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国公労連速報 2007年5月16日《No.1843》
「公務員制度改革」の国会審議がスタート
〜規制なき「天下り」自由化法案に野党各党の批判集中〜
     
 

 

 通常国会に提出されている「公務員制度改革」関連法案は、15日午後に開催された衆議院本会議で趣旨説明されるとともに、各党代表による質疑がおこなわれました。
 マスコミでも報道されているように、自民・公明政権は、7月の参議院選挙も念頭に、今国会での早期成立をねらっています。労働基本権を制約したまま、公務職場に能力・実績主義を持ち込む一方、官民人材交流センターの設置などで「天下り」を自由化する法案は認められるものではありません。公務労組連絡会では、今後、国会議員要請や委員会傍聴など国会行動を強化し、法案の廃案をめざしてとりくみを強めます。

「これで天下りは根絶できる」と強弁する安倍首相

 衆議院本会議で質問に立ったのは、細野豪志(民主)、石井啓一(公明)、吉井英勝(共産党) 、菅野哲雄(社民)の各議員で、「天下り」の規制、能力・実績主義の人事管理、労働基本権問題などで、政府提出法案への質問が集中しました。
 民主党の細野議員は、「天下りを通して、企業や団体に税金が流れ込んでおり、それを容認してきた政府の責任は重大だ」と指摘しつつ、「退職後2年間の営利法人への再就職を禁止した現行規制の撤廃は、天下り推進法案にすぎない」と批判しました。
 また、官民人材交流センターについて、中央だけでなく地方での設置をめざしていることを、「天下りのチェーン店の全国展開であり、センターそのものが官僚の天下り先になる」と指摘しつつ、どのような組織・体制で設置されるのか政府としての考えを質しました。
 これに対して、安倍首相は、「国民批判を真摯に受けとめ、年功序列から能力本位の公務員制度によって、小さくて効率的な筋肉質の政府をめざすことが改革の目的だ」と、基本的な考え方をのべ、「退職管理の適正化や、規制・監視の強化により、予算・権限などを背景にした押しつけ的な天下りを根絶する法案だ」と強弁しました。
 また、渡辺行革担当大臣は、「天下り」の事前承認の撤廃について、「官民の活発な交流によってこそ筋肉質の政府ができる。垣根を高めれば、公務員の能力を生かした再就職まで禁止してしまう」などとのべ、規制の撤廃を正当化しました。さらに、官民人材交流センターの具体的な体制については、「政府の有識者懇談会で議論し、今後、制度の設計などをはかる」との答弁にとどまりました。

「労働基本権の回復こそ民主的改革のかなめだ」と追及

 共産党の吉井議員は、「国民批判が集中している談合と天下りは、密接不可分の関係」とし、「再就職禁止期間の延長や、独立行政法人への天下り禁止など抜本的に規制を強化すべきなのに、法案は、現行でも不十分な規制を撤廃し、『原則自由』に変えるものだ。官民人材交流センターは、独立した機関と言いながら、関係府省が関与できる。これでは、天下り野放しの天下り推進センターだ」と厳しく批判しました。また、「天下り」の背景ともなっている勧奨退職制度をあらため、定年まで働ける制度にするよう求めました。
 これに対して、安倍首相は、「各府省による再就職先あっせんを全面禁止し、刑罰を設け、外部の監視も強める。これまで以上に厳しい規制となり、天下り自由という批判はあたらない」などとのべ、勧奨退職にかかわっては、「職員が定年まで働けるように、専門スタッフ職の新設を人事院にも要請している。今後、有識者懇談会の場で、総合的かつ整合的に検討する」と答弁しました。
 また、吉井議員は、能力・実績による人事管理制度にかかわって、「成績主義の導入で業績が落ち込むなど、民間ではすでに破綻した制度を公務の場に持ち込むものだ。客観的な基準がないなかでは、恣意的な評価が横行する」と指摘し、さらに、公務員の労働基本権について、「法案では労働基本権に何ら言及していない。憲法で保障する権利であり、民主的公務員制度改革のかなめでもある。ILOも繰り返し日本政府に勧告している。公務員の労働基本権をすみやかに回復せよ」とせまりました。
 安倍首相は、「評価制度の試行をすすめているところであり、実効ある人事管理制度となるようにとりくみをすすめる。労働基本権問題は、政府の専門調査会で検討をすすめており、議論をふまえて、政府としての対応を検討する」と答弁し、「労働基本権をふくめた労使関係のあり方についても、改革の方向で見直すべき」との見解を示しました。
 社民党の菅野議員は、「人事評価の権限を内閣総理大臣が持つならば、労使協議制の確立は不可欠だ」とのべるとともに、公務員の労働基本権回復にむけた検討を求めました。
 渡辺行革担当大臣は、「公正な評価制度を法案に明記している。導入にあたっては、職員団体とも十分に話し合う。労働基本権は、秋頃をめどにして最終的な結論を出すように専門調査会にお願いしている」と答弁しました。

「5・25第1次中央行動」に全国から参加を

 本会議での趣旨説明を受けて、今後、内閣委員会で法案審議が予定されています。こうしたもと、公務労組連絡会は、「公務員制度改革」関連法案の廃案をめざしてたたかうとともに、現在、衆議院で審議している社保庁「解体・民営化」法案阻止に力を集中します。
 自民・公明政権が、両法案を通して、7月の参議院選挙での国民からの支持獲得をねらっていることは明らかです。しかし、「公務員制度改革」も社保庁「改革」も、国民サービスを切り捨て、財界いいなりの制度をつくりあげるものであり、そのことを明らかにしながら、国会内でのたたかいを強化していく必要があります。
 当面する国会行動をはじめ、5月25日に配置している夏季闘争の「第1次中央行動」を全国からの仲間の参加で成功させるなど、悪法阻止と政治の民主的な転換をめざした職場・地域からの奮闘を呼びかけます。
    【※「公務労組連絡会FAXニュース」No.670(2007年5月15日)より転載】


以上

 
 
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