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国公労連速報 2008年6月26日《No.2007》
科学技術レベルの低下もたらす
研究機関評価のあり方はあらためよ
 第26回国立試験研究機関全国交流集会に144人
 

 


 6月23日、国公労連と学研労協(筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会)でつくる実行委員会主催の第26回国立試験研究機関全国交流集会(国研集会)が、144人の参加で、つくば市の研究交流センターにおいて開催されました。
 冒頭、国研集会・池長実行委員長(学研労協議長)は、「一部の独法による官製談合事件に端を発して、独法のゼロベース見直しが強行され、昨年末に整理合理化計画が策定された。研究機関の統合も進められる中で、そもそも私たちの研究機関の評価や見直しがきちんとなされているのか?という疑問を持たざるを得ず、『研究機関の評価のあり方を考える』という今集会のメインテーマ設定となった。加えて、四つの分科会でそれぞれの問題を深めよう」と主催者を代表してあいさつしました。
 国公労連からは盛永副委員長が、「整理合理化計画にみられるように、政府は独法を可能な限り廃止・縮小しようとしている。私たちの対抗軸は、独法が極めて重要な役割を果たしていることを、国民の中へ広く伝えていく運動を進めることだ。また、研究機関の評価のあり方はもちろん、個人の評価についても常に検証しながら改善していこう」と主催者あいさつしました。
 午前中の全体集会では、産業技術総合研究所の中村企画副本部長が、独法評価への研究機関としての対応など、組織評価の現状を詳細に報告した後、国研集会・中嶋副実行委員長(学研労協副議長)が「私たち労働組合は研究機関の評価をこう考える」と題して報告しました。この報告は、事前の組織アンケート(15組合からの回答)をもとに実行委員会でとりまとめたものです。

 ★もっと国民に研究機関の重要性を理解してもらおう

 中嶋副実行委員長は、アンケートに寄せられた意見として、「基礎研究が切り捨てられている」「目先の業績重視は問題」「削減ありきで研究意欲がなくなる」「評価基準が研究独法の評価になじまない」「評価のための準備が現場の研究時間を奪っている」ことを紹介。「このまま同じような評価を続けていくと、多くの研究独法が立ちゆかなくなり、日本の科学技術レベルの低下をまねくことは必至」と語りました。
 結論として、中嶋副実行委員長は、「評価は研究内容が理解可能な組織に任せる」「競争的資金の抑制と交付金の増額を行う」「これ以上の統合化はかえって非効率なのでやめる」「もっと国民に私たちの仕事の重要性を理解してもらえるよう努力する」などの提言を行いました。
 つづいて、国研集会・上野事務局長(国公労連独法対策部長)が、情勢報告と7月末に政府の総合科学技術会議に申し入れる研究機関統一要求(素案)などを提起しました。

 「生活に追われ、研究に打ち込めない」
  ポスドク=“高学歴官製ワーキングプア”問題で分科会


 その後、昼食休憩をはさみ、四つの分科会((1)研究職の個人評価、(2)研究職以外の個人評価、(3)研究環境・労働条件全般の交流、(4)ポスドク問題)を実施しました。個人評価については、事前に組合員アンケートを実施し、1,446人からアンケートを集約しました。
 また今回は、国公労連の研究機関対策委員会として、ポスドク問題分科会を担当。座長の大高実行委員(全通信)らの司会のもと、二人のポスドクの方を含む30人の参加で、3時間があっという間に過ぎる密度の濃い分科会となりました。“高学歴官製ワーキングプア”の状態に置かれているポスドク(※博士号を取得しているが、正規の研究職、教育職につけない研究員)の方からは、「生活に追われ、雇用不安につきまとわれ、研究に打ち込めない」「数年後に雇用を切られ、先がない職場に魅力を感じることができず、研究意欲もわいてこない」「処遇改善で何とかしようとしても、それぞれが競争相手であり、むずかしい面もある」など、率直な意見が分科会で出されました。
 それぞれの研究所労組からは、「総人件費5%削減のなかで、正規の研究者が雇用できず、今では研究者の半分がポスドクだ」「新規採用の8割がポスドクになっている」「正規の研究者とポスドクのコラボレーションで研究が進められているのに、ポスドクがむくわれることがない状況だ」「研究に打ち込めないポスドク世代(30歳代)の不安定な状態は、日本の科学技術はもちろん社会全体にとっても大きな損失だ」「ポスドク世代の正規の研究者が存在せず、次世代の人材育成が困難で、このままでは研究所の将来は立ちゆかなくなる」「少しずつだが、ポスドクの組織化を進め、労働条件改善に取り組み前進している」「若手研究者の流動化や競争が研究を発展させるなどというお題目のもとに、ポスドク政策を推し進める政府の科学技術政策を抜本的にあらためさせることが必要だ」など、たくさんの意見が出されました。
 分科会の感想として、ポスドクの方から、「きょうの分科会の議論を聞いて、労働組合の重要性がよく分かった」「手を差しのべられるのを待っているだけでなく、ポスドク自らも連帯して改善に向けてがんばらなければならないと思った」という声が寄せられました。

以上

 
 
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