専門調査会の報告をふまえて具体的な検討を
〜労働基本権の早期回復を求めて行革事務局長と交渉
協約締結権の付与、人勧制度の廃止などを内容とした政府の専門調査会の「最終報告」が示されるもと、全労連「公務員制度改革」闘争本部は4日、行革推進本部事務局の福井事務局長に対して、公務員の労働基本権の早期回復を求めて交渉しました。
交渉では、最終報告をふまえて、制度の具体的な検討に政府として着手するとともに、「両論併記」として結論を見送った争議権、消防職員などの団結権の保障をふくめ、ILO勧告に沿った民主的な公務員制度の確立を強く求めました。
有識者懇談会での議論をうけ、法案提出の準備をすすめる
行革推進本部事務局との交渉には、闘争本部からは、小田川本部長、寺間事務局長、副本部長をつとめる自治労連の大黒委員長、全教の米浦委員長、国公労連の福田委員長のほか、公務労組連絡会の黒田事務局長(闘争本部事務局次長)、自治労連・野村書記長、国公労連・岡部書記長が出席、行革推進本部事務局は、福井良次事務局長、株丹達也事務局次長、堀江宏之参事官が対応しました。
はじめに小田川本部長は、別掲の「申し入れ書」を提出し、「10月に出された最終報告は、協約締結権の付与を示す一方で、争議権・団結権は、現状と変わらないものとなっている。その点では、報告は『通過点』に過ぎないとの評価だ。最終報告を経て、政府として、これを具体化する段階に来ていると考えるが、申し入れ事項にもあるように、何よりもILO勧告に沿った検討をあらためて政府に求める」とのべたうえ、現在の検討状況をただしました。
これに対して、福井事務局長は、「専門調査会の報告をふまえて、議論は、有識者懇談会の場に移っている。懇談会では、公務員制度全般を議論しており、当然、労働基本権もそのなかに含められる。専門調査会の佐々木座長も懇談会のメンバーであり、報告もうけている。年明けには、懇談会の議論がまとめられ、その後、政府として法案を出す準備をする」とのべ、申し入れ事項に対しては、「懇談会の議論を見守りたいが、みなさんとは、今後とも意思疎通をはかりながら、検討をすすめたい。今日の申し入れも、渡辺行革担当大臣に報告する」と回答しました。
小田川本部長は、「専門調査会で一定の取りまとめがされた以上、それを受けて行革事務局で検討すればいいのではないか。懇談会では、最終報告の中身について、さらに議論するということか。また、今後、労働組合との協議をどのように具体的に保障するのか」とただすと、福井事務局長は、「有識者懇談会が、専門調査会の報告をふまえて議論することは当然ありうる。労働組合との意思疎通は必要であり、今日のように、みなさんとは意見交換していく」と繰り返してのべました。
全労連闘争本部との話し合いのもとでの検討作業を求める
国公労連の福田委員長は、「来年は、労働基本権剥奪からちょうど60年となる。節目の年に、専門調査会の報告にしたがって、まともな労使交渉で労働条件を決定できるシステムづくりにむけて、議論にブレーキがかからないよう政府として努力すべきだ。また、そうしたシステムをつくるにあたっては、当然、十分な労使協議が必要だ」と求め、全教の米浦委員長は、「国際社会の一員として、労働基本権も国際基準で改善すべき。日本は、世界からも遅れている。国民的な議論のもとですすめるとともに、労働組合の意見を十分に聞く場を設けるべきだ」と主張しました。
自治労連の大黒委員長は、「消防職員の団結権保障を求める。労使の話し合いができる制度になっておらず、職員の声が伝わらない。現場では、職員は使命感を持って仕事しており、その苦労に応えるべきだ。21世紀は人権尊重の時代であり、前向きの検討を求める」とのべました。
また、寺間事務局長は、「報告が少数組合の権利制限に言及していることには、全労連加盟の民間組合も、重大な関心を持って見ている。少数組合だからと言って差別されるとすれば、大変なことだ」と指摘したうえ、「今後、率直な意見交換をふくめて、全労連闘争本部と議論できるようにかさねて求める」とあらためて申し入れました。
福井事務局長は、「幅広く意見をうかがっていく。検討にあたっては、労働組合はじめ関係者と意見交換していきたい」と回答し、最後に、小田川本部長が、「社会保険庁のように、新組織への採用条件が一方的に決められるような事態がすすんでいる。仕組みとしておかしな話だ。改革するというのなら、そうした面こそ改革すべきだ。最終報告の議論の到達点を決して後退させず、労働基本権回復にむけて、基本法への反映を含めて政府としての検討を求める」とのべ、この日の交渉を閉じました。
「専門調査会報告」中央学習会のお知らせ
日 時 12月18日(火) 16時〜18時
会 場 全労連会館2階ホール
主 催 全労連「公務員制度改革」闘争本部
アドバイザー 専修大学大学院 晴山 一穂 教授
神戸大学 根本 到 准教授
【資料:行革事務局への申し入れ書】
2007年12月4日
行政改革担当大臣
渡辺喜美 殿
全労連・公務員制度改革闘争本部
本部長 小田川 義和
公務員の労働基本権の早期回復に関する申し入れ書
貴職の日頃のご尽力に敬意を表します。
さて、行政改革推進本部専門調査会は10月19日、「公務員の労働基本権のあり方について」を報告として取りまとめました。同報告は、「労使関係の自律性の確立」「一定の非現業職員に対する協約締結権の付与」等の改革の方向性を明記した一方、団結権及び争議権等については両論併記にとどまり、多くの課題を残したものとなっています。
つきましては、今後の公務員の労働基本権のあり方に関する検討と具体化について、下記のことを実現されるよう要請します。
記
1、ILO勧告を満たした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革を実現すること。
2、専門調査会報告が指摘した「改革の具体化にあたり検討すべき論点」等、制度の具体的検討については、使用者側と全労連代表を含めた労働者側代表による機関を設置すること。
3、公務員制度改革での残された課題について、全労連・公務員制度改革闘争本部との交渉・協議を開始すること。
以上
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