|
1.厚生労働省は16日、第29期中央労働委員会労働者委員の任命にあたり、連合独占という不公正任命を行った。この度重なる暴挙に国公労連は強く抗議する。
2.中央労働委員会は、不当労働行為審査、労使紛争の調整(あっせん、調停、仲裁)にあたり、労働組合法が目的とする団結の擁護と交渉の助成の実現を担う組織である。とりわけ特定独立行政法人等職員にとっては、ストライキ権剥奪の代償機関として調整を行うという重要な役割を持っている。その労働委員会の労働者委員については、労働組合の系統別の組織状況に応じた選任を行うことが、中央労働委員会の機能を十分に発揮させる上で決定的に重要である。しかも国立病院・療養所等の独法化によって、その組織状況にも大きな変化が生じている。
3.国公労連が結集する全国労働委員会民主化対策会議(全労連、マスコミ文化情報労組会議、純中立懇で組織)は、公正任命による労働委員会の機能発揮を求めてきた。ILOへの申し立てに対し、ILOは27期・28期・29選任前にそれぞれ勧告を出し、労働組合の組織状況に対応した任命を求めた。
また、福岡地裁、名古屋地裁の判決は、裁量権の逸脱と指弾し、任命基準の作成に言及している。さらに労働審判制の新設にあたって最高裁は審判員を連合と全労連の推薦に基づき公正に任命した。
4.今次29期選任については国公労連は、特定独立行政法人等担当委員候補に国公労連・堀口士郎顧問を擁立、民間企業担当委員候補の全労連・國分武顧問、出版労連・今井一雄顧問を擁立した民間労組とともに公正な任命をめざし、宣伝・署名行動などに取り組んできた。しかるに今回またしても不公正任命が行われたことは、国際労働基準であるILO勧告を無視し、地裁等での判決の指摘を踏まえず、新設された労働審判制における審判員の公正任命の状況にも配慮しないものである。厚生労働省は、中労委・地労委の機能強化の道の一つを自ら閉ざしたといわなければならない。その点で、今回の不公正任命を断固として糾弾するものである。
5.国公労連は今後も、労働組合法の精神に従い、団結の擁護と交渉の助成を通じて、労働者・労働組合の地位と権利向上のため、労働者委員の公正任命をはじめとする労働委員会の民主化に向けて運動を強化する。同時に第28期不公正任命取消し裁判に関わる不当判決(11月8日)については控訴して闘う。今回の不公正任命を乗り越え、全国労働委員会民主化対策会議に結集し、引き続き全力で奮闘していくものである。
2006年11月16日
日本国家公務員労働組合連合会書記長・岡部勘市
以上
|