国公労連
国民のための行政・司法へ ストップ!憲法改悪 サイトマップ 更新履歴 個人保護法に関する宣言 リンク
Action 私たちのとりくみ Journal 定期刊行物 Archives 資料 Mail News
トップページ >ニュース> 国公労連速報
トップページ>中央のとりくみ> 国公労連速報
 
  国民のための行政・司法へ
国公労連速報 2007年7月31日《No.1891》
独法「整理合理化計画」策定の基本方針の
検討に関わって行革推進本部事務局交渉
     
 

 

 国公労連は7月30日、独立行政法人の「整理合理化計画」策定の基本方針に関わって行政改革推進本部事務局に申し入れ書(※別添)を提出し、交渉を行いました。交渉は、国公労連・上野独法対策部長を責任者に、各単組、独法労組代表ら10人が参加、行革推進本部事務局側からは平島、轟両参事官補佐が対応しました。
 冒頭、上野独法対策部長が、申し入れ書に基づき、「年内に決定しようとしている『整理合理化計画』はすべての独法を廃止・民営化・民間委託・市場化テストのいずれかの対象とするもの。独法の見直しにあたっては『良好な労働関係に配慮する』(中央省庁等改革基本法)ことが必要であり、『整理合理化計画』作成の各段階で我々労働組合の意見を十分聞きながら進めるべきだ。そもそも独法は国民生活と密接に関わる事業を行っているわけで、廃止・民営化等とは無縁と考えるが、『整理合理化計画』の年内策定が閣議決定され、8月上旬にも計画策定の『基本方針』が決められようとしている。この状況をふまえ我々は、『基本方針』について、(1)独法通則法に反する一律・画一的な内容としないこと、(2)中期目標・中期計画との整合性を持たせ、業務の混乱や非効率を発生させないこと、(3)効率化追求のみでなく、国民サービス向上に資するものとすることを求める。そして、行政減量・効率化有識者会議、行革推進本部事務局は、今後『整理合理化計画』策定の各段階において事前に国公労連と交渉・協議を行うことを強く要求する」と迫りました。(以下、主なやりとり。○は国公労連側、●は行革推進本部事務局側)

 ● 独法の「整理合理化計画」は骨太方針で決められ閣議決定され、政府全体で進めていく。骨太方針には原則的な観点は書かれているが、個別にどう見直していくかは不明なので、各省が個別に見直していくにあたって基準になるものが必要ということで「基本方針」のとりまとめ作業を、我々が事務局となり行政減量・効率化有識者会議(有識者会議)でいま進めている。見直しの基準となる「基本方針」では、独法制度が作られて一定の期間が経過した中で、もともと制度が考えていたものと合致しているかどうか原点にかえって検証することが課題となる。独法通則法に基づいてやってきているわけだが、時代の変化とともに要請されているものと合致しているかどうかの検証が必要で、随意契約の問題や、公務員制度の動き、市場化テストなど新しくできてきた制度などもふまえた新しい観点で、独法全体として批判を受けてきているものを見直す必要も出てきている。個々の独法がどうこうというわけではなく、101の独法全体について共通の観点で見直す必要があるということだ。  ○ 「整理合理化計画」策定の「基本方針」は、閣議決定をすることになるのか。
 ● 「基本方針」については、閣議決定を行い、政府全体の意思決定として見直しをやっていくことになる。
 ○ 具体的なスケジュールはどうなるのか。
 ● スケジュールについては、見直す時間が多くあった方がいいと我々も思っているが、年末を目途に計画策定ということで後ろを切られているから、逆算で必要な議論の時間を確保せざるをえない。それに先だって主務大臣として法人の見直しについての考え方を決める必要がある。それもなしに一方的に決めるという話にはならないので、各主務大臣の考え方を聞いて、必要な議論、必要な説明を聞いていく手順を考えると検討の時間をあまりとれないのが現状だ。できるだけ早く考え方のベースとなる「基本方針」を決めたいと思っているが、まだ決定できるだけの段階に至っていない。もう少し時間がかかると思うが、いずれにしても8月末までに見直し案を各主務大臣に出してもらう関係でいうと早急に「基本方針」を決めたい。
 ○ 我々の申し入れ書を、有識者会議に配布していただきたい。
 ● 文書の方は、有識者会議の座長に渡す。他の委員への配布については座長と相談してみる。我々として異論があるわけではない。
 ○ 今後、我々と節目節目で交渉・協議を持っていただきたい。
 ● 今後の具体的なスケジュールは、実際の作業を始めないと見えて来ないところだが、節目節目で連絡を取らせてもらいながら相談させていただく。
 ○ 次の有識者会議の日程は決まっていないのか?
 ● 8月の頭で開く予定だが、正式に確定はしていない。我々はできるだけ早く「基本方針」を確定したいと思っているが、有識者会議をやってみないと分からない。
 ○ 節目節目に説明するということは、次回は「基本方針」が決定され、その説明ということでいいか。
 ● 了解した。
 ○《全運輸・自動車検査労組》 自動車検査はこの4月から第2期中期計画を始めたところだ。今年4月には非公務員化までされて、個別に財政を確保すること等もやって、ある意味独法の精神に基づいてまじめにやろうとしているのに、今回また一から見直す、すべての独法を見直すというのは、現場の人間からすればこれまで見直してきたことは一体何だったのか、この何年間、一所懸命やってきたのは何だったのかという話になっている。そういう怒りの声が職場で出されている。そもそも独法はそれぞれの業務が違っており、だから101あるわけで、それを無理矢理全部同じ基準で見直すこと自体が理論的にも無理がある。有識者会議の議事録を見ていても独法の業務分類では検査検定部門は医療と同じところに入れられているが、それも納得できない。仮に見直しの結果、自動車検査ができなくなり、国民の安全・安心に支障が出ても有識者会議は責任など取らないだろう。最終的には現場が責任を取ることになるのではないか。そうした影響をもっときちんとした形でふまえて検討する必要がある。事務局が有識者会議にどれだけ意見を言えるのか知らないが、なんでも彼らが決めたからと乱暴なことがまかりとおっているが、異常な事態だ。ぜひ職場の思いをきちんとふまえた上で検討すべきだ。事務局はきちんと情報を我々に提供し、我々の意見をきちんと聞くべきだ。
 ○《全経済》 閣議決定の原点に立ち返って見直すというが、そもそも独法の原点は、効率化とともに国民サービス向上がうたわれているところだ。しかし、この間の有識者会議の議論は、効率化一辺倒でしかない。3兆円のうち2兆円は削減しろとか、いくついくつの法人を何割カットするとか、そういう議論しかされていない。これは本末転倒だ。個別に行政サービスの提供をする必要があるから個別の独法は存在するわけで、国民サービス向上の視点を持った上で見直しをすべきだ。例えば製品評価機構の職場では、パロマの製品事故などで消費生活用製品安全法の改定があり、それに対応するために土日出勤したり徹夜で働いている。そこにも一律で人件費削減がされて、現場は非常に苦しい思いをしている。そうした行政現場の実態を無視するような見直しは絶対に納得できない。真に国民サービスを充実させる観点から見直すべきだ。それから、見直しが頻繁に行われると職場は混乱して逆に非効率になり、行政サービスが低下することになる。例えば産総研は2001年に16の研究機関を統合して、それから3年も経過しないうちに組織・業務見直しで改変される。そんなことをやっていると研究現場は研究する場所や機器の移動から始まって煩雑な業務が発生し、事実上研究はストップしてしまう。こうした経緯もあることをふまえるべきだ。
 1点質問だが、7月12日に有識者会議が開かれ、13日に経済同友会の提言(独立行政法人の徹底した見直しを〜「整理合理化計画の具体的な策定方針」の決定に向けて)が出されており、研究機関については自然科学系と社会科学系を大括りに統合するとか、地方公共団体や国立大学法人へ移管するなどと主張されているが、このことについて有識者会議で議論されたり、提言が配布されたりしているのか。
 ● 経済同友会の提言は承知しているが、提言が配布されたり、議論の遡上にのぼったりはしていない。
 ○《全医労》 国民への医療サービスの低下をきたさない観点から見直しをすべきだ。国の医療行政の推進という観点からも国立病院の全国ネットワークの確立充実強化がますます求められる状況になってきている。医療改革との関連で、我々が全面的に賛成しているものではないが、4疾患5事業が言われ、癌・脳卒中・心筋梗塞・糖尿の4疾患と、救急医療・災害時医療・へき地医療・周産期医療・小児医療の5事業の医療連携体制を各県ごとに確立せよということで、その中で国立病院の果たしていく役割や位置づけが益々大きくなってきている。そして、重症心身障害者、筋ジス、結核、精神など他の医療機関では担えない不採算な政策医療を担っている国立病院機構の役割をきちんと認識した上で見直すべきだ。
 ○《全通信》 情報通信研究機構は、2001年に独法化、2004年には特殊法人と統合して職場は非常にたいへんな状況だった。そして昨年4月に第2期中期計画がスタートし、その際にも大幅な組織見直しがされ、職場は疲弊している。それでもやっと落ち着いて研究業務に取り組めると思っていた矢先に今回のゼロベース見直しは納得できないし、各省の見直し案が8月末までというあともう1カ月もないなかでの性急な見直しには怒りを感じている。見直しにあたっては職場実態をきちんとふまえるべきだ。
 ○《全建労》 土木研究所は2001年に独法化され、中期計画の見直しでは、北海道開発土木研究所の統合、さらには非公務員化された。中期計画の見直し時には一定の時間をかけて見直しがされている。しかし、今度の見直しは8月末に各省に見直し方針を出せとしながらいまだにそのベースになる「基本方針」さえも出されていない。わずか1カ月足らずの期間で見直せというのはいかにも乱暴ではないか。国民のためにどうあるべきかという視点を十分ふまえるべきだ。
 ○《国公労連》 今日参加できないが統計センター労組から文書で意見をもらっているので、その要旨を述べる。
 統計は国の政策を立案する基盤になるもの。その業務は調査の企画・実施・集計・結果表まで一連して行われてこそ、中立と公正が保たれる。また、重要統計を正確に作成するためには、信頼と協力が必要であり、個人情報や企業秘密は国家公務員で守秘義務があってこそ守られる。さらに、政府統計に携わる職員の育成のためには、人事交流がしやすい公務員の身分が重要だ。統計センターの集計業務は、その政策の一端を担うものであり、利潤を追求することを本来の目的とする民間企業に託せる性質のものではない。政府統計は国民の共有財産であり、遅れることなく、正確に統計結果を出すことが求められる。また、結果数値は欠損地域や欠損時期があっては使い物にならない。その集計業務を行う統計センターは、職員も公務員の身分である特定独立行政法人としての組織でこそ、公正・正確性を保証・維持できる。
 ● 中期計画の見直しは一定の時間をかけてやられていることは理解しているが、今回の見直しは切り口が違う。独法の制度自体がいろいろ批判されている。制度そのものも時間が経過して他のいろいろな観点も折り込みながら見直しをしていかなければいけない。通則法の見直しというのは法律に基づいてやられていて、それがきちんとやられているのはそのとおりだと思う。しかし、時代は急速に動いていて、他の観点が折り込まれているかのチェックが必要になっている。一律・画一的という点も見ていく基準として全体の独法について検証しなければならない。逆に言うと1回見直しをしたことによってまったくそういう観点でのチェックが必要でなくなるはずだ。新しい見直しの視点は、時代が動いて出てくるものがあり、そういった点について検証する必要があるということだ。時間的制約もあり、議論が短期間の中でこなさざるをえない点は否めないが、5年前10年前とくらべるといろんなチェックのテンポが上がっていることも事実だし、我々も政府として決めたことをできるだけ無理がないようにスケジュール通りに円滑に回したい。

 ○ 業務の混乱が起こったり、非効率が発生したりすることは、どう考えるのか?
 ● 数年の間でいろんな組織見直しが行われている。先行独法と特殊法人改革との絡みなどそのたびごとに組織改編が行われている。現場としてそういう作業を行わざるを得なかったということも理解できる。そういう意味であまりにも短期間で実際に現場では体制の整備だけで時間を取られるというのも理解できる。それと、中身の話として行政サービスの提供と効率性のバランスがどうなのかという問題だと思う。そのへんのバランスはそのときどきの時代時代の国民的な要請によって変遷してきているのも事実だと思う。その中で要請されているものをふまえていかなければいけないということだ。
 ○ 時代のせいにしているようだが、参院選挙で安倍内閣の構造改革路線が否定されたという時代の変化をきちんとふまえるべきだ。そもそも一部の独法の官製談合問題が全体の独法に波及しているということではないのか。
 ● 一部の独法ではなく、そもそも公的部門がどうなのか、という議論がまた別の議論としてある。全体の独法をどう考えるのか。公共サービスをどう考えるのか、もっと大きな話としてある。政治としての判断の話がある。独法に意義がないわけではなく、時代の要請とのバランスで再チェックが必要ということだ。
 ○ 削減ありきで物事が進んでいる。きちんと業務を見るのではなく、先に結論があるのはあまりにも乱暴すぎる。主務省側も納得できないだろう。この間の見直しについても主務大臣と一定やっているが、主務省の意見が有識者会議や事務局の意にそぐわないと別の考えが押しつけられる。各省の計画案が最大限尊重されるべきだ。その精神をつらぬくべきだ。ゼロベース見直しであまりにも安易に独法の廃止が言われているが、雇用という大事な点、労働者の権利がないがしろにされている。雇用の保障をどうするのかをきちんと考えるべきだ。
 ● これまでの独法の見直しとも通じる問題だが、一概に主務省の意見を尊重するとは言えない。最初に出て来た主務大臣の原案がスタートになることは事実だが、その後の議論はいろんな観点からされることになる。雇用の問題もあわせて議論されるはずだ。

 最後に、上野独法対策部長が、我々労働組合の声を有識者会議にきちんと反映させていくことと、今後の動きにあわせた交渉・協議を行っていくことをあらためて確認して交渉を終えました。

〈別添〉

  2007年7月30日

行政減量・効率化有識者会議
    座長 茂木友三郎殿
日本国家公務員労働組合連合会
                       中央執行委員長 福田昭生


  独立行政法人・整理合理化計画策定の基本方針についての申入れ書

 貴会議は、「骨太方針2007」に基づき独立行政法人の整理合理化計画の作成を目指して現在、基本方針の検討を進めており、8月上旬にもとりまとめられ、閣議決定されようとしている。
 年内に策定される整理合理化計画は、全ての独立行政法人(101法人)及び事務事業について廃止もしくは民営化や民間委託の検討対象とし、存続させる独立行政法人の事務事業もすべて市場化テスト導入の検討対象とする内容であり、独立行政法人の職員の業務と労働条件に大きく影響を及ぼすこととなる。中央省庁等改革基本法にも独立行政法人の見直しにあたっては「良好な労働関係に配慮する」とされており、こうした整理合理化計画は当然、各段階で独立行政法人の現場の声を十分聞きながら、策定されねばならない。貴会議も基本方針の検討の段階で我々の声を聞くべきである。
 今回の整理合理化計画策定の動きは、一部独立行政法人の官製談合をきっかけに浮上し、全ての独立行政法人を対象とする計画へと拡大したものである。しかし独立行政法人の多くが国民の権利保障をはじめ国民生活と密接に関連する業務であって、国自らが直接実施する必要がないものの確実に実施される必要のある事務事業(民間主体では確実に実施される保障がない事務事業)を行っていることから、独立行政法人の多くは廃止・民営化とは無縁である。また、市場化テストについては、この間官が民より優れていることが明らかになっていることもあり、独立行政法人の事務事業全体を市場化テストの検討対象とするのは無謀と言わねばならない。
 そもそも独立行政法人は通則法第35条によって中期目標の期間の終了時に業務を継続させる必要性、組織の在り方など全般にわたる検討を行っている。各独立行政法人においても既に第1期の中期目標終了時の組織・業務全般の見直しが行われ、第2期中期目標・中期計画に反映されて、現在、その目標達成のために努力が行われている。
 以上の趣旨から、貴職に対して下記の点を申し入れるものである。



1.基本方針は、整理合理化計画が独立行政法人通則法の趣旨に反する、一律・画一的な内容とならないように策定すること。

2.基本方針は、整理合理化計画が中期目標・中期計画と整合性を持ち、業務の混乱、非効率を発生させないように策定すること。

3.基本方針は、整理合理化計画が効率化の追求のみではなく、国民サービス向上に資する計画となるように策定すること。

4.行政減量・効率化有識者会議は、整理合理化計画策定の各段階において事前に国公労連と交渉・協議を行うこと。

以上


        2007年7月30日

行政改革推進本部御中
   日本国家公務員労働組合連合会



 「独法・整理合理化計画策定の基本方針についての申入れ書」について

 貴組織は、独立行政法人・整理合理化計画の基本方針策定へ向けての検討を進めておられるが、本日、貴組織に設置されている行政減量・効率化有識者会議に対して「独立行政法人・整理合理化計画策定の基本方針についての申入書」(別紙)を提出したところである。貴組織におかれても、この申し入れ事項の趣旨(別記)にそって基本方針の検討を行われるよう求めるものである。

(別記)行政減量・効率化有識者会議宛の「申入書」における申し入れ事項

1.基本方針は、整理合理化計画が独立行政法人通則法の趣旨に反する、一律・画一的な内容とならないように策定すること。
2.基本方針は、整理合理化計画が中期目標・中期計画と整合性を持ち、業務の混乱、非効率を発生させないように策定すること。
3.基本方針は、整理合理化計画が効率化の追求のみではなく、国民サービス向上に資する計画となるように策定すること。
4.行政減量・効率化有識者会議は、整理合理化計画策定の各段階において事前に国公労連と交渉・協議を行うこと。(「行政減量・効率化有識者会議」については「行政改革推進本部」と読み替える)

以上

 
 
ページの先頭へ