猛暑の中、安心年金つくろう会が厚生労働省要求行動を実施
安心・信頼できる年金をつくれ!年金機構の基本計画決定は撤回せよ
国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会(略称:安心年金つくろう会)は8月7日昼休み、日本年金機構の「基本計画」の閣議決定の撤回を求める厚生労働省要求行動を開催。猛暑の中、安心年金つくろう会の各構成団体から約90人が参加しました。
集会の開会にあたって国公労連の福田委員長は、「今、安心できる年金制度の再構築こそが求められている。閣議決定は、国民が求める安心・信頼できる年金制度の確立に背をむけるもの。処分歴のある職員の一律不採用は極めて不当であり断固抗議する。職員バッシングを見せしめとして政治的に利用することは断じて許せない」と主催者あいさつ。激励に駆けつけた日本労働弁護団の水野事務局長は、「年金機構は社会保険庁の事業を継承する。処分歴のある者を一律不採用とする基準は合理性を欠き、公務員法に反し、労働法理を無視する違法、不当なもの」と批判し、日本労働弁護団もともにたたかうと連帯あいさつを行いました。国公労連の川村副委員長が日本年金機構の「基本計画」をめぐる情勢と安心年金つくろう会の結成以降の活動について報告。その後、安心年金つくろう会の3つの団体の代表が発言。全日本年金者組合の久昌中央執行委員は、「偽装事件をみれば、民間にまかせてうまくいくわけではないことは明らか。年金記録問題の解決や欠陥だらけの年金制度をよくするには、業務に精通しているベテラン職員が必要だ」と発言。国鉄労働組合の小池中央執行委員は、「懲戒処分をうけた者の一律不採用は二重処分だ。閣議決定は国民の声を無視したもの。国鉄と同じような事態にしてはならない」とともにたたかう決意を表明。自由法曹団の加藤事務局長は、「日本年金機構は必ず破綻する。年金記録問題の解決の見通しを示さず、専門性ある職員を排除しようとしているからだ。道理と展望に確信をもってたたかおう」と参加者を激励しました。そして、各団体の最後に社会保険庁職員を組織する全厚生労働組合の杉下中央執行委員長が発言。「閣議決定は断じて容認できない。撤回・見直し、職員の雇用確保のために全力でたたかう。厚生労働省・社会保険庁の使用者責任も追及していく。大きな支援をお願いしたい」とたたかう決意を表明しました。参加者全員で、「国の背責任で、信頼できる年金をつくれ!」「年金業務の民間委託はやめろ!」「職員の雇用を確保せよ!」と厚生労働省にむかって力強くシュプレヒコール。最後に公務労組連絡会の黒田事務局長が閉会あいさつを行い、「これからお盆を迎える。不当な閣議決定の内容を故郷にかえって知らせ、運動を大きく広げよう」と参加者に呼びかけました。
「安心年金つくろう会」が厚生労働省に「基本計画の撤回」を申し入れ
厚生労働省前の昼休み緊急行動終了後、安心年金つくろう会は「日本年金機構の基本計画の閣議決定の撤回を求めます」(別掲参照)との要請書を厚生労働省に提出しました。要請行動には、公務労組連絡会、年金者組合、国鉄労働組合、国公労連の代表が参加。厚労省は大臣官房総務課が対応しました。
冒頭、公務労組連絡会の黒田事務局長が要請書を手交し、「安心して暮らせる年金制度の実現をめざし広範な運動をとりくむために、労働組合や民主団体が中心となって『安心年金つくろう会』を立ち上げ、この間、再生会議や厚労省への申入れを行ってきた。6月30日の再生会議の最終整理を受けて日本年金機構の基本計画が7月29日に閣議決定されたが、記録問題の早期整備や年金制度の拡充を求める私たちの要求には程遠い内容となっている。特に職員採用基準では政治の思惑を優先する自民党の横暴により、さらに異常なものとなっている。公的年金の安定的運営や職員の雇用確保、生活保障のためにも閣議決定は撤回し、あり方等について再検討することを強く求める」と、会の基本的立場と要請の趣旨を述べました。
国労の小池中央執行委員は、「22年前に赤字を理由に国鉄の分割・民営化が強行されたが、借金は減らず、逆に安全問題や首都圏の輸送障害などが指摘され、国交省から改善命令もだされる状況になっている。また、社保庁の雇用問題では、処分理由の如何を問わず一律排除する方針は、第二の国鉄ともいえるもので、国労としても黙ってみているわけにはいかない。撤回・再検討を強く求める」と発言。年金者組合の古田部中央執行委員は、「宙に浮いた年金が整備されたとしても支給までには半年から1年近くかかっている。かつて年金業務に携わったが、相談などは専門的な知識が必要で簡単に民間委託すればいいというものではない。マニュアルで対応できるものではない。電話相談の民間任せは問題があり、専門性・経験等が重視されなければならない。そのことが安心・信頼の基本ではないか」と閣議決定の問題点を指摘しました。国公労連の川村副委員長は、職員の雇用についてはあらためて労使関係として申し入れを行うとしたうえで、「大幅な職員の削減と民間委託の拡大で国民の信頼が得られるのか。社会保険庁、厚生労働省として国民の期待に応えられる体制と年金制度を確立する責任がある。その点から基本計画は撤回し、あらためて国民的な議論で年金業務の運営機関の有り様を検討する必要がある」などと問題点を指摘し、閣議決定の撤回を強く求めました。
これらに対し総務課の対応者は、「回答できる立場にはないが、要請内容は関係部局に対して、本日出された意見も含めて伝達する」との姿勢を表明しました。会は、「大臣に必ず届くように配慮すること」を強く申入れ要請行動を終了しました。
(別掲)
2008年8月7日
内閣総理大臣 福田康夫 殿
厚生労働大臣 舛添要一 殿
国の責任で、安心できる年金制度をつくる連絡会
(略称:安心年金つくろう会)
日本年金機構の「基本計画」の閣議決定の撤回を求めます
政府は7月29日、社会保険庁を廃止して2010年1月に発足する日本年金機構の「当面の業務運営に関する基本計画」を閣議決定しました。この基本計画は、年金業務・組織再生会議の最終報告に沿って公的年金業務を支える人員体制を大幅に削減するとともに、各種届書の第一次審査や納付免除勧奨業務、年金相談業務などの民間委託を拡大するものとなっています。職員の採用基準については、自民党の意向を踏まえて処分歴のある職員を一律不採用とすることが盛り込まれました。
私たち安心年金つくろう会は、国の責任で、安心・信頼できる公的年金制度を確立することを求めて運動を進めています。その立場から、政府の責任で年金記録問題の早期解決を図ることと、そのための体制の確立を求めてきました。また、公的年金業務の専門性と安定的な運営を確保するため、民間委託の拡大は行わないことと業務に精通した職員の雇用確保を求めてきました。
政府が決定した「基本計画」は、こうした私たちの願いと要求を踏みにじるとともに、多数の国民の期待にも背くものであり、容認することはできません。基本計画の閣議決定は撤回し、あらためて幅広く国民の声を聞き、公的年金制度と業務運営のあり方について再考するよう強く求めるものです。
安心年金つくろう会は、「国の責任で、安心・信頼できる年金制度の確立を求める請願署名」のとりくみをはじめ、幅広い国民のみなさんと共同して、年金記録問題の早期完全解決、消費税によらない全額国庫負担の最低保障年金制度の確立、国が直接管理・運営する公的年金制度を実現するために奮闘するものです。
以上
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