独法整理合理化計画策定問題が混沌とし「政治決着」の様相を呈する中、国公労連は11月29日午後1時半から、自民党行革推進本部・中馬弘毅本部長(衆議院議員)に対して要請を行いました。自民党本部5階の行革推進本部長室で行われた要請には国公労連・盛永副委員長、上野独法対策部長、全運輸、全建労、全医労、全厚生、統計センター労組の代表の計7名が参加。
冒頭、盛永副委員長が要請文(別添)を手交し、「独立行政法人の見直しにあたっては、効率化の観点だけでなく、見直しによる国民生活や社会経済の安定への影響等を十分に踏まえた検討が行われるように」と要請しました。
続いて、各単組代表が「各独法の事務事業のペーパー(各機関紹介の部分)」をもとに中馬本部長に要請しました。全建労は「土木研は耐久性研究など民間では出来ない研究をしている。また最近耐火偽装が問題となっているが、建築研は中立の立場から耐火性などの研究をしている。こうした研究所をなくすことは結局、国民の不利益になる」と、全運輸は「国土交通省の海上技術研、交通安全研、電子航法研、土木研、建築研、港湾空港技研の6つをまとめてしまう(統合)という議論が出ている。しかし、研究分野や所在地も違うのに乱暴に統合しても研究が促進されるはずはない」と、全医労は「国立病院は、自分で体温調節も出来ない重度心身障害児などの政策医療をも行っている。民営化し、効率優先では十分なケアが出来ない。非公務員化せず十分な看護ができるようにしてほしい」と、全厚生は、「国立健康・栄養研は1920年(大正9)創設で、憲法25条を具現化した健康・栄養に係わる中心的な存在。単独で存続・拡充を」と、統計センター労組は「プライバシーに係わって統計環境が悪化している。公務員であるからこそ国民の信頼が有り、調査票の提出がスムーズに行く。公務員型の独法
維持を」と述べました。
中馬本部長は「総務省の独法評価委員会が見直しをしているからそれでいいと思っていたが、安倍内閣が整理合理化計画策定を決めた。行政減量効率化有識者会議の検討を経て、今我々が検討している。戦後は官しか出来ないことも今は民間でもできる。「官から民へ」については流れの一つとして理解してほしい。独法の見直しはするが、機能をなくす訳ではない。皆さんの要望も聞いたが、与党としてそれなりの計画としたいと考えている」と述べました。
これに対して盛永副委員長が再度「見直しにあたっては、国民生活や社会経済の安定への影響を重視して検討を」と述べて要請を終わりました。
(別添)
2007年11月29日
自由民主党行政改革推進本部
本部長 中馬弘毅 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 福田昭生
独立行政法人見直しに係わる要請
貴党の日頃からの国政全般に対するご尽力に心から敬意を表します。
さて、独立行政法人の整理合理化計画が年内にも策定されようとしています。そして、貴党もこのことに重大な関心を持ち、各府省ヒアリングを行っていると承知します。
そもそも独立行政法人は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業であって、国自ら主体となって直接実施する必要は無いが、民間にゆだねると実施されないおそれのある事務事業を行っている組織であり(独立行政法人通則法)、具体的には、医療、検査、試験研究、技術開発、情報提供などの事務事業によって、国民の安心・安全や社会の基盤を支えています。
貴党及び貴職に対し、我々日本国家公務員労働組合連合会は独立行政法人労組が結集する労働組合として以下の点を要請するものです。
【要請事項】
独立行政法人の見直しにあたっては、効率化の観点だけでなく、見直しによる国民生活や社会経済の安定への影響等を十分に踏まえた検討が行われるよう要請いたします。
以上
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