処分歴を理由に排除するな!
安心年金つくろう会が年金機構設立委員会に申し入れ
安心・信頼できる年金制度には専門知識ある職員が不可欠
安心年金つくろう会は12月8日、日本年金機構設立委員会に対して「日本年金機構の基本計画等に関する申し入れ」(別紙)と資料として自由法曹団の意見書(「社会保険庁の解体・民営化を凍結し公的年金の保障を」、「社会保険庁職員の雇用保障を求める意見書」)を提出し、職員の採用基準の策定にあたって処分歴のある職員の排除を行わないことなどを要請しました。
要請は、年金者組合の九昌中央執行委員と国公労連の川村副委員長、全厚生の飯塚委員長の3人で行い、設立委員会の事務局である厚生労働省年金局総務課が対応しました。
要請にあたって川村副委員長は、「年金記録問題の解決のめども立たない中での社会保険庁の解体には反対」と基本的な立場を表明するとともに、「年金機構への移行が避けられないとするならば、業務が正確に遂行されることが大前提。そのためにも業務に精通した職員の雇用は不可欠だ。過去の処分歴を理由に機構から排除しては、専門性は確保できない」と述べました。
年金者組合の九昌中執は、「記録が統合されても、再裁定処理に1年もかかっている。人が足りないことは明白。年金機構から現在の社保庁職員を排除して、安定的、専門的な業務処理が行えるのか。専門的な知識を持った職員が年業務を担うことが、安心・信頼できる年金制度の条件だ」と訴えました。
対応した職員は、申入書と添付資料は設立委員会の奥田碩委員長に渡し、申し入れの趣旨を伝えると答えました。
設立委員会は、11月12日に第1回目の会議を開き、12月4日に2回目、そして12月9日に第3回目の会議を開きます。事務局の話では、採用基準については第3回の会議でまとまらない場合には12月22日に第4回目の会議を予定しているとのことです。
(別紙)
2008年12月8日
日本年金機構設立委員会
委員長 奥田 碩 殿
国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会
(略称:安心年金つくろう会)
日本年金機構の基本計画等に関する申し入れ
安心年金つくろう会は、年金記録問題の解決もないままに社会保険庁を解体し、年金業務を日本年金機構に移行することに反対しています。日本年金機構の設立委員会が発足しましたが、年金記録問題の解決に向けた展望は何も示されていません。私たちは、公的年金に対する国民の信頼を回復するためにも、日本年金機構法は凍結し、年金記録問題の完全な解決と安心・信頼できる年金制度の確立、そのための財源のあり方を議論するよう求めます。
仮に日本年金機構に移行することが避けられないとすれば、「とりわけ、業務が正確に遂行されることが、国民にとって最大の関心事であり、何にもまして重要なこと」(基本計画)であり、そのための体制確立と専門性の確保は不可欠です。
しかし、2010年1月に設置するとしている日本年金機構の「当面の業務運営に関する基本的方針」(08年7月29日閣議決定)では、今でも定員割れして要員が不足している社会保険庁職員をさらに削減するとともに、どんなに業務に習熟・精通した職員であっても処分歴があれば日本年金機構には採用しないとしています。また、業務の多くを民間業者に委託することも、個人情報の管理をはじめ、安定した業務運営などが損なわれることを懸念するものです。
この点では、10月1日に発足した全国健康保険協会において様々なトラブルが発生するとともに、相談業務をはじめとするサービスの後退が指摘されています。
国民の信頼回復が大事だとするならば、日本年金機構は効率を優先するのではなく、万全の体制を確立するとともに、業務の専門性・安定性の確保、職員の意欲が発揮できる環境を作ることが重要だと考えます。この点から、以下の事項を実現いただきますようよろしくお願いします。
記
1.日本年金機構の正規職員枠を大幅に拡大し、安定的・専門的な体制を確保してください。
2.年金業務の専門性・安定性を確保するため、日本年金機構を希望する社会保険庁職員は全員採用してください。また、社会保険庁で働く非常勤職員の意向を踏まえ、日本年金機構の正規職員として採用してください。
3.年金業務の民間委託は、臨時的・派生的な業務に限定し、相談業務や適用促進、審査業務などの拡大は行わないでください。
4.年金記録問題の解決のための予算と体制を確保してください。
以上
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