独法整理合理化計画策定(今年12月末)へ向けて検討を進めている行政減量・効率化有識者会議(行革推進本部に設置)の個別法人ヒアリングが10月31日に終わりました。ヒアリングは、8月末に各省から提出された各独法見直し案を踏まえて、9月26から開始され、約1カ月間行われました。
今後は、ヒアリング結果もふまえて横断的事項検討が行われ、11月中下旬には指摘事項取りのまとめ検討がなされます。11月が独法整理合理化計画策定の山場です。運動の一層の強化が求められます。
▼行政減量・効率化有識者会議の進め方
8月10日 「独法・整理合理化計画の策定基本方針(見直し基準)」閣議決定
8月末 各府省整理合理化案提出
9月26日 ○個別法人ヒアリング開始
10月 1日 ○関連会議から検討状況の説明(政策評価・独立行政法人評価委員会、規制改革会議、官民競争入札等監理委員会、資産債務改革の実行等に関する専門調査会)
10月31日 ○個別法人ヒアリング終了
11月上中旬 ○横断的事項検討
11月中下旬 ○指摘事項取りまとめ検討
12月下旬 整理合理化計画行政改革推進本部決定・閣議決定
★新聞投書行動を、独法・整理合理化計画問題で
一般新聞の投書欄で広く世論喚起を行うため投書例文を4例紹介します。執筆にあたっては例文を参考にしつつ、自分の意見を自分のことばで書くようにします。ボツをおそれず、投書にも挑戦してみてください。
例文1 新たな「整理合理化計画」は不要
政府は、すべての独立行政法人(1011法人)とその事務事業について廃止・民営化を含む「整理合理化計画」を今年12月に策定しようしている。
しかし、各独法は3年から5年の業務期間の終了時に総務省・独法評価委員会による評価を受け事務事業の改廃を含めた見直しを行っている。独法の存在意義は日常的に検証済みであり、新たな整理合理化計画は不要。計画策定作業は二重行政であり、無駄だ。
もともと独法は、国民生活や社会経済の安定にとって確実に実施される必要のある事務事業であって、国自らが直接は実施しないが、民間にゆだねた場合、必ず実施される保障のないない事務事業を行っている(独法通則法第2条)。例えば(独)国立病院機構はがん・脳卒中・心疾患の高度医療や重症心身障害や筋ジストロフィー・神経難病の政策医療、へき地医療などを行っている。また(独)製品評価技術基盤機構はガス湯沸かし器による死亡事故など事故情報を収集、原因を究明して安全対策を提供している。こうして民間では困難な分野を担っている。
国民生活を支える独法は廃止・民営化すべきではない。存続・拡充を図るべきだ。
例文2 独法見直しは国民サービス低下に
政府は独立行政法人の「整理合理化計画」を今年12月に策定するため、独法の見直し基準(策定基本方針)を8月に決めた。
ところが見直し基準は、独法の事務事業について「真に不可欠なもの以外はすべて廃止」とし、廃止しても国民生活や社会経済の安定に「著しい悪影響を及ぼす事務事業でなければ不可欠なものとならない」としている。結局は、多少の悪影響は仕方がないと居直り、事務事業の切り捨てをねらっている。政府自らが国民サービス低下を是認し、行政の責任放棄を宣言しているのであり、とんでもないことだ。
もともと独法は、国民生活や社会経済の安定にとって確実に実施される必要のある事務事業であって、国自らが直接は実施しないが、民間にゆだねた場合、必ず実施される保障のない事務事業を行っている(独法通則法第2条)。「確実に実施される必要のある事務事業」なのに、廃止した場合の影響度で区分けして遮二無二、業務を切り捨てるのは無謀だ。「小さな政府論」を大きな柱とする構造改革路線は格差と貧困を生み、参議院選挙で否定されたはず。整理合理化計画策定は中止すべきだ。
例文3 小さな政府論は誤り。独法の存続・拡充を
政府は構造改革の一環として「小さな政府」を掲げ、全ての独立行政法人の整理合理化計画を作り、廃止、民営化を進めようとしている。しかし独法は国民生活や社会経済の安定にとって確実に実施される必要のある事務事業であって、国自らが直接は実施しないが、民間では実施される保障のない事務事業を行っている。廃止、民営化してはならない。
そもそも日本は先進国の中では既に一番「小さな政府」となっている。総務省HPによれば、人口1000人当たりの独法を含む公務部門の職員数(国と地方の公務員、独法など政府企業、軍の計)は仏88人、英80人、米78人、独56人に対し、日本は33人と最少である。日本の公務部門は少人数で頑張っているのだ。
今、各独法は国からの運営費交付金が毎年1%削減され苦しんでいる。例えば(独)製品評価技術基盤機構はガス湯沸かし器による死亡事故など事故情報を収集、原因を究明して安全対策を提供して国民の安全と安心を支えているが、運営費交付金削減によって試験機器が十分に購入できない実態がある。
国民生活を支える独法は廃止・民営化せずに存続させ、人員、財源の拡充を図るべきだ。
例文4 財源を確保し、独法の拡充を
政府は構造改革による「小さな政府」を目指すについて、「国の膨大な借金を減らすためだ」といってきた。すべての独立行政法人(101法人)について廃止・民営化を検討する整理合理化計画を策定していくについても「膨大な借金」を強調している。
しかし政府は、借金の本当の原因である「無駄な公共投資と大企業への過度の減税による税制空洞化」を温存しており、メスを入れていない。
一方で、各独法は国からの運営費交付金が毎年1%削減され苦しんでいる。例えば(独)航空大学校は、世界的に航空交通量が増加する中、優秀なパイロットを安定的に供給するため、教育活動を進めているが、原油値上がりで訓練飛行にも支障が出かねない状況にある。
(独)研究機関は、長期的視野に立って国民生活と多様な産業活動を支える基盤となる科学技術の基礎研究をすすめているが、運営費交付金削減に伴う外部資金の導入促進に係わってデスクワークが増え、研究者が本来の研究活動が十分に出来ない実態がある。
政府は、無駄な公共投資の削減をするとともに大企業への優遇税制を是正し、財源確保すべきである。国公労連の税制改革提言では14兆円の財源が出来る。こうした財源を独法に回し、業務の拡充を図るべきだ。
以上
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