘案し、上記のような給与改定を行うことが適当と判断しました。
3 近年、各地域に勤務する公務員の給与水準について、その地域の民間給与の実態を必ずしも的確に反映していないとの指摘があるところです。公務員給与は広く国民の理解が得られるものであることが基本であり、人事院としても、地域における民間給与の実態把握や公務部内の給与配分の在り方について、関係各省等の協力を得て、速やかに検討を進めていくこととしています。
4 また、本年は、職業生活と家庭生活の両立の支援策を充実するため、育児休業等の対象となる子の年齢の引上げ、介護休暇の期間の延長等についても、意見の申出及び勧告を行いました。
5 今日、公務員をめぐる国民の厳しい批判、行政環境の急速な変化等がみられ、これに対応するため、厳正な規律の保持とともに、能力・実績を基礎とした弾力的な人材活用や開放的な公務組織への移行が求められていると考えます。
現在進められている公務員制度改革の基本設計の具体化については、人事院としての基本的立場を踏まえつつ、これまで培ってきた専門知識等を生かし的確に協力していくこととしています。
6 公務員の給与については、人事院勧告により、情勢適応の原則に従い、マイナス方向の調整を含め適切に決定することが、国民の理解を得る上で重要であると確信します。
公務員諸君においては、3年連続で年間給与マイナスという厳しい内容の勧告となったところですが、厳しい社会経済情勢の下で、改めて、全体の奉仕者としての使命を自覚し、国民の公務に寄せる期待と要請にこたえるよう、一層職務に精励されることを要望します。
国民各位におかれては、人事院が行う勧告の意義と公務員が行政各部においてそれぞれの職務を通じ、国民生活を支えている実情について深いご理解をいただきたいと思います。
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