人事院は19日、国公労連に対し非常勤職員の給与に関するガイドライン案を示しました。
人事院は昨年の報告で非常勤職員の給与について、「(常勤職員と)同様の職務に従事しながら、所属する府省によって必ずしも均衡が取れていない事例も見受けられる」と問題意識を表明すると共に、「非常勤職員の給与の実態の把握に努めると共に、それぞれの実態に合った適切な給与が支給されるよう、必要な方策について検討」することを表明していました。今回の提示は、この検討の過程で現段階の案を示したもの。
ガイドライン案の内容は以下の通り。
【非常勤職員の給与に関するガイドライン(案)】
1 俸給に相当する給与については、当該非常勤職員の職務と類似する職務の常勤職員に適用されている俸給表の1級の初号俸の俸給月額を基礎として、職務内容、在勤する地域及び職務経験等の要素を考慮して決定すること。
2 通勤手当に相当する給与を支給すること。
3 相当長期にわたって勤務する職員に対し、期末手当に相当する給与について、勤務期間等を考慮の上、支給するよう努めること。
4 各府省においては、非常勤職員の給与に関し、上記1から3までの趣旨を実施するよう、規程を整備すること。
給与三課の担当者による説明と、その後の質疑の中でさらに明らかになった点は以下の通りです。
○ ガイドラインの性格について
・ 非常勤職員の給与決定方法は、各省の実態によりさまざまで、(1)地場賃金を考慮するもの、(2)近隣官公庁の水準を考慮するもの、あるいは(3)常勤職員の俸給表を基礎として定めるもの、などがある。(3)については今回のガイドラインはクリアできるが、(1)(2)でこれより抑えられているものがあり、これについては、ガイドラインの線まで引き上げてもらうことになる。
・ ガイドラインの水準を下回っているものをいかに引き上げるか、というのが今回制定の趣旨であり、すでに上回っているものを下げることは想定していない。
○ 第1項目
・ 「俸給に相当する給与の決定」にあたっては、職務の相当する常勤職員に適用される俸給表の1級初号の俸給月額を基礎に、個人の職務経験、免許・資格、さらに当該地域の常勤職員に適用される地域手当を考慮して月額を算定の上、実際の日額や時間単価を決定する。
・ 昇給は長期在職の常勤職員に適用されるもので、非常勤職員への適用は考えていない。ただし、事実上1年を超えて雇用が継続するケースについては、前年の勤務経験を考慮して給与を改定することは可能。
・ 相談員等の専門的な職種については、職務の内容に応じて2〜3級などへの格付けはできる。
○ 第2項目
・ 通勤手当は実費弁済の性格もあり、かつ民間の非正規職員の場合でも7割が支給されているので、支給することにした。その他の手当については、民間で家族手当は常勤並みの職員でも8%、住宅手当も6%にすぎず、現段階で支給できるとは考えられない。
○ 第3項目
・ これは努力義務であり、常勤職員ならある程度の期間勤務すれば期末手当が支給されることを踏まえ、昭和28年の給実甲83で「相当長期にわたって常勤職員とほぼ同様の勤務についている者」について常勤の期末手当、勤勉手当との均衡を考慮して取り扱うよう通達し、昭和30年には特に勤務期間が6カ月以上のおよぶ職員についても、この趣旨で取り扱うよう通達した。今回の内容はその趣旨をくんだものであり、「6カ月」が最低の目安になる。
・ 勤勉手当は評価を前提とするものとなり、非常勤職員に評価がなじまないこともあり、今回ははずすことにした。
以上
|