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国公労連速報 2008年3月7日《No.1959》
【社会保険庁改革対策委員会ニュースNo.31】
     
 

 

非常勤職員も含む社会保険庁職員の雇用確保を
〜年金業務・組織再生会議へ要請


 3月5日午前、国公労連は年金業務・組織再生会議へ「日本年金機構の組織づくりの設計に関わっての申し入れ」(別添)を提出し、要請を行いました。
 対応した行革推進本部事務局・再生会議担当の加瀬参事官に対し国公労連・川村副委員長は「年金記録問題の早期解決は国民的課題であり、再生会議においても念頭に入れ議論すべきと考える。日本年金機構への業務の円滑な引継ぎのためにも知識と経験、専門性を持った社会保険庁職員を優先的に採用するべき。選別採用や分限免職など雇用不安が広がる中、優秀な人材も辞めていっている。不安なく献身的に仕事の出来る条件をつくって欲しい。年金相談など非常勤職員の働き抜きに職場は成り立たない。実務経験豊富な非常勤を引き続き採用するべき」と強く申し入れました。
 要請に参加した京都の社会保険職場で働く全厚生・山本副委員長は「職員の採用基準において人事評価制度が重要な位置づけとなっている。再生会議では、人事評価制度が有効に機能しているという前提だが、社会保険庁では有効に機能していない。組織パフォーマンスを高めるための人事評価制度が、職員を脅し、押さえつけている。職員の採用という、人生に重大な影響を及ぼすところに活用されるのは問題。脅されながらでは、いい仕事はできない。雇用不安が無い状態でキチンと仕事ができるような検討をお願いする」と発言しました。
 全厚生神奈川県支部・川名書記長は「年金記録の整備にかかわって都市部は大変な状況。相談窓口は8時半から19時までフル回転で働いているが、現在、5時間待ちの状況で、相談をあきらめて帰っていく来訪者も。クレーム処理と残務整理は19時以降22時過ぎまでの残業が恒常的。事務所は電話もつながらない。再裁定も急増し、6カ月を過ぎても処理できない状況。ねんきん特別便は、12月〜2月まで、神奈川県下で約20万件発送。3月は、50万件が発送予定。相談に追われ、特別便の受け付け登録ができず、ダンボール5〜6箱が未処理で滞っている。4月以降は、全国で1億件が送付予定。現行体制での対応は限界。このまま現場状況を放置していると、行政サービスが大きく後退し、国民の年金不信はさらに増大すると思う。国民の信頼回復のためには、現場の状況を把握し、対策を立てて、予算と人員を確保しなければ、年金に対する信頼回復はできない。年金相談などで働いてきた非常勤職員が雇い止めされるという危機感と不安から辞めている。年金知識や経験豊富な非常勤職員の人達の力がなければ、現状は乗り越えられない」と職場の現状を訴えました。
 加瀬参事官は、「再生会議では、本年5月に最終整理をする。要請事項は、会議で議論中でありコメントは控える。12月末から意見募集もしてきており、有益な意見は参考にしたい。京都、神奈川それぞれ職場の実態は伺ったが、この場で何か申し上げるのは難しい。それぞれ意見を事務局として承った」と述べました。

 記録整備に必要な予算と人員の確保等を
 〜民主党へ要請


 同日午後、民主党へ「公的年金の改善と記録整備等に関する要請書」(別添2)を提出し、要請を行いました。民主党は山田正彦氏、原口一博氏、山井和則氏の3名の衆議院議員が出席し対応しました。
 はじめに、国公労連・川村副委員長は「ねんきん特別便の対応で職場は限界。年金に対する信頼を回復するためにも職場改善が急務」「社会保障国民会議ができ政府で年金制度の議論も行われている。日本年金機構法を凍結し、年金制度と組織のあり方一体で議論して欲しい」「日本年金機構の採用問題では、職員の継承規定が無い。記録問題を見ても、専門的知識のある社会保険庁の職員の採用が必要。雇用を確保し分限免職を発生させないようお願いしたい」と3点について要請の主旨を述べました。
 全厚生・山本副委員長は社会保険窓口での年金相談の経験から、「年金記録は最後まで国の責任で整理をしていく仕組みを作る必要がある。機会を捕らえて被保険者へ記録を知らせる。厚生年金で言えば、事業主と被保険者と保険者の三者が一体となって記録管理にお互いの役割と責任を果たすあり方が必要。会社から年金の届けがあったときに、被保険者に記録を通知するなど、被保険者のみなさんも主体的に関わるシステムをつくる。年金があって良かったと思える、安心して暮らせる年金制度をつくることが必要。今起こっている問題を解決することと、将来に向かってどのような形を作っていくか、展望のある議論が必要」と話しました。
 全厚生神奈川県支部・川名書記長は厳しい職場状況を語り「行政サービスが後退し、国民の年金不信が増大する結果になりかねないと現場からは訴えているが、社保庁には受け止めてもらえない。政府を挙げてという総理大臣の言葉もまったく中身がない。政府として現場の状況を把握した対応が重要。予算措置をしないで、今の職場のマンパワーだけでは出来ない」と訴えました。
 原口議員は「要請の1と2は、私どもがすでに国会で論議している。3については、みなさんをスケープゴートにして責任逃れをしようとしているのは明らか。3のところは、相当いろいろな戦略を練ってやっていかないと難しい。公共サービスの民間開放等の流れの中で公務員の人権保障、職場の環境に関する公共サービス基本法をこの国会で成立させようと思っている。理念法的には役に立つと思う。1、2は予算と法律で出来ると思う。3について、私たちは元々日本年金機構法案には反対。日本年金機構法案が通ってしまっている状況で何ができるか考えなければならない」と述べました。
 要請は1時間以上にも及び山井議員などから「現場の感覚で記録整備に必要な期間はどのくらいか」「納付率の向上の対策には手が回らないのでは」「雇用の継承規定が無いのは労働基準法上も問題ではないのか。他にも同じような事例はあるのか」など質問も出され、手応えのある要請となりました。



(別添)
2008年3月5日
年金業務・組織再生会議
 座長 本田勝彦 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 福田昭生

日本年金機構の組織づくりの設計に関わっての申し入れ

 貴会議においては、2010年1月に設立される日本年金機構の、(1)業務の委託の推進についての基本的な事項、(2)職員の採用についての基本的な事項、について本年5月の最終整理に向けた検討を進めていると承知しています。
 その検討は、政府が定める「社会保険庁長官から厚生労働大臣及び機構への業務の円滑な引継ぎを確保し、政府管掌年金事業の適正かつ効率的な運営を図るため、機構の当面の業務運営に関する基本計画」について、「中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴く」との規定にもとづかなければならないことは当然のことです。
 しかし、貴会議が中間整理としてまとめた「職員の採用についての基本的な考え方」と「外部委託の推進についての基本的な考え方」では、「業務の円滑な引き継ぎ」や「政府管掌年金事業の適正かつ効率的な運営を図る」ことに様々な支障と混乱を生じるものと言わざるを得ません。
 私たち国公労連の「中間整理に対する意見」は別添のとおりですが、最終整理に向けて以下の点を申し入れるので、貴会議での真摯な議論と検討を求めるものです。


1.社会保険庁における年金記録問題や不祥事の責任を、社会保険庁の第一線職員のみに押しつける議論は問題です。日本年金機構の職員採用については、「業務の円滑な引き継ぎ」や「政府管掌年金事業の適正かつ効率的な運営を図る」ためにも、知識と経験、専門性を備えた社会保険庁職員からの採用を最優先することを求めます。
2.年金記録問題の解決なくして、日本年金機構への「業務の円滑な引き継ぎ」はあり得ません。雇用不安から早期退職者が急増し、業務運営に支障を来している状況を改善するためにも、日本年金機構への選別採用を前提とする採用方針は撤回することを求めます。
3.社会保険庁改革のもとでの、業務のマニュアル化や安易な民間委託が国民不信をさらに増大させています。年金業務の安定性、継続性、専門性に支障を来さないためにも、民間委託は臨時的・派生的な業務に限定することを求めます。
 また、国民本位のサービスを提供するためにも、成績主義強化による人事管理や業務運営は行わず、職員の一体感が醸成できる人事・給与体系、業務運営のあり方を検討することを求めます。
4.年金業務の適正な運営にあたって非常勤職員が果たしている役割は重要です。非常勤職員の意向を踏まえて、日本年金機構での雇用を確保することを求めます。また、民間からの採用を行う場合には、実務経験を有する非常勤職員の応募機会を保障することを求めます。



(別添2)
2008年3月5日
 民主党 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 福田昭生

公的年金制度の改善と記録整備等に関する要請書

 社会保障制度拡充にむけた貴党のご奮闘に敬意を表します。
 さて、規制緩和と民間開放を基本とする構造改革路線の強行により、年収200万円以下のワーキングプアといわれる労働者が1000万人を超え、生活保護世帯も100万を超えるなど、国民の間に「格差」と「貧困」が広がっています。こうした中、国民生活のセーフティネットである、医療や年金などの社会保障制度の拡充を求める国民の声はますます強まっています。とりわけ、老後生活の基盤である公的年金制度は、憲法25条の規定を待つまでもなく、国の責任でその拡充を図っていくことが求められています。
 しかし、社会保険庁における5000万件に及ぶ年金記録管理が大問題となり、与党の選挙公約でもあるその完全整備が焦眉の課題となっています。この記録問題の解決の目途もたたないもとで、社会保険庁を解体し、全国健康保険協会と日本年金機構に組織再編する作業が進められています。年金業務・組織再生会議は、社会保険庁職員の選別採用とともに年金業務のアウトソーシングを検討しています。
 公的年金は、極めて長期にわたる加入記録や保険料の着実な管理が求められます。多くの業務を分割して民間に委託した場合、制度が安定的に運営され、個人情報が十全に保護されるか、大きな不安を抱くものです。また、知識と経験を有している職員を排除することは、業務の円滑な引継や事業の適正な運営を阻害するものと言わなければなりません。
 私たち国公労連は、年金制度に対する国民の信頼を回復させるためにも、年金記録の早期整備を実現することが不可欠であり、そのためにも業務処理体制の確立が最優先課題であると考えます。同時に、「老後の命綱」である年金制度は、国の責任により拡充し、国の機関が運営することが、国民生活の「権利擁護」「安心・安全」のために不可欠であると考えます。
 今、社会保険事務所をはじめとする社会保険庁の各機関で働く職員は、自らの家庭や心身を犠牲にして、国民の年金権保障のため記録問題の解決にむけて努力しています。しかし、社会保険庁の廃止・解体に伴う新組織の設立にあたって、職員の選別採用や分限免職などの雇用不安が職場を支配し、退職者や病休者が急増し業務体制も困難を極めています。
 つきましては、以下の事項に関わって特段のご尽力をいただきますようよろしくお願いいたします。


1.公的年金制度に対する国民の信頼を回復するためにも、年金記録問題の早期解決は喫緊の課題です。いま、「ねんきん特別便」が段階的に送付されていますが、4月からは全国で1億件が送付される予定です。しかし、社会保険事務所では今時点でも、連日深夜までの残業によっても相談や記録整備などが追いつかない状況です。年金記録整備に必要な予算と人員が確保されるようお願いします。
2.国民年金未納・未加入者の増大をはじめ公的年金制度の空洞化が進んでいます。年金記録問題の解決や公的年金制度の抜本的な改革なしに、組織再編のみを強行しても国民の不信と不安は広がるばかりです。したがって、「日本年金機構」法の実施は凍結し、公的年金制度のあり方と一体で組織のあり方を議論していただくようお願いします。
3.年金記録問題を解決するためにも、知識と経験、専門性を有している社会保険庁職員がその能力を最大限に発揮することが求められています。公的年金業務が日本年金機構に引き継がれる場合には、極めて長期にわたる加入記録や保険料の着実な管理を適正に実施するためにも、社会保険庁職員の雇用を確保し、分限免職を発生させないようお願いします。

以上

 
 
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