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国公労連は11月28日の中央行動の取り組みの一貫として、行革推進本部事務局に対し、独立行政法人の整理合理化計画に反対する署名4万8182筆を提出するとともに交渉を実施しました。交渉には、責任者の国公労連・盛永副委員長をはじめ、各単組、独法労組の代表ら14名が参加し、行革推進本部事務局側は、浅野参事官と長井参事官補佐が対応しました。今回の交渉は前半で、全医労(公務員型維持など)、全厚生(栄養研の単独存続)、総理府労連・統計センター労組(公務員型維持)、全経済(評価機構の国民生活センターなどとの統合反対)、それぞれの単組による申し入れ交渉を連鎖的に実施し、最後に国公労連として申し入れ交渉を行いました。
冒頭、盛永副委員長が4万8182筆の署名を浅野参事官に提出(写真)し、申し入れの趣旨を述べ、要旨以下のやりとりを行いました。(※別添の申し入れ書参照。国公労連側は○、行革推進本部事務局側は●)
○ 独法の廃止・民営化等を前提とした国民サービス切り捨ての「整理合理化計画」を策定しないよう求める。
● 我々は筋肉質の公共部門を確立して、よりよい国民サービスを提供していくことを基本としており、切り捨てを前提としているわけではない。
○ そもそも独法は、通則法で中期目標終了時に評価を受け、組織と事業の改廃を含めてあらためていく仕組みとなっており、いわば手続きとして決着済みのことを「整理合理化計画」で行う必要がないといえる。
● 「整理合理化計画」は一種のレビュー(検証作業)をやっているわけで、独法の従来の見直しの仕組みと矛盾しないように、我々は、総務省の政策評価・独法評価委員会をはじめ、各府省独法評価委員会と連携している。過去に決着したことを無視しているわけではない。
○ 「整理合理化計画」の策定基本方針で、「真に不可欠なもの以外はすべて廃止する」とし、「国民生活や社会経済の安定等の公共上、著しい悪影響を及ぼすものでなければ不可欠なものとならない」と、多少の国民生活への悪影響は仕方がないと居直っていることは大問題だ。むしろ、国民サービス充実の観点から、独法の事務事業の拡充をはかることが必要だ。
● 必要な国民サービスは確保し、効率的に提供することを考えており、国民生活に悪影響があってもいいというつもりはまったくない。ただし、何十年も同じ仕事をするというのはありえず、PDCA(計画・実施・監視・改善)の中でつねに見直していくということだ。独法の拡充についても否定しているわけではなく、総務省評価局など我々とは違うところで考えられているはずだ。ただし、民間がやれる分野に出ていくことはない。
○ 万一「整理合理化計画」を策定する場合でも職員の雇用の継続は必ず行うよう求める。
● 昨日(27日)、政府に提出しマスコミ発表もした行政減量・効率化有識者会議の「独立行政法人整理合理化計画の策定に関する指摘事項」の最後の項目として「雇用問題への対処」をあげ、独法の廃止等に伴う職員の雇用問題について、「政府関係機関などにおける受入措置等により、横断的な雇用確保に努力」すると明記しているところだ。我々としても雇用の問題は重要だと認識している。
○ マスコミ報道で、「11法人廃止・民営化案提出」などと報道され、独法の個別名のリストをマスコミに配布したのに回収するなど迷走ぶりが伝えられているが、どうなっているのか。リストアップしたのは11の独法だけなのか。
● 個別名や数だけが一人歩きするのは問題だと判断した。有識者会議によるヒアリングは49独法にのぼっていることもあり、リストアップした独法は11より多いことは確かだ。
○ 有識者会議のホームページに、ヒアリングの資料などが掲載されているが、内容がよく分からず、説明責任をきちんと果たしていないのではないか。リストアップした独法名についてもきちんと説明責任を果たすべきだ。また、研究機関独法について、大学で研究をすればいいとか、いくつかの研究機関を統合してしまえばいいなどの検討がされているが、実際に現場はヒアリングされていないし、きちんと研究の現場をふまえた議論になっているとはとても思えない。統合によるシナジー効果(相乗効果)があるなどと言われるが、結局、研究環境を壊す統合となるのではないか。研究現場をきちんと見て、研究環境を改善することを第一に考えるべきだ。
● 資料の掲載は、細かな議論よりもポイントを絞った形で掲載していることを了解願いたい。研究機関が国にとって大事だという認識は持っている。研究現場を有識者会議の委員全員が見ているわけではないが、委員の中には研究現場を知っている方もいるので指摘された点もふまえているつもりだ。
○ 「整理合理化計画」は今後どういうプロセスをふむのか。有識者会議はどうかかわるのか。
● 「整理合理化計画」は、来週いっぱいをかけて、政府内で各省大臣折衝を行い、12月20日頃に閣議決定する予定になっている。今後、有識者会議が報告書を作成したりすることはもうない。閣議決定前に有識者会議に内容を見せる程度だ。
最後に盛永副委員長が、国民サービス切り捨てとなる整理合理化計画の政治決着は許さないことを再度強調し、交渉を終えました。
《別添》
2007年11月28日
行政改革担当大臣 渡辺喜美 殿
行政減量・効率化有識者会議座長 茂木友三郎 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 福田昭生
独立行政法人整理合理化計画策定に関する申入れ書
政府、行革推進本部は、独立行政法人整理合理化計画の策定を目指して、全独立行政法人(101 法人)とその事務事業について廃止もしくは民営化、民間委託の検討対象とし、存続が必要な独立行政法人の事務事業についてもすべて市場化テスト導入の検討対象とする検討を進めており、今年12月末には同計画を閣議決定するとしています。
しかしながら独立行政法人は、その通則法で、中期目標の期間(3 年から5 年の期間)の終了時に総務省の独立行政法人評価委員会等の評価を受け、事務事業の改廃を含めてその後の事務事業・組織の方向を決める仕組みとなっており、すでに多くの法人がそうした見直しを行っています。新たな「整理合理化計画」を策定する必要はありません。
また、計画策定のための独立行政法人の見直し基準である「策定基本方針」(8月に閣議決定)は、独法の事務事業については「真に不可欠なもの以外はすべて廃止する」とし、「当該事務・事業の廃止が国民生活や社会経済の安定等の公共上、著しい悪影響を及ぼすものでなければ不可欠なものとならない」としています。結局、多少の悪影響は仕方がないと居直り、国民サービス低下を是認し、行政の責任放棄を公然と宣言しています。
独立行政法人は、国自らが直接は実施しないが、民間にゆだねた場合、当該事業が必ず実施されるという保障がなく、実施されないときには、国民生活や社会経済の安定に著しい支障が生じる事務事業を行っている組織(独立行政法人通則法第2条)であり、廃止・民営化すべきではありません。
私たちは、医療、検査、試験研究、技術開発、情報提供など国民生活を支える事務事業を行っている独立行政法人の存続・拡充を求め、下記の事項を申し入れるものです。
記
1.独立行政法人の廃止・民営化・民間委託等を前提とした、国民サービス切り捨ての「整理合理化計画」を策定しないこと。
2.国民サービスの向上を図るため、独立行政法人通則法と各独立行政法人の運営ルールである中期目標・中期計画にそって、独立行政法人及び事務事業の存続・拡充をはかること。
3.万一「整理合理化計画」を策定する場合でも、国として責任を持って職員の雇用の承継を行う措置をとること。
以上
◆公務全体の破壊につながる攻撃はねかえそう!
独法決起集会を101人の参加で開催
各省交渉を強め、譲歩を許さない運動を
11月28日の中央行動の最後に、国公労連は社会文化会館において独法決起集会を101人の参加で開催しました。開会にあたって、盛永副委員長が、「政府は、すべての独法に対して、廃止・民営化等を強行しようとしている。この攻撃は単に独法にかけられている攻撃ではない。骨太方針2007では、政府が果たすべき機能の見直しの第一弾として独法改革を行うとしており、第二弾は、行政全体に攻撃をかけてくることは明らかだ。地方支分部局の廃止、最終形は道州制をめざしている。これらの真の狙いは、国民のための行財政から財界・大企業に奉仕するための行財政への変質であり断じて認めるわけにはいかない。今集会においてお互いが奮闘することを誓い合い、国民生活にとって必要不可欠な業務の廃止・民営化をはねかえす運動を展開しよう」とあいさつしました。
つづいて、国公労連独法対策部・井上書記が、当日行われた行革推進本部事務局交渉の結果と、11月17日に開催した「一方的な整理合理化を許さない つくば集会」のパネルディスカッションの概要を、パワーポイントを使って報告。その後、国公労連・上野独法対策部長が、国公労新聞見開き特集(11月25日付)を参照しつつ、この間の取り組みを含めた情勢報告を行い、混沌とした政治決着の様相となっており、いま取り組んでいる署名行動の追い上げや、12月12日を中心とする全国統一宣伝行動での奮闘、新聞投書、また各政党要請を行っていくことを強調。そして、特に各単組・独法労組それぞれが各主務省の動きを注視し、主務省が行革担当大臣などの圧力に屈しないよう交渉を強め、機敏かつ強力な運動を展開していこうと述べました。
決意表明では、最初に、国土交通共闘(全建労、全気象、全港建、全運輸の4つの単組と、国公労連未加盟の独法の海技大学校職組、海員学校職組、6つの労組の共闘組織)の安藤事務局長(全運輸書記長)が、「整理合理化計画で、国交省の6つの研究所を1つに統合しようとする攻撃と、船員教育関係の統合などの攻撃がかけられている。いずれも業務内容が異なるにもかかわらず、同じ研究、教育だから1つにしろという乱暴な攻撃で、雇用や労働条件・研究環境の悪化、国民サービス切り捨てになる。また、自動車検査では市場化テスト、航空大学校では民営化をそれぞれ部分的に検討せよという大きな圧力がかけられている。公務職場全体の破壊につながる攻撃をはねかえすために全力をあげたい」と語りました。
引き続いて、「医療崩壊が大きな社会問題となっている中で、地域医療を支える国立病院は、整理合理化(非公務員型への移行)ではなく拡充をはかる必要がある」(全医労・岩崎委員長)、「統計センターは、市場化テスト、民間開放、そして今回の整理合理化(非公務員型への移行)と、三重苦の攻撃をかけられている。国の政策基盤となる統計業務を守るために奮闘したい」(総理府労連・統計センター労組)、「昨日の有識者会議が発表したリストに、国立健康・栄養研究所が廃止・民営化の対象として掲載された。理屈のないリストアップに怒りをおぼえる。はねかえすため、全力でたたかう」(全厚生・杉浦副委員長)、「製品評価技術基盤機構の一部分を国民生活センターなどと統合するという攻撃がかけられている。業務の一部分を切り離すと機能不全となり、消費者の安全を守ることができなくなる。製品評価技術基盤機構労組では明後日、緊急の決起集会を開催し様々な取り組みを展開する」(全経済・広沢書記長)と、一方的な整理合理化の動きに対する怒りと反撃の決意が語られました。
連帯あいさつには、特殊法人労連・篠原事務局次長がかけつけ、「特殊法人労連傘下では、都市再生機構の廃止・民営化と、日本学生支援機構の奨学金事業の見直しがリストアップされている。奨学金は『教育の機会均等』を保障する制度なのに、有利子3%上限金利も撤廃して教育ローン化しようとしている。国民サービス切り捨ての整理合理化計画を、力を合わせてはねかえそう」と述べました。
最後に国公労連・香月書記次長が閉会あいさつし、「くしくも本日の参加者は101人で独法数101と同じとなった。12月中旬に向け独法署名を追い上げ、宣伝行動などを強化しよう」と述べ、決起集会を終了しました。
以上
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