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国公労連速報 2009年10月6日《No.2227》
【社会保険庁改革対策委員会ニュースNo.78】
     
 

 

日本年金機構の設置凍結を目指し2日間で延べ63人が参加・266人の議員に要請
国公労連・全厚生が国会議員要請行動


 日本年金機構をめぐって様々な報道が行われていますが、設置の凍結を世論に訴え、国の責任で安心・信頼の年金制度の確立を求める世論を広げる取り組みを早急に強めることが重要です。
 国公労連・全厚生は9月30日、民主党・社民党・国民新党の与党3党の衆議院議員に対し、日本年金機構の設置凍結と公的年金の充実を求める要請行動を実施しました。時期的にも重要な取り組みとなった行動には、午前には国公労連から24名、午後は全厚生から28名の述べ52人が参加し、260人の議員に要請しました。
 また、10月1日には、全厚生の業務センター支部と神奈川県支部から11人が参加して議員要請行動を実施。46人の議員(秘書)に要請書を手交し、請願署名の紹介議員をお願いするとともに、日本年金機構の設置凍結についての理解を求めました。国会が閉会中のため、ほとんどが秘書対応で「議員に伝えます」ということでしたが、「党の方針で対応するようになると思う」、「制度よりも雇用が大事ではないか」、「同感だ」などのコメントも寄せられました。参加者からは、「世論が動けば議員も変えていくことができる」「一人一人の議員に直接訴えていくことが重要」などの意見も出され、取り組みの強化を確認しました。

全厚生京都支部が山井事務所に、
業務センター支部が長妻事務所に要請


 全厚生京都支部は10月2日、山本支部長以下2名が山井和則(民主党)事務所を訪れ、秘書と面談しました。
 日本年金機構の凍結と現場の意見等を踏まえた対応を求めたところ、「長妻大臣の言っている全件照合などの事業についてどう思いますか」、「日本年金機構の凍結は可能ですか」、「凍結するとしたらどの程度の期間を想定していますか」、「よく相談を受けるが第3者委員会についてどう思いますか」、「民間から何人採用予定ですか」など踏み込んだ質問が寄せられました。
 これに対し京都支部は、(1)正確なところはわからないが照合には何千人も必要ではないか、(2)凍結は可能だが社保庁の改革も必要、(3)第3者委員会は体制も含めて見直しが必要、(4)民間からの採用でも人員は大幅に不足するのが実態、などとコメントしました。
 秘書は、議員は地元にはまったく戻ってこないので東京事務所にファックスで要請内容を伝えると述べました。
 業務センター支部は10月3日、北畠支部長以下4名が長妻厚労大臣の東京事務所を訪れました。アポが取れていなかったことや来客が多かったことなどから、受付で要請書を手渡すとともに、「現場を見て判断して欲しい」ことを強調しました。これに対し、「要請のあったことは伝えます」とのコメントがありました。

「今慎重に判断している」(9/29長妻大臣)

 「年金機構予定通り発足」(9/29朝日)、「年金機構1月発足固まる」(9/29読売オンライン)、「長妻厚労相・まだ決めていない」(9/29日経ネット)、「迫る難題、手腕発揮を」(9/30毎日)など日本年金機構の設置問題をめぐって様々な報道が行なわれています。9/29の閣議後の記者会見で長妻大臣が述べた内容は次のとおりです。

(記者)日本年金機構の問題ですが、これについては、方針として予定通り社会保険庁を廃止して年金機構に移行するという方針でよろしいのでしょうか。

(大臣)これはまだ決めておりません。いずれにしても決断の時期は迫ってきていると認識しておりますので、今、各方面の方からも御意見を聞いて、進捗状況も含めて慎重に判断をするということであります。

(記者)決断の時期が迫っているというお話がありましたが、もし日本年金機構の計画を廃止するということになれば、タイムリミット、法案作成などのタイムリミットがかなり来ていると思いますが、それでも選択肢としては、日本年金機構の計画を廃止するということもお持ちなのでしょうか。

(大臣)今の時点では決めておりません。色々な選択肢、行くか進むかだけではない選択肢というのももちろん、行くにしてもそのままいくのか、戻るにしてもそのまま戻るのか等々がありますので、非常に重要な、消えた年金問題も含めた信頼回復のための重要なポイント、テーマでもあると思いますので、今慎重に判断をしているということであります。

世論構築に全力を挙げよう

 5000万件の宙に浮いた年金などの記録問題も未だ半分が解明されただけです。そのうえ、8億5千万件にも及ぶ紙台帳との照合・補正もこれからです。また、年金機構は、国の行政機関ではなくなるため、国会での追及も今までのようにはいきません。国の責任も国民の権利も曖昧な日本年金機構法案については2年前、民主党をはじめ共産党、社民党、国民新党の野党(当時)全てが反対しました。
 現行に比べて大幅な人員削減と基幹業務も含めた民間委託の拡大が基本とされている日本年金機構では、記録問題の解決も国の責任も曖昧にされてしまいます。
 臨時国会は10月26日からの予定です。国会審議を通じて日本年金機構問題はまだまだ問題提起や追及が可能です。また、厳しい情勢の中でも、私たちの運動で要求を前進させることも可能です。年金機構凍結の請願署名をはじめ広範な世論構築に向けて、積極的に取り組みましょう。

自由法曹団が厚労大臣あて申し入れ

 労働者の権利擁護を中心に弁護活動を行っている「自由法曹団」は、10月1日午後、長妻厚労大臣宛の「年金記録問題の解決等にかかわっての申し入れ書」を提出し、日本年金機構凍結と記録問題解決のための提言、そして社保庁職員の雇用確保を求めました。自由法曹団からは加藤事務局長以下3名の弁護士が参加。厚労省は、社保庁総務課福井室長補佐以下3名の担当官が対応しました。
 申し入れにあたって加藤事務局長は、(1)年金記録問題について、本質的な問題がどこにあるか調査解明してできる限り照合して欲しい。年金記録問題をすべて現場の職員の責任とするのは誤り、(2)現状でも人員が不足しているのだから、機構に移行した際の人員削減では、運用できるか危惧しており必要な人員の確保をお願いする、(3)採用未内定者については、年金記録問題対応に特化した委員会で雇用し、首を切ることはしないで欲しい、(4)機構を凍結して社会保険庁を存続して欲しい、(5)基本計画による処分歴がある職員を採用しないという採用基準については、職員の雇用確保、膨大な雇用問題が生じることを考え採用基準を見直して欲しい。採用基準は閣議決定であることや、党利党略から処分歴の在る職員は採用しないと言うことが盛り込まれたのであるから、その点は見直せるのではないか、など申し入れの主旨を説明しました。
 引き続き小部弁護士が、自由法曹団は、これまでも夕張炭坑や国鉄など、多くの労働争議で最後までたたかってきており、こういう問題を黙ってみていられない団体であるということや、処分された職員の分限免職は、比例原則、二重処分禁止の原則から言って法律家の判断であれば到底許されるものではないこと、裁判になるという不幸な事態にいたらないため、1人の分限免職者もだすことなく雇用をできるだけ確保して欲しい、と強調しました。
 さらに菅野弁護士が、査定がよかった職員でも不採用にされたということもあるように、採用基準が非常に不透明で職員の抱えている不安は大きいのでそういう点にもきちんと配慮してできるだけ分限免職を回避する手段を尽くして欲しい、と要請しました。
 これに対し、福井室長補佐は、(1)(2)については、年金記録問題については、国家プロジェクトとして集中的に取り組んでいきたい。(ただし、国家プロジェクトの具体的な予算、体制についてはまだ決まっていない)、(3)については、十分に配慮すべき問題だと考えている。(4)(5)については、機構にいくかどうかは、先月新しい大臣を迎えたので、早急に検討して結論を出したい。機構に移行することになったら、分限免職回避に向けてできる限り努力していきたい。採用基準の見直しについてはあり得るかどうかについて、今の時点ではなんともいえない。などと回答しました。

以上

 
 
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