全国労働委員会民主化対策会議は11月18日、08年度総会を全労連会館で開きました。総会には19単産、16地方組織、2団体(東京争議団、マスコミ文化情報労組会議MIC)の計86人が参加しました。 (うち、地労委の労働者委員6人含む。国公労連は14人参加)
総会は、30期中労委委員任命において淀房子さん(全医労前副委員長)が非連合労組の推薦者で初の労働者委員に選任されるという歴史的・画期的な成果を獲得し、京都総評の推薦者が新たに地労委労働者委員となり全国9県で非連合労組推薦者が労働者委員となるという状況で開かれました。
提案された経過報告では、「民間担当労働者委員についても組織人数比で行けば1名獲得できた」はずであり、今回の淀さんの任命については「政府の非連合排除の姿勢を根本的に転換させたとまでは評価できない」と指摘しています。方針案では「2つの柱」として(1)労働委員会の活用促進の取り組みと(2)さらに労働者委員の任命を求める取り組みが提起されました。
討論では最初に淀さんが「苦節18年、諸先輩の運動を引き継ぐ形で、今回任命されましたが、ここがスタート地点です。ようやく0から1人になったので、これから2人とか3人とか、速やかに増やしていくことが大事です」と発言。続いて全医労の岩崎委員長が「全医労出身者から中労委労働者委員が誕生したことを本当に名誉なことと思う」と発言しました(別掲/岩崎発言要旨)。
また井戸幹事(MIC)は「条件的には水久保候補の任命も実現できたのではないかということなので、反省している。過去、MICから民放労連や出版労連の統一候補をたててきたが、今回は全国的な大きな組合である新聞労連の出身候補であり、幅広く運動を行える余地はあった。今後の運動ではもっと工夫していきたい。」と発言。さらに静岡県の代表は「人数比で連合と比べてかなり低い県での委員獲得について幹事会として方針提起を望む」と述べました。
方針案等は提案通り採択されました。役員は、議長に根本氏(全労連)、副議長に国分氏(純中立労連)と一倉氏(MIC)、事務局長に寺間氏(全労連)、事務局次長に菊池氏(東京地評)と橘田氏(MIC)、幹事に上野氏(国公労連)他10名、特別幹事に淀氏(中労委労働者委員)、となっています。
▼パイオニアの人生が淀さんに
岩崎全医労委員長の発言 「今回淀さんが任命され、労働委員会、労働行政の民主化が進むこととなるでしょう。全医労出身者から中労委労働者委員が誕生したことは本当に名誉なことと思います。退職後に悠々自適な生活を送ることができるのに今後労働者委員として勤められる淀さんには、お気の毒とも思います。しかし、我々の側の労組では誰も経験できなかったパイオニアとしての人生が用意されたということであり、頑張っていただきたい。
淀さんの任命の要因についてはILOが何回も勧告をだしていた、女性委員は2人に過ぎなかった、全医労はよく労働委員会のお世話になっていて「お得意様」だった、とか言われています。しかし淀さんの奮闘と運動の盛り上がりも大きいと思います。淀さんはタスキをつけて頑張るし、運動の中で「鉄腕房子」という鉄腕アトムの替え唄もできて厚生労働省前でうたいました。何と自ら舛添大臣宛に手紙まで書いて、公正任命を訴えているのです。
実は、厚生労働省前の宣伝行動で鉄腕アトムの張りぼて人形を宣伝カーに載せるときに、アトムのクビが落ちてしまったことがありました。あの時は、(不吉であり)どうなることかと思いましたが、こういう結果となって本当に良かった。
先月開催された女性集会で淀さんの看護観、人生観を伺ったが、弱者の立場からの看護を目指しておられることがよくわかった。中労委でもその立場で奮闘していただきたいと思います。
淀さんを励ます集いを開く
「私の任命は皆さんの勝利」とあいさつ
116名が激励に駆けつける
総会終了後、全労連近くの会場で「中労委委員・淀さんを励ます集い」が開かれました。ここには過去の民主化会議の候補者、弁護士をはじめとして116人が参加しました(国公労連は25人が参加)。
当日は、各界からの祝福と激励のあいさつを受けて淀さんは次のようにあいさつしました。
「今回、私が任命されたのですが、この任命は皆さんの勝利です。今までの諸先輩の運動の積み重ねの上に私の任命があるのです。
昨日夕刻から中労委委員任命や新旧委員懇親会がありましたが、知らない人ばっかりでした。しかし、席のとりの女性の委員ともお話ししましたし、労働者の味方として他の委員の皆さんと協力して頑張りたいとおもいます。私のスタンスは明確です。あってはならないことは許さないということです。賃金カット、不当労働行為、不当配転などあってはならないことは、無くしていくということです。
私は失敗が許されません。そういう立場です。私の任命が皆さんの勝利であると同様に、私の失敗は、皆さんの失敗であり、恥です。これまで私(の性格・行動)は『直球』でしたが、今後は『ナックルボール』もまなんで頑張ります。皆さんの引き続くご支援をよろしくお願いします」
なお、今回任命されなかった水久保氏もあいさつし、「昨年9月に新聞労連委員長と副委員長に要請され、統一候補となりました。今回(淀さんの任命で)、風穴があきました。これからです。組織人数割合による任命ということならば、もう1人任命されてもいいはずです。来期は民間担当委員の獲得もめざして、頑張りましょう」と述べました。2人には大きな花束が手渡されました。
【注】淀さんは特定独法担当の労働者委員に任命されましたが、実際の業務としては民間企業の事案も取り扱います(中労委事務局よりの説明)。
以上
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