公務労組連絡会は4日、政府の地方分権改革推進本部に対して、同本部の下に発足した人材調整準備本部にかかわって申し入れをおこないました。
人材調整準備本部は、国の出先機関の地方自治体への移譲などにあたって、人員の移管等の仕組みを検討するために設置されたものです。検討課題としては、国家公務員から地方公務員に移管される場合の給与や退職手当の取り扱いなどがあげられています。
職員の身分や雇用、労働条件はもとより、公務・公共サービスのあり方ともかかわることから、申し入れでは、サービス切り捨てにつながる出先機関の見直しをやめ、公務に専念できる職場環境の整備などを求めました。
今後とも労働組合との十分な交渉・協議を求める
地方分権改革推進本部への申し入れには、公務労組連絡会から黒田事務局長、秋山事務局次長、自治労連の柴田書記次長、全教の中村中執、国公労連の杉山中執が参加、政府側は、人材調整準備本部の事務局である地方分権改革推進室の担当者が対応しました。
はじめに、黒田事務局長は、「申し入れ書」(別掲)を手渡し、「出先機関で働く職員が将来に不安を持つことは、行政遂行における安定性・専門性にも支障をきたし、公務・公共サービスを低下させることにもなる。今国会で公共サービス基本法が成立したことからも、国の責任として公務・公共サービスの拡充・強化をはかることが検討の大前提だ。また、検討対象として、給与や退職金などの労働条件があげられており、これらが変更されるならば、労働組合との話し合いが必要なことは言うまでもない」と、労働組合との十分な交渉・協議を求めました。
事務局側からは、6月3日に開かれた第1回会議の内容や、今後の検討方向などが報告され、「地方分権改革推進委員会の第2次勧告にあたって、麻生首相からも、『人の移管は丁寧にすすめていく必要がある』との発言があった。また、第1回会議では、所管の総務副大臣から、国の機関、地方の機関、国民が納得できるようにおこなうべきとの意見も示されている。こうした考えを基本に、みなさんの意見と聞きながらすすめていくべきと考えている」とのべられました。
(別添:人材調整準備本部への申し入れ書)
2009年6月4日
内閣総理大臣 麻生太郎 殿
(地方分権改革推進本部長)
公務労組連絡会 議長 山口 隆
人材調整準備本部に関する申し入れ書
政府は、国の出先機関改革に基づく「工程表」を決定し、年末に大綱の決定を行うこととしました。その一環として、6月3日に設置された人材調整準備本部は、出先機関の改革に伴う人員の移管等について仕組み等の検討を行うとしています。
人員の移管等は、出先機関で働く国家公務員労働者の雇用・労働条件に多大な影響を与えるものであり、受け入れる地方自治体にとっても、いわゆる「玉突き人事」が懸念されるなど様々な影響が生じるおそれがあります。
出先機関で働く職員が将来に不安を持つことは、行政遂行における安定性・専門性にも支障を来たし、公務・公共サービスを低下させることにもなります。使用者としての重大な責任を厳しく指摘するとともに、公共サービス基本法が成立していることからも政府として公務・公共サービスの拡充・強化を図るべきです。
公務労組連絡会は、国・地方自治体で働く公務員労働者を組織する労働組合として、労働条件に多大な影響を与えることから、下記の事項について政府として誠意ある対応を行うよう求めます。
記
1、公務・公共サービスの切り捨てにつながる、大幅な定員削減を目的とした国の事務・事業の地方移譲や地方支分部局の統廃合による「合理化」を行わないこと。
2、雇用不安を起こすことなく、安心して公務に専念できる環境を整備すること。
3、当事者たる労働組合との誠意ある交渉・協議を行うこと。
以上
※公務労組連絡会FAXニュース(2009年6月5日No.797)より転載
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