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国公労連速報 2008年1月17日《No.1934》
 村上優子さんの過労死で公務災害認定判決
     
 

 

 国立循環器病センターで看護師として勤務していた村上優子さんが、平成13年3月10日に25歳という若さであったにもかかわらず、夜勤を終えたあとの自宅で「くも膜下出血」により亡くなりました。
 ご両親は、看護師不足の中で過酷な労働実態にあったとして過労死であることを主張し、国に対し損害賠償を求めるとともに、公務災害の認定を求め立ち上がりました。
 このたたかいに全国から多くの支援をいただきましたが、損害賠償裁判は却下されてしまいました。一方、公務災害の認定を求め人事院に申し立てを行っていましたが、人事院は不当にも「公務外」と認定しました。このため、ご両親と支援する会が行政訴訟を起こし、「公務災害」として認定するよう求めてきたところ、1月16日、大阪地裁民事第5部において、「公務外認定」の取り消しを行う判決を下しました。
 支援する会は、1月16日に「勝利判決を受けて」とする声明を出し、「患者さんのいのちと医療従事者の命を守る職場」確立運動に奮闘する決意を述べています。
 以下に声明をご紹介します。


 「勝利判決」をうけて

 1月16日、大阪地裁民事5部法廷は、平成16年5月、村上優子さんの過労死に対して、厚生労働省が決定した「公務外認定」の取り消しを求める行政訴訟に対し、原告の請求を認める「勝利判決」を下しました。今日の医師・看護師不足という社会的な問題を背景に、看護労働の過重性、夜勤交替制労働の過重性が問われた事件に対し、司法の立場から道理ある判決が下されたといえます。この間、全国から40000筆をこえる要請署名がよせられ、23回にわたり、要請提出行動を展開し、多くの医療関係者のみならず、労働者・国民の大きな関心と支援の下で、たたかいを進めました。
 平成8年に国立の看護学校を卒業して、国立循環器病センタ−に看護師として就職された村上優子さんが、平成13年3月10日、25歳の若さで「くも膜下出血」で亡くなられました。優子さんの事件は、今日、社会的問題となっている、「医師・看護師不足」「医療職場の苛酷な労働実態」「看護労働の過重性」「夜勤変則交替制労働の過重性」「不払い労働と労働時間管理の杜撰さ」がするどく問われた事件でした。ご両親が、平成14年6月に厚生労働省に「公務災害申請」、7月に「国家賠償請求訴訟」を起こされ、まったなしの医療職場の改善・増員・医療制度の改革を願う多くの医療関係者の支援、過労死家族の会をはじめとする、広範な労働者・市民の支援を受けてたたかいを進めてまいりました。しかし、厚生労働省が、平成16年5月に「公務外認定」を決定、人事院も平成17年11月に不服申請を棄却しました。損害賠償請求民事事件では、最高裁が昨年の10月23日に「上告不受理」の不当決定をおこないました。この間、厚生労働省・大阪地裁・大阪高裁・最高裁に各々3万〜5万の要望署名が提出される大きなたたかいが全国的に進められました。このたたかいで、当初、厚生労働省が認めなかった、国立病院における「不払い残業の実態」が損害賠償請求事件の判決にも示され、厚生労働省自身も認めざるをえない状況をつくりだしました。医療職場・看護職場の苛酷な実態が「法廷内外」で明らかにされ、「国立病院の使用者としての杜撰さ」も明白になりました。  しかしながら、損害賠償請求事件では、大阪地裁・高裁・最高裁は、不払い残業等を認めながら、不規則な夜間交替制労働や看護労働の過重性についての認識を示さず、日々の過労の蓄積の上で「過労死」した事実を軽視した判決となり、社会的な医師・看護師をめぐる状況、職場実態を直視することもない判決を下しました。今回の行政訴訟における大阪地裁判決は、これまでの「不当な判決」に対し、ご両親や私たちの主張を認め、優子さんが「過労死」に追い込まれた労働実態を正しく評価し、循環器病センタ−での業務内容・労働時間管理の不法性についても、厳しく指摘しました。
 諸外国の3分の1しか配置数がない医師・看護師等の過重労働、離職問題が、病院閉鎖まで広がる社会的問題となり、労働環境の改善こそが「安心安全の医療確立」の最大の課題であることが国民的常識となっています。医療経営者の責任も厳しく問われています。労働基準法違反ワ−スト1と言われる医療職場の改善なくして、国民の命を守ることも、看護師の過労死・健康破壊をなくすこともできません。
 支援する会は、寄せられた多くのご支援に感謝を申し上げるとともに、国に対して、「控訴」するなの働きかけをするとともに、控訴された場合、ご両親とともに「控訴審」での勝利にむけて全力をつくすこと、「患者さんの命と医療従事者の命を守る職場」確立の運動に奮闘する決意を表明するものです。引き続き、皆様方のご支援を心よりお願い申し上げます。
2008年1月16日
村上優子さんの過労死認定・裁判を支援する会


 裁判支援行動参加レポート

 1月16日に東京で行われた裁判支援行動について、国公労連から参加したKYさんから参加レポートが寄せられました。

 世田谷国公法弾圧事件公判日裁判所前支援行動

 1月16日午後1時15分から世田谷国公法弾圧事件の第18回公判が開催されました。
 お昼休みには東京地裁前での「世田谷国公法弾圧を許さない会」による宣伝行動に参加しました。許さない会のメンバーは、憲法違反の国家公務員法の政治活動の自由の一律禁止による言論弾圧は許されないことなど、この事件の違法性を知らせ、裁判の支援を訴えました。また、東京地裁前では、全動労争議団も1月23日の判決日に向けて、裁判所が鉄道運輸機構の解決責任、不当労働行為を断罪した救済判決を出すことを求めて座り込みを続けており、交互にマイクを握っての宣伝となりましたが、「互いに国家の違法と闘っている。ぜひ裁判の傍聴にも何名か参加する」とのエールをいただきました。

 ビラの個別配布は表現の自由の保障
 〜表現の自由は民主主義を支えている


 午後の公判では、立命館大学の市川正人教授、元郵政職員・元郵産労委員長の田中諭さんに対し弁護側の尋問が行われ、市川教授は憲法学の立場から「ビラの個別配布について、住居侵入罪が成立するのか」について、田中さんは「昨年10月の郵政民営化によって公務員の政治活動の禁止が何の意味も持たなかった」ことなどを証言しました。市川教授は「質問に答えるように。あなたの講義を聞きに来ているわけではない」と裁判官から注意される場面もありましたが、別の裁判官からは「ビラ配布目的だということが明らかでない場合には、住居侵入として現行犯逮捕することは許されるか」と質問されるほど、ビラの個別配布が保障する表現の自由や、住居侵入と表現の自由の関係についてわかりやすく話され、裁判官にプレッシャーを与えたのではないかと感じました。国家公務員法が憲法に保障された表現の自由である政治活動の自由を侵しているということが証明された公判になったと思います。
 公判後の報告集会で市川教授は「民主主義を支えるのが表現の自由。東京で表現の自由を抑圧する事件が起きている。本来規制されるべきでない活動が規制されている。堀越事件、葛飾ビラまき事件に続き3度目の証言となった。今後、裁判で私の出番がなくなるようにしなければいけない」、田中さんは「政治活動をすることで行政の中立が歪められたことはない。政治的には強く言うが、仕事は別。自分の仕事に誇りを持ってやっていることを認めさせたい」と話されました。

 次回2月13日公判で山瀬前国公労連副委員長が証言に!

 最後に次回2月13日の第19回公判で証言に立つ国公労連前副委員長の山瀬徳行さんから「市川先生は講義しないようにと裁判官から注意を受けたが、私は演説しないようにと注意されないように質問に答えたい」と笑いを交えながらの決意が述べられました。
 山瀬さんについては、2月6日東京高裁にて国公法弾圧堀越事件でも証言される予定です。
 みなさん、引き続き世田谷、堀越2つの国公法弾圧事件裁判の支援をお願いします。

以上

 
 
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