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国公労連速報 2008年2月29日《No.1953》
 独法の自主性尊重、国民サービス拡充せよ
 整理合理化計画の具体化で行革推進本部へ申し入れ
     
 

 

 国公労連は2月28日、独立行政法人の整理合理化計画の具体化について、行革推進本部事務局に申し入れを行いました。国公労連は盛永副委員長を責任者にして、上野独法対策部長ほか3人の独法対策委員が参加し、行革推進本部事務局側は、浅野参事官と長井参事官補佐が対応しました。
 冒頭、盛永副委員長が「昨年末に提出した整理合理化計画に反対する署名が今年になっても続々届けられ、1万2792筆となり、合計7万9587筆となった。ここに仲間の意思が示されている」として、署名を行革推進本部事務局に提出しました。つづいて、盛永副委員長は次のように発言しました。

 独法の整理合理化計画(以下「計画」)が昨年末に閣議決定されたが、「計画」策定までの経過を見れば、廃止・民営化、統合、非公務員化ありきが前提となって強引に進められ、効率化のみを追求し、国民生活への影響が軽んじられているという点で、極めて問題のある計画であり、あらためて遺憾の意を表明したい。
 その上で、今日は、「計画」の具体化にあたって、申し入れ書(別添)の通り、6項目について申し入れるので、真摯な検討を要請する。それもふまえ、とりわけ強調したい点について指摘する。
 一つは、法人の廃止・統合問題に関わって、「計画」の閣議決定文書の中でもふれられているが、雇用問題についてだ。雇用問題に関しては、「横断的な雇用確保に努力する」としているが、雇用の確保は絶対条件だと考えている。絶対に雇用問題が発生しないよう対応を求めたい。
 二つは、国立病院機構の非公務員化の検討についてだ。「計画」では、08年度中に結論が得られるよう検証を行うとしており、引き続き労働組合の意見表明を行う場面を確保し、十分な検証を求めたい。
 三つは、事務・事業・組織の見直しに関わって222項目の指摘がされ、廃止・集約化や民間開放なども盛り込まれているが、廃止・集約化や民間開放した場合の国民生活への影響なども十分に検討した上で慎重に行うことを求める。

 これに対して、浅野参事官は次のように回答しました。
 我々も国民生活への影響に配慮することは大事だと思っており、国民サービス提供のパワーが低下しないように見直してきたつもりだ。効率化は、相対的に無駄なところから、喫緊に求められているところにシフトしていき、独法がより効果的に国民サービスを提供して国民に喜ばれるということだ。廃止・集約化ということも、国民の新しいニーズに応えるために、古いところは縮小していくということだ。こうした国民生活を重視する観点を持ってこれからステップを踏んで具体化する。
 1点目の雇用については「計画」でも項目を立てて重視しているところだ。努力というのは、掛け声だけという恐れがあるじゃないかということで、結果について100%保証しろと言われるとつらいものがあるが、思いについては同じで、受け止めてやっていきたい。表に出ていないが、我々と関係省庁で連絡会議を作って政府全体で雇用問題に取り組むことになっており、2月に第1回の会議も開いている。職員一人ひとりに着目して全員の希望にそえるようにしたい。雇用問題に取り組む関係省庁連絡会議はここ1年ぐらい機能することになる。
 2点目の国立病院機構の非公務員化だが、民間の病院はあるし、労災病院だって非公務員型であり、病院だから公務員型でなければならないという論理を立てるのは難しいのではないか。厚生労働省が一義的に検証していくが、「計画」の具体化は、有識者会議がフォローアップすることになっており、この問題も事前か事後にヒアリングがあるはずで、非公務員化により国民サービスが低下しないような形で進めたい。組合からの意見は今後も聞いていく。
 3点目の事務事業の見直しだが、新規事業をやってはいけないとは書いていないわけで、民間開放を仮にしても新しい事業にシフトしていくということだ。例えば実際に、国民生活センターが、ADR(裁判外紛争処理)の機能を追加するなどしている。見直しとは国民のニーズの変化に応えて、廃止・集約したものを新規事業にシフトしていくということだ。
 申し入れ書の1点目だが、我々の最終的な狙いは、国民サービスの充実にあり、そこに向かって、無駄ないし非効率な部分があったら廃止していくということで、効率化が目的になっているわけではない。統合する研究独法があるが、統合によってシナジー効果が生まれたり研究の融合によって新しい発想が生まれることもあるので、自主性や創造性が高まる統合を期待している。各省が個別法の改定は行うわけだが、統合により国民サービスがパワーアップすることを有識者会議等で確認できるものと思う。
 2点目の前段は、各省が合意を作りながら進めるだろう。我々は有識者会議でフォローアップしたい。通則法の改定は我々が行っている。今国会に出す予定だが、法案要綱もまだできていない。現時点で4つの柱で成案を考えている。一つは、人事や評価の内閣の一元的関与強化という形でガバナンスを強化していくこと。二つめは、資産売却したときに国庫返納する際の条件整備。三つめは、監事機能の明確化。現行法では監事は業務を監査するとしか書いていないため、民間の会社法を参考にして見直す。監事は民間では4年だが、独法は2年になっているので、これを4年以下にしたい。また4月に発令される監事が多いがそれで6月決算では問題があるので起点を変更したい。四つめは、独法からの再就職問題。現行は非特定独法は民間人なんだから一切規制がないが全く規制がなくていいのかという点と、独法から関連法人への再就職の問題について検討している。
 3点目だが、自主性・自律性が独法の骨格中の骨格であることは確かで、それを壊さない範囲で考えている。内閣の一元的関与強化は、省庁縦割りの弊害をなくすために横断的なガバナンスに持っていきたいというだけだ。A省庁の評価委員会ではきちんとやっていることがB省庁ではやられていないというのを改善するというような意味であり、必ずしも内閣の一元的関与強化が、自主性・自律性には反しないのではないか。次元が違う話ではないかと思うが、自主性・自律性に反しないように取り組みたい。
 4点目の評価の仕組みについても3点目と同じだ。独法の自主性・自律性に反するつもりはない。評価するために評価するわけでなく、よりよい国民サービスへ改善していくための評価なのだから、評価は前向きに受けるべき。各法人の自主性・自律性を否定するための評価の仕組みは考えていないし、損なわれることのないよう十分配慮したい。
 5点目の随意契約の見直しだが、競争性のない随意契約はやめてくれと言っているだけで、国民に疑われるようなことがあってはいけないというだけだ。
 6点目は先ほど述べたとおりだ。

 以上の回答のあと、要旨次のやりとりがありました。(○=国公労連、●=行革推進本部事務局)
 ○ 内閣の一元的関与の仕方について、具体的に説明してもらいたい。
 ● 今は主務大臣が理事長を任命しているが、閣議できちんと決定するとか何らか内閣が関与する仕組みを入れる方向で検討している。監事までやるのかという意見は出ている。評価は、各省縦割りの弊害をなくすため、各省評価委員会をなくして政府で一つの評価機関にし、その下に分科会を設けることを考えている。分科会は各省ごとにしては意味がないので、法人の機能等に着目して設けることになるだろう。「計画」策定の過程で、独法の事業分類を研究開発型、政策金融型など6つに分けた。一つの評価機関にぶら下げる分科会として、そうした事業分類ごとに評価していくというのが確定ではないが一つのイメージとしてはある。そして、評価委員については、政府に一つしかない評価機関の評価委員だから内閣が任命するということになる。
 ○ 内閣が人事権も握り評価もするということになると、独法の方向性まで時の内閣が左右するということになりかねない危惧を持つ。独法の自主性・自律性はもちろん、行政の公正・中立性が危うくなるのではないか。
 ○ 随意契約そのものが悪いのではなく、随意契約で不正が発生することが悪いのだから、研究独法などの現場で研究業務に支障が生じるような機械的な競争入札は問題ではないか。
 ● 随意契約を国と同じレベルにしようというだけだ。確かに現場からの要望として簡略化して欲しいというのはよく分かるが、この問題については、国民の目がますます厳しくなっているから、きちんと手続きを踏んでプロセスの透明性を確保しなければならない。一つでも独法が不正を起こせば、全体がたたかれることになるのだから、きちんとしたい。
 ○ 国の事業を独法が受けるケースで、競争入札に民間が参加すると、「独法は民間ができない業務をやるのだから」ということで独法は参加できなくなるという問題が起きている。
 ● そういう問題が起きていることは聞いていない。
 ○ 各省評価委員は、不十分ながらも現場が分かる人が一定の評価をしていて、これが内閣一元化になると、現場が分からない評価委員になりはしないか、という不安の声が現場からはあがっている。
 ● 各法人の職員は評価のために働いているわけではなくて、それぞれのミッションの遂行のために働いている。逆に現行の評価制度の方が、各省評価委員の下に分科会もあり、そして総務省の政独委もありで、二重三重の評価で各法人は評価疲れとなり、本来業務に支障が出ているという見方もある。そこを今回の一元化で、コンパクトにして、横断的な視点で評価していきたい。また、現行の各省評価は、仲間うちでの甘い評価、お手盛りではないかと国民の目から見えているのではないか。評価のために独法があるわけでなく、国民サービスの提供のために独法はあるので、国民がどう独法を見ているのかという視点が大切だ。国民サービスをきちんと提供していればおのずと評価されるはずだろう。むしろ統一的な評価機関があった方が、国民の方には近くなるのではないか。
 ○ 通則法の改定法案作業は今後どういうスケジュールになるのか。
 ● 当初は3月7日までに国会に出す予定だったが、間に合う状況にはなく、次は3月末の提出をめざすことになるが、いずれにしても今国会に提出する方向は決まっている。4月になって閣議決定して国会提出することも可能なので4月になるかも知れない。

 最後に、盛永副委員長が、通則法の改定法案について、要綱案などができた時点で国公労連に対して説明し十分な協議を行うことを確約させ、行革推進本部事務局への申し入れを終えました。



《別添》
2008年2月28日
行政改革担当大臣 渡辺喜美 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 福田昭生

独立行政法人整理合理化計画の具体化に関する申入れ書

 政府が昨年12月24日に閣議決定した独立行政法人整理合理化計画は、6法人を廃止・民営化、16法人を6法人に統合、2法人を非公務員化するとともに、主な事務事業の見直しを図るとしています。また、制度面では各法人理事長や府省の評価委員の任命への内閣の一元的な関与の導入・強化を盛り込み、現行の各府省ごとの評価を「内閣全体として一元的な評価機関により評価する仕組み」に改めるとしています。
 この計画は、国民の安心・安全と社会基盤をささえる各法人の重要性を踏まえることなく効率化のみを追求しており、廃止・民営化・民間委託等を前提とした数合わせであり、国民サービスを切り捨てるものです。
 現在、行革推進本部事務局は、整理合理化計画の具体化へ向けて独立行政法人通則法の改定法案の作成を進めており、今通常国会への上程も検討されていると聞きます。
 私たちは、医療、検査、試験研究、技術開発、情報提供など国民生活を支える事務事業を行っている独立行政法人の拡充を求める立場から、下記の事項を申し入れるものです。


1.効率化のみを追求する一方的な整理合理化は行わず、国民サービス向上へむけ、各法人の自主性・自律性が発揮できるように制度を改善し、業務を拡充すること。
2.各法人の統合、業務見直しなど「整理合理化計画」の具体化は一方的に進めず、当該法人や労働組合との協議・合意の上、慎重に実施すること。独立行政法人通則法の改定法案の策定作業においても十分な協議を行うこと。
3.理事長、監事、評価委員の任命に対する内閣の一元的関与強化は、独立行政法人制度の趣旨(組織の自主性・自律性)に反することから実施しないこと。
4.「内閣全体として一元的な評価機関により評価する仕組み」については、各法人の自主性・自律性を尊重できる仕組みを前提に、慎重な検討を行うこと。
5.随意契約の見直しにあたっては、各独立行政法人の業務実態を十分踏まえることとし、機械的・一律的な競争入札の押し付けを行わないこと。
6.「整理合理化計画」の具体化については、国として責任を持って職員の雇用と労働条件の維持・承継を図ること。

以上

 
 
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