国公労連は12月12日午後、独立行政法人見直し問題で、民主党に要請を行いました。
民主党は現在、「独立行政法人等廃止・民営化推進法案」を作成中であり、国会提出の方向で検討しています。この要請には国公労連から盛永副委員長と上野独法部長、全厚生・杉浦副委員長、全医労・山田執行委員、全運輸・安藤書記長(国土交通共闘・事務局長)が参加し、民主党は党行政改革調査会会長・松本剛明衆議院議員が対応しました。
冒頭、盛永副委員長が、要請書(別添)と冊子「各独法の事務事業」を手交し、通則法に基づき「既に総務省・独法評価委員会が中期目標終了時点で、事務事業の改廃を含めて判断済みであるにもかかわらず、なぜ整理合理化計画を改めて作成しなければならないのか、大前提として疑問を持っている。また、特定(公務員型)から非特定(非公務員型)への流れがあるが、これも通則法にあるようにその業務の停滞が国民生活または社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすのかで判断されるべきである。現在名前があがっている統計センターや国立病院機構は、その点からも特定そのものだといえる」と述べました。
続いて全医労・山田執行委員が「国立病院は結核医療全体の43%を引き受けているし、筋ジス関係も受け持っている。民間で採算の取れない部門を担っている」、全厚生・杉浦副委員長が「国立健康栄養研究所は憲法25条に基礎をもつ研究所であり、生活習慣病についても中立性を持って民間では出来ない研究を行っている」、全運輸・安藤書記長が「独法の見直しについては高級官僚の天下りや官製談合のみがクローズアップされており、各独法の業務についての理解がなされずに議論されている。6つの研究所を一つにまとめるというような数合わせもなされている」と述べました。
これを受けて、松本議員は「独法については設立以来見てきたが、党として独法は失敗だという考えだ。『独法は全廃』というのが基本であり、選挙でもそれで支持を受けた。この支持を裏切ることなく法案を出していきたい。独法の業務が全ていらないとはいっていない。ただ、民間は悪で公務は正しいという考え、民間は全てダメだという考えには立たない」と述べました。
盛永副委員長は「民間は全てダメだとはいわないが、実際、山間地には民間の病院は少ない」と述べると、松本議員は「それは一部ではないのか」と回答。
また、全運輸・安藤書記長が「本当に各独法の業務について理解した上での国民の判断(支持)なのか」と述べると、松本議員は「それなら国民があほなのか、ということにもなる。国民の目は厳しいと見るべきだ」と回答。さらに「(民主党の)法案は、はじめから結論があるわけではなくて、独法全体を見直そうというものだ。各業務を見直してみて国に戻すべきものがあれば、そうすることも入っている(※注)」、「渡辺行革担当大臣のやり方は乱暴だし、研究所の6所を一つにしようというのは確かに数あわせだ」と述べました。
最後に盛永副委員長は「我々は極力宣伝してはいるが、(独法の業務、重要性などについて)国民の理解が不十分な状況ではないかと思っている」と述べるとともに、改めて「要請書にあるように、独立行政法人の見直しにあたっては、効率化の観点だけでなく、見直しによる国民生活や社会経済の安定への影響等を十分に踏まえた検討が行われるようにしてほしい」とのべ、30分の要請を終わりました。
【※注】民主党の法案は、独法を3年以内に「廃止、民営化、地方委譲、国移行」(4つの選択)しようというもの。12月6日現在、法律文はまだ未完成。今国会に提出か、次期国会かも未定。
〈別添〉
2007年12月12日
民主党行政改革調査会
会長 松本剛明 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 福田昭生
独立行政法人見直しに係わる要請書
貴党の日頃からの国政全般に対するご尽力に心から敬意を表します。
さて、独立行政法人の整理合理化計画が年内にも策定されようとしています。そして、貴党も「独立行政法人等廃止・民営化促進法案」を国会提出の方向で検討されていると承知します。
そもそも独立行政法人は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業であって、国自ら主体となって直接実施する必要は無いが、民間にゆだねると実施されないおそれのある事務事業を行っている組織であり(独立行政法人通則法)、具体的には、医療、検査、試験研究、技術開発、情報提供などの事務事業によって、国民の安心・安全や社会の基盤を支えています。
貴党及び貴職に対し、我々日本国家公務員労働組合連合会は独立行政法人労組が結集する労働組合として以下の点を要請するものです。
【要請事項】
独立行政法人の見直し法案の検討にあたっては、効率化の観点だけでなく、見直しによる国民生活や社会経済の安定への影響等を十分に踏まえた検討が行われるよう要請いたします。
以上
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