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国公労連速報 2010年3月1日《No.2308》
【社会保険庁改革対策委員会ニュースNo.99】
     
 

 

国民の信頼を回復するため年金機構の業務体制の確保を
経験積んだ元職員を採用するため閣議決定は変更せよ


安心年金つくろう会が日本年金機構に申し入れ

 安心年金つくろう会は2月26日、日本年金機構本部を訪れ、機構の業務体制の確保などを求める申し入れを行いました。
 安心年金つくろう会からは、公務労組連絡会・黒田事務局長、日本年金者組合・久昌中執、中央社保協・山口事務局次長、全厚生・飯塚委員長、国公労連・川村副委員長、瀬谷中執の6名が参加し、機構側は小野塚総務部長、野上人事管理部人事グループ長など3名が対応しました。
 まず、安心年金つくろう会は要請の趣旨を説明し、「国民の信頼回復を図るべきなのに現状はそうなっていない。年金業務の経験者で欠員を早急に補充し、信頼できる体制を確保すべきである。そのためにも、懲戒処分を受けた職員は機構に採用しないとする方針は見直すようにすべきである」と申し入れました。
 続いて参加した各団体から、「現在、欠員はどの位いるのか。欠員によって、どんな影響を及ぼしているのか明らかにしてほしい」、「今年から新体制になって初めはギクシャクするだろうが、国民の信頼拡幅するための新組織であるはず。それが、人員不足では困難になってしまう。即戦力となる人員の確保が必要だ。機構からも意見をあげていくべきだ」、「国民が安心できる業務体制となっていない。国民の要求は、国民の立場に立った制度確立だ。しかし、現実は人員不足で業務がスムーズに行われていない。1日も早く体制を確立すべきだ」などと要請しました。
 これらの要請に対して機構の小野塚総務部長は、「盤石の体制とはなっていない。要請にある即戦力にある元職員の採用については、政府の方針があるので従わざるを得ない。機構の体制については、民間も含めたいろんな論議を経てスタートしている。まだスタートしたばかりなので、見直しとはならない。欠員があるのは事実で、要請項目の2番目はその通りだと思う。スキルを持っている人を広く募って体制を確立していきたい」などと述べました。また、欠員数を明らかにするよう質しましたが明確な数は示さず、「欠員の事実が生じていることは重く受けとめる」という回答に留まりました。
 欠員が業務上影響を与えていることについて、「人員不足がその要因になっているのは事実だ」とし、「各ブロックで暫定的に地域の判断で対応するなど、現場で柔軟に対応している。募集については出来る限り早くしている」と述べました。
 安心年金つくろう会は、「採用基準の枠を動かないものと決めつけるのではなく、現状を打開していくためにどうするかだ。現場の職員もたいへんだが、一番迷惑を被っているのは国民だ。そういう状況が続くと、職員のメンタルも退職も止まらない。職員のやる気を奮い立たせるようにしないといけない」、「12月段階ですでに欠員が生じていたのはわかっていたはず。分限免職などする必要はなかった」と現状に対する認識を問いただしました。
 機構側は、「職員のやる気が出るようにということはその通りであり、最優先で対応していきたい。採用基準については、いろんな会議を経て閣議決定されており、その枠のなかでの対応しかできない。12月時点で欠員が生じることは分かっていたが、最善を尽くしてきた。業務等の問題点については、現在の状況含めて理事会や厚労省年金局に正確に伝えている」と回答。さらに、長時間労働は事実として認めましたが、サービス残業については「1月当初にあったので通知を何度もだしサービス残業は現在ない」と主張。さらに安心年金つくろう会が重ねて要請している業務に経験ある元職員を採用できるように閣議決定を変える必要があるとの要請については、「理事会に伝える」と述べました。
 最後に、安心年金つくろう会は、「国民のための年金制度をやろうとしていることは我々と一致している。そのためには、欠員を埋めるための努力をすることだ。スキルを持っている人を広く公募するという話があったが、525人がそのスキルを持っている。閣議決定の見直しは可能なはず。機構の理事、厚労省に伝えてもらいたい」と締めくくり、申し入れを終えました。


<申入書>
2010年2月26日
日本年金機構理事長
紀陸 孝 殿
国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会

日本年金機構の業務体制の確保等を求める申し入れ

 1月4日にスタートした日本年金機構は「お客様第一」「信頼回復」を掲げていますが、年金業務は遅滞し、混乱しています。窓口業務などでのサービスも後退し、年金記録整備にも支障を来しています。その最大の要因は、欠員が大量に生じて職員が不足していることとあわせて、年金業務に従事してきた2500人もの社保庁職員を年金機構の業務から排除し、業務に習熟した職員が決定的に不足していることにあります。
 日本年金機構は、多数の欠員状況や経験を有する職員の不足など、業務が混乱している要因を早急に国民に対して明らかにし、欠員補充など一刻も早く体制を確立することが求められます。仮にも、混乱の責任を現場職員に押しつけることは許されません。
 国民に対するサービスを確保し、年金記録問題を解決するなど国民の年金権を守るためにも、年金機構を希望する旧社保庁職員を正規職員として採用し、その経験と能力を発揮することが求められています。そのためにも、525人に対する分限免職(整理解雇)処分と「過去に懲戒処分を受けた職員は年金機構に採用しない」とする基準は撤回し、国民のための専門的・安定的な業務運営を確立するよう求めるものです。
 これらの点を踏まえて下記事項に誠意を持って応えるよう申し入れます。


 1.日本年金機構の欠員状況をはじめ、スタート後の年金事務所等での混乱の原因を国民に対して明らかにしてください。

 2.窓口での混乱の責任を現場職員に押しつけることなく、年金業務の経験者によって欠員を早急に補充・拡充し、信頼できる業務体制を確保してください。

 3.経験ある旧社保庁職員を年金機構の正規職員として採用するため、「懲戒処分を受けた職員は年金機構に採用しない」との採用基準の見直しを政府に働きかけてください。

以上

 
 
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