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国公労連速報 2007年5月28日《No.1852》
 「公務員制度改革」関連法案
 衆議院内閣委員会2日目審議
     
 

 

 「公務員制度改革」関連法案の審議が、5月23日、18日に続き衆議院内閣委員会で行われました。
 審議は、政府提出法案と民主党提出の法案で、天下り規制を巡って、官民人材交流センターによる再就職斡旋(政府案)と早期勧奨退職慣行の禁止(民主党案)の議論とともに、分限処分を含む能力実績主義の人事管理の強化を求める発言が相次ぎました。
 また、官民癒着の懸念に対する防止議論が不十分な中、官民人材交流の積極的実施を求める発言が自民・公明・民主議員から相次ぎました。
 再就職規制に関わって、民間企業から個人に誘いがあった場合には規制が及ばないことが明らかとなり、癒着防止に効果がない法案であることが判明しました。
 国民全体の奉仕者たる公務員が、一部大企業の利益追求を担う公務員に変質させられる危険性があると言わざるを得ないもので、改めて法案の廃案をめざし、委員会傍聴をはじめとする国会行動を強化するとともに、全国各地で国会議員要請や当局追及、関係機関要請など、とりくみを更に強化していくことが求められています。

 天下り規制(再就職規制)=癒着防止に効果なし

 衆議院内閣委員会で質問に立ったのは、田端正広(公明)、木原誠二・戸井田とおる・後藤田正純・寺田稔(以上、自民)、小川淳也・渡辺周・市村浩一郎(以上、民主)、吉井英勝(共産)の9名の議員で 、再就職規制(天下り規制)や官民人材交流、能力実績主義などで質疑が行われました。
 公明党の田端議員は、「公務員制度改革は結果として国民にプラスでなければならない」「行革の観点からも公務員制度改革は必要で、能力実績主義の徹底が求められる」として、民主党案は能力実績について附則にあるだけと批判。また、「政府案は公明党の意見が加えられ、天下り規制に対する罰則を評価する」と、政府案を評価しました。
 自民党の木原議員は、公務員をめざす人が減っていること、入省しても辞めていっていることの原因を「給与が安い・信頼してもらえない・やりがいがもてない」として、「年功序列の人事管理の打破が重要」で、「公務員制度改革の根本は能力実績主義だ」と強調。天下り規制に関して、民主党案を「天下り根絶はむしろ職員を公務に縛り付けるもので官民交流を妨げる」と批判。
 戸井田議員は、 再就職に関わって、「企業は公務員の個人的な技能ではなく、人的ネットワーク、情報収集能力、調整能力を期待している」「民間では子会社含め定年まで働けるが、国家公務員は毎年1万人以上が退職しており、公務員からフリーターやニートが生まれるようなことにならないか心配だが、官民人材交流センターは機能するのか」と政府案の実効性を質しました。
 後藤田議員は、民主党案に対して「新採抑制で組織体型が崩れること、定年までの雇用は高コストになる」と実効性がないと批判。また、天下りについて、透明性を確保すれば公務員としての専門性を活かすべきで、能力があれば渡りもあっていい。国民の税金を使った公務員が能力を発揮するため、外郭団体に行くこと自体はいい。問題は、能力がないのに天下り渡り歩く者がいること」と天下り自体を肯定しました。
 寺田議員は、勤勉手当の均等割要求をしている労働組合を問題視し、能力実績主義を基本に官民人材交流として「官の身分を保持したまま民間企業に出向も行うべきだ」と、ルールの確立と実施の徹底を主張しました。
 民主党の小川議員は、再就職の事後規制に関わって、談合の事例をあげながら、政府案の行為規定を実効性がないと批判。また、現行の能力実績の給与への反映が十分機能していないことを指摘しました。
 共産党の吉井議員は、「官業癒着の防止には天下り規制が必要で、官民交流で垣根を低くすれば癒着が生じる」とし、「渡辺大臣も天下りと官民交流は裏腹のものだと言ってきた」ことを指摘。「国公法130条の撤廃は天上がり・天下り奨励だ」と批判。また、談合と天下りの関係やインターネットアンケート結果(官民人材交流センターで天下りの弊害は、89%が無くならないと回答)を指摘し、渡りについて禁止規定を法律に定めるよう主張。
 民主党の渡辺議員は、天下りに関わって、求人側の意思で行われるものについて、政府案では再就職規制できない点を追及。また、現行人材バンクと政府法案の官民人材交流センターの予算規模を確認しました。
 市村議員は、早期勧奨退職慣行を止め、定年まで働けることが必要とし、再就職支援自体の必要性を追及。

 これらの質問に対する渡辺行革大臣らの答弁は、要旨次のようなものでした。
(1)再就職規制に関わって、各省斡旋の中止が抜本的な改善と言いきり、官民人材交流センターによる再就職斡旋(天下り)を肯定。
(2)能力実績主義に関わって、年功序列と各省縦割り主義の改革を行うもので、場合によって職員は減給、免職もあり得ると、能力・実績主義の人事管理の徹底を強調。
(3)「公務員が安心して働ける環境を作ることは重要として、パッケージ論を次期通常国会に提出するために懇談会を設置し検討する」と回答。
(4)天下りと官民交流との関わりの「裏腹」発言は、大臣就任時点のものと弁解し、官民癒着防止と中立公正を図りながら人材交流を積極的に進めるために法案を提出したと主張。
(5)インターネットアンケートの結果については、PR不足。
(6)阿吽の呼吸で民間から再就職の誘いがあった場合、「当該職員の能力と実績が正当に評価されて再就職はできる」と、抜け道があることを認める。
(7)現行人材バンクの運営費は、平成12年発足で18年度までに7000万円。官民人材交流センターの予算規模はまだ算定していない。(毎年退職者1万人中、早期退職4000人、うち各省斡旋2000人が対象となる)
(8)また、民主党案に対して、職員が早期退職せず残った場合、昇給停止しても600〜700万円、新人なら300万円、新採抑制しても100億円のオーダーで人件費増と批判。

以上

 
 
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