日本年金機構希望者は全員採用せよ!
全厚生京都支部が社会保険事務局要請を実施
1月20日、全厚生京都支部は、京都国公と連携して「社会保険庁職員の雇用確保を求める要請」にかかわって当局要請を実施しました。社会保険庁改革をめぐっては、日本年金機構設立委員会が12月22日に職員の採用基準と労働条件を明らかにし、2月16日を目途に社保庁長官が「年金機構の職員となるべき者」の名簿を作成する流れとなっています。
全厚生京都支部では、地方局での名簿作成の時期をみすえて、懲戒処分を受けた職員に対しても選別せず、希望者はすべて名簿に掲載するよう、また、今後のスケジュールなどを明らかにさせるため、当局に対して申し入れを行いました。
当局からは京都社会保険事務局の松浦次長、総務課長が出席し、組合側は全厚生京都支部の山本支部長を責任者にすえ、全厚生京都支部四役をはじめ、京都国公から議長と事務局長、国公近ブロ事務局長も参加して要請に臨みました。
意向調査等、対応を丁寧に行え
冒頭、全厚生京都支部が作成した、国公近ブロ議長と京都国公議長、全厚生京都支部長の連名による要望書を当局に手交して回答を求めました。同時に、劣悪な機構の労働条件と、レポートや誓約書の作成を要求する高圧的な採用手続きに現場が意気消沈している実態を伝えました。
当局は、「厳しい情勢の下、決められた手続に基づいて作業を進めざるを得ないが、日本年金機構への採用希望者は全員採用されて欲しい思いは変わらない」「育児休業や病気休暇を取得している者については書類を送付している。各人のご自宅へ訪問して説明することはできないが、できるだけ丁寧な対応に努めたい」「厳しいスケジュールだが、今後の採用手続きの関係でどうしても早期に意向を確認する必要がある。待てるものについては十分に配慮する」「名簿に載らず不採用になった者への対応については、いまだ指示が無い。他省庁への配転や民間の就職斡旋などを地方局で行なうのか、また、その時期も現時点では不明である」「社会保険相談員などの非常勤職員の意向調査についても、具体的指示がまだない。けんぽ協会の時も遅れていたため、調査時期は春以降になると思う」と回答しました。
懲戒処分者を排除するな
当局回答をうけ、参加者からは「決められた手続」に固執する当局の姿勢を厳しく追及しました。「『懲戒処分を受けた者は採用しない』ことをもって、地方段階で名簿から恣意的に排除をするな。希望者はすべて名簿に挙げて報告し、全員採用となるよう努力を行なえ」「そもそも、懲戒処分者を採用意向名簿から除外させる方針自体が違法性を含んでいる。国公法にも馴染まない姿勢や施策に意見するべき」「発足時、民間人等からの新規採用が予定されているが、ノウハウを持っている処分歴のある職員を一律不採用とすれば業務に支障が生じることは明白である。一律不採用の方針の見直しを意見して欲しい」などの発言が相次ぎました。また、自由法曹団や日本弁護士連合会が発表した意見を紹介し、「懲戒処分者の一律不採用は、同一非違行為を理由とする二重処分に該当し、違法無効だ」と主張し、併せて、今般の新聞各社の社説でも社保庁改革見直し等の論評が発表されている事実を訴え、形式的に作業を進める当局の姿勢を批判しました。
当局「懲戒処分者を地方段階では排除しない」
当局は、「厳しい情勢の下、職員のみなさんには大変ご苦労を掛けており改めて感謝を申し上げたい。公法人として民営化されても、社会保障の基盤として公的要素を含む業務に従事していくことになるから、希望ある組織改変を目指したい」とし、懲戒処分者を地方段階では排除しないこと、矯正措置を受けたものについてもサポートする方針であること、休職者へは待ちの姿勢ではなく積極的に配慮すること等を回答しました。
参加者からは、「過去の処分の際に『通常より重い処分を課した』ことを長官が明言しており、同時に将来的な影響は無い旨を確認しているが、これでは背任行為だ」と厳しく批判しました。また、「今回の日本年金機構への採用審査については、不明確な部分が多く、また、一律不採用等の方針ありきが際立っており、問題が山積していると言わざるを得ない。一度、人事院へ行き、課題の解決に向けて要請する」よう申し入れました。
最後に、「この社保庁改革は、社会保険庁だけの問題ではなく、国公職場全体の問題でもある。採用希望者の全員採用を勝ち取るまでたたかう」ことを申し伝え、要請を終わりました。
今後、全厚生京都支部では、春闘期での統一要求時にあわせ当局追及を強化するとともに、引き続き京都国公とも連携して広く世論に訴える行動を展開することとしています。
※当初の記事に一部訂正がありました。当初、「事務局交渉」と報告を受けていましたが、今回の要請行動は国公法に定める「交渉」にはあたらないと指摘を受けたとして、全厚生京都支部より訂正依頼がありましたので、「要請」という表現に改めました。
【別添】
2009年1月20日
京都社会保険事務局
局長 村上高徳 様
国家公務員労働組合近畿ブロック会議
議長 九後健治
京都国家公務員労働組合共闘会議
議長 粟田育治
全厚生労働組合 京都支部
支部長 山本 潔
社会保険庁職員の雇用確保を求める要請書
社会保険庁においては、きたる2010年1月の日本年金機構の設立に向けて、いよいよ職員の募集、採用の手続が開始されたところです。しかし、昨年7月29日に閣議決定された「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」においては、人員の大幅削減と外部委託の拡大が打ち出され、また、懲戒処分を受けた職員は理由の如何を問わず一律不採用とするという内容が盛り込まれています。さらに、日本年金機構に採用されず、他省庁への配転もかなわなかった職員については分限免職するという発言が、国会の場でも公然となされる異常な事態となっています。
懲戒処分を受けた職員を不採用とすることは二重処分に相当し違法無効の疑いが濃厚であり、また、処分内容の如何を問わない一律不採用は客観性・合理性を欠くとして、法曹界にも反対の声が広がっています。また、年金記録問題と、それに引き続く年金特別便の事業がまだまだ未完結であり、現在ほど年金制度の安定的運営が求められ、熟達した職員の力が必要とされている時はありません。
つきましては、社会保険庁職員の日本年金機構への採用に関して下記事項を要請いたしますので、貴職の積極的な対応と、誠意ある回答を求めます。
記
1. 懲戒処分を受けた職員について、日本年金機構への採用の応募そのものを妨げないこと。また、懲戒処分歴のみを理由として、採用希望者名簿から排除しないこと。
2. 休職者に十分な説明を行なったうえ意向調査を行ない、意向を尊重すること。
3. 矯正措置を受けた職員について、差別的な取り扱いがなされないよう配慮すること。
4. 職員の意向の決定に十分な時間を確保すること。
5. 不採用となった職員について、他省庁への配転など、雇用の確保に万全を期すること。
6. 非常勤職員について、採用に関するスケジュール、手続などについて、すみやかに示すこと。また、希望者の採用に向けて全力を尽くすこと。
以上
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