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国公労連速報 2007年6月18日《No.1865》
独立行政法人の6年を検証する
第25回国立試験研究機関全国交流集会に20機関から130人参加
     
 

 

 6月13日、国公労連と学研労協(筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会)で構成する実行委員会が主催して、第25回国立試験研究機関全国交流集会(国研集会)を、20の研究機関から130人の参加で、つくば市の研究交流センターにおいて開催しました。
 集会テーマを、「独立行政法人の6年を検証する」として、事前に組合員アンケートにとりくみ、アンケート結果も素材にしながら、集会全体をとおし国立試験研究機関の独立行政法人化から6年間が経過した研究現場についての検証を試みました。

 独法ゼロベース見直し=「整理合理化計画」策定は許さない

 冒頭、国研集会・池長実行委員長(学研労協議長)は、「経済財政諮問会議がすべての独法について民営化・廃止を含むゼロベースの見直しを表明。今月にも出される政府の骨太方針2007に独法の『整理合理化計画』を年内に策定することが盛り込まれようとしている。これは、独法の通則法による見直しというルールがある中での唐突な動きであり、到底容認できない。国研集会としても『独法の整理合理化計画策定に反対する申し入れ』を確認いただき取り組みを進めたい」と独法に関わる直近の情勢を述べたあと、「今回の国研集会は、独法6年の検証をテーマに掲げた。独法とはそもそも何だったのか、という総体についての検証と同時に、独法化後、各研究機関における研究・労働条件がそれぞれ違ってきている状況をお互い交流し、良いところを学びあって、とりくみを進めよう」と主催者あいさつしました。
 続いて、国公労連を代表して盛永副委員長が、「強行採決を繰り返す安倍内閣の国民無視の暴走は目に余る。格差と貧困をおしつけ、私たちの要求実現をはばむ構造改革路線を転換する必要がある。そして、行政減量化として導入された独法について、運営費交付金削減の弊害などを今集会で告発・検証しながら、運動の前進をはかっていこう」とあいさつしました。

 国民の目線での評価、労働組合の役割発揮が重要

 集会の記念講演は、「独立行政法人化で何がどう変わったか、何をどう変えられるか」と題して、農林水産省の独立行政法人評価委員を務める小林正彦・山梨県総合理工学研究機構総長が行いました。小林氏は、独法本来の役割が、民間による営利目的では必ずしも実施されない研究を担うことにあり、大手の民間研究所と同じような研究ではなく、農民や中小企業のための研究開発を進めることなどの大切さを訴えました。
 また、「研究機関などの独法化は公務員総定員の枠外に置く見返りに自律性を高めることを許し、同時に国民の目線からみた計画性、効率性、透明性を持つことを求めたのであるが、特殊法人等の独法化は、行政の関与を強められる程度の自律性にし、国民の目線からみた計画性、効率性、透明性を強めさせようとしたものなのである。特殊法人等の独法化は、独法制度の根幹を揺るがすことになり、独法に対する国民の目線も冷ややかなものになりつつある。制度発足後6年ではまだ進化途上であり、良くなるも悪くなるもこれからの舵取り次第」としました。
 そして、非公務員化された研究機関では労働基本権を回復したことを活かし、「労働組合は、独法を動かしていく自負を持ち、自ら変え、自ら変わっていき、国民のために進化する独法を希求すべき」と提案しました。また、自らかかわる独法の評価のあり方について「政府からではなく、国民からの目線が大切」と述べた上で、「独法の構成員が最大限の力を発揮しているかどうかの機関評価をすべきで、個人の評価は必要ない。それぞれの独法が国民の目線でどうすれば良くなるかという方向でこそ、評価をすべき」と述べました。

 アンケートに861人が参加
 独法化で業務量増、職場のコミュニケーション困難に


 続いて国研集会実行委員会・上野事務局長(国公労連中央執行委員)が、基調報告を行い、研究機関をめぐる情勢やこの間のとりくみ、集会後に総合科学技術会議に提出する研究機関統一要求案について提案するとともに、今集会にあたって事前に実施した「独法6年を検証する組合員アンケート」の結果の概要については、「861人がアンケートに参加。独法化の後、職場のコミュニケーションが取りづらくなったという声が861人中423人と多く寄せられた。事務系職場では、独法化以前と比べて、事務部門個々人の業務量は『増加したと思う』という回答が7割を超えている。研究職、技術職でも、独法化以前と比べて、研究以外の業務は『増えた』が55%となっている。研究職、技術職では、予算の使いやすさについては『どちらかというと使いやすくなったと思う』が38%の一方、『かえって使いにくくなったと思う』も21%という実態となっている。個人評価制度については導入された機関では『不満がある』という回答が多くなっている。現状に対する批判的な意見のうち、比較的多いのは各機関の運営に関することである。従来よりもトップダウン化されたこと自身に対する反感も強いが、経営陣による運営方針の妥当性に関する批判も多い」と報告し、「アンケート結果も材料にしながら、今集会の分科会などでさらに深めていただきたい」と述べました。
 その後、各単組から報告が行われ、昼食休憩をはさみ、3つの分科会(1.人材問題、2.評価問題、3.研究支援問題)を実施し、それぞれの課題ごとに独法の6年について深めました。最後に、閉会集会では、政府による独法の整理合理化計画策定に反対する緊急の申し入れをすることを確認しました。

以上

 
 
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