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国公労連速報 2009年8月21日《No.2216》
【社会保険庁改革対策委員会ニュースNo.74】
     
 

 

公務部内での配置転換によって雇用を確保せよ
社保庁職員の分限免職回避で政府に申し入れ


 国公労連は20日、政府・総務省に対して「社会保険庁職員の雇用確保を求める申し入れ」(別添)を提出して交渉を行いました。交渉は、09人勧の取り扱いをめぐる緊急の総務省交渉に引き続いて実施し、総務省側は人事・恩給局の川淵総務課長が対応しました。

平等取り扱いの原則を守り、雇用を確保せよ

 交渉では川村副委員長が以下のとおり申し入れの趣旨を発言しました。
 社会保険庁の廃止、年金機構の発足まで4カ月と少しとなった。6月25日に年金機構、健康保険協会への採用内定と、厚生労働省配転の内定の本人通知が行われた。社保庁は、再就職未定者の人数や態様を明らかにしていないが、マスコミ報道では1000人近くもいて、分限免職の可能性があると言われている。
 分限免職回避の第一義的責任は社保庁と厚生労働省にあるが、閣議決定された年金機構の「基本計画」でも分限免職回避の努力義務が明記されており、政府全体として対応する責任がある。
 社保庁の再就職支援は、国や地方公共団体での欠員補充の際の受け入れ要請も行っているが、主要には「官民人材交流センターの活用が最も有効な手段」としている。しかし、今日の厳しい雇用状況のもとでは公務員と同水準の労働条件が確保されるのか、疑問だ。
 社保庁の廃止、年金機構の設置は国策である。また、年金機構での民間人採用千人も政府が決めたもので、そのことによって社保庁職員の採用枠が狭められ、結果として分限免職の対象者が増加することにつながっている。このことからも、民間への再就職あっせんではなく、公務部内での配置転換が最優先されなければならない。
 現に、いま進められている定員純減においては、「関係職員の雇用の確保を図りつつ純減を進めることの重要性に鑑み」と「雇用調整本部」を設置して、各府省に対して採用抑制や受け入れ条件の緩和指導なども行いつつ、農政事務所等の職員の配置転換が行われている。
 憲法14条の平等権の大原則、あわせて国家公務員法27条の平等取り扱い原則からしても、社会保険庁職員は別だとはならない。「関係職員の雇用の確保の重要性」は社保庁職員も同じであり、政府として、分限免職回避のために、雇用調整本部も活用して公務部内での配置転換に全力をあげるよう求める。
 生首を切らないために最大限の努力を求める
 続いて、全厚生の峰書記次長が職場実態を発言。
 6月25日に内定通知が行われたが、職場では「あーよかった。年金機構に行けた。国に残れた」と言っている職員は一人もいない。どこにも行くところがないという仲間がいるからだ。
 もう一つあるのが社会保険庁改革の3年間のなかで、心身ともに衰弱して病休を取っている人も保留となっており、行き先がない。労働組合として、こういう人をどうするのかと当局と話しているが、厚生労働省の力だけでは、社会保険庁の力だけでは到底解決できない。このままでは生首を切るということになる。閣議決定で、目的外に閲覧して懲戒処分を受けた人は日本年金機構に行けないと法律で決まったかもしれないが、それ以外でも努力すべき点はいくらでもあると思う。総務省として、日本全国の国家公務員の職場を探して、なんとか一人でも、二人でも、生首を切らないために、なんとか職を確保するために最大限の努力をしていただきたい。

 川渕総務課長は、「たいへん重い課題と受けとめている。社保庁・厚労省の分限免職回避にむけた対応を注視したい」「どういった支援ができるのか、人事担当課長で構成する人事管理官会議幹事会でも厚労省から職員の受け入れ要請が行われており、あらためてそういった場を持ちたい」と述べました。


2009年8月20日
内閣総理大臣 麻生太郎 殿
総務大臣   佐藤 勉 殿

日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 宮垣 忠

社会保険庁職員の雇用確保を求める申し入れ

 社会保険庁を廃止し、公的年金業務を継承する日本年金機構の設置まで5ヶ月を切りました。社会保険庁は6月25日、日本年金機構及び全国健康保険協会への採用内定と、厚生労働省等への転任内定を本人に伝達しました。具体的内容が一切明らかにされていないために個々の実態は不明ですが、全国で1000人弱の職員が再就職未定者とされ分限免職の可能性があることなどが報道されています。
 厚労省・社保庁は、不採用となった職員の再就職支援対策として、本庁に「社会保険庁職員再就職等対策本部」、地方には「支援室」を設置しました。今後支援対象職員の意向把握を踏まえ、官民人材交流センターの活用、国の機関や地方公共団体への受入要請など、分限免職回避のためのとりくみを行うとしています。
 しかし、官民人材交流センターは再就職の斡旋や相談を人材ビジネス会社に委託するものであり、現下のきびしい雇用失業情勢のもとでは労働条件等での齟齬は避けられません。社会保険庁の廃止と公的年金業務の日本年金機構への移行は国策によるものであり、分限免職の回避にむけて政府は最大限の責任を発揮しなければなりません。したがって分限免職回避の努力として第一義的には公務部門への配置転換が求められるものであり、安易に民間斡旋などということは本末転倒です。現に「国の行政機関の定員の純減」にあたっては、政府自身が「雇用調整本部」を設置し、各省への配置転換が行われてきました。社保庁廃止にあたっての対応は、憲法14条の「法の下の平等」や、国家公務員法第27条の「平等取扱の原則」から見ても容認できるものではありません。
 昭和40年代以降幾多の組織改廃が行われてきましたが、国家公務員法第78条4号による分限免職は昭和39年の6名を最後に行われていません。政府は、昭和44年の総定員法制定時をはじめ、国会における「公務員の出血整理、本人の意に反する配置転換を行わないこと」などの付帯決議のもと、大規模な組織改廃においても公務部内における配置転換や身分の切り替え等によって対応してきています。
 こうした経緯や、平等取り扱いの原則を踏まえるならば、社会保険庁の廃止にあたっては先ず公務部内での配置転換を最優先すべきであり、雇用調整本部を活用するなど政府としての責任を果たすよう要請します。

以上

 
 
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