5月21日、内閣府講堂で行われた地域主権戦略会議の「公開討議」は、北川正恭出先改革担当主査(地域主権戦略会議委員・早稲田大学教授)の進行で行われました。
冒頭、原口大臣があいさつをする予定でしたが、国会審議の関係でキャンセルとなり、北川主査から議事の開始が宣言され、「結論を出すものではなく、基本的考え方の参考とするための公開討議」、大塚副大臣からも自身が提出したペーパーに基づき、原則と例外の考え方を示すために行うこととしたことが述べられました。
はじめに対象となった総合通信局を所管する総務省の内藤副大臣から総合通信局の沿革などが述べられたあと、知事会PTが出した中間報告に対し、「総務省は旗振り役」として地方移管に向けて解決すべき課題を提示しました。
これに対し、上田埼玉県知事から「地方で行革する方が早い」「国は地方に比べ努力が足りない」「ハローワークを地方へ移管すれば、忙しいときに他部局から人を持って行けるが、国の場合は通信局などからは持って行くことができず、柔軟性がない」などが述べられました。
山田京都府知事は、「総合通信局の説明が組織防衛的であり、十分地方でできる」などが述べられ、「廃止・見直しとなっているものは国が関わらないことを確約しろ」と迫りました。
地方移管できるのかどうか明確に答えるよう盛んに迫る知事に対し、副大臣ができる限り前向きに検討するという回答が繰り返されました。また、具体的な例として、ケーブルテレビの許認可の問題でやりとりが交わされたあと、大塚副大臣から「人材の面を含め、地方移管が前提」という発言を受けて、北川主査から前向きな姿勢は認めるが、国に残すものと移管するものとの明確な基準を作るよう要望が出されました。
10分間の休憩のあと、法務局を対象にした公開討議が始まりました。法務省の加藤副大臣は、法務局の沿革などを述べ、中村政務官から人権擁護に関する補足説明がなされました。
補足説明のあと、一般市を代表して参加している岡山県新見市の石垣市長、政令市を代表する神奈川県川崎市の阿部市長、町村会を代表する山口県和木町の古木町長から続けて発言があり、法務省の姿勢は権限を守りたいというものでしかなく、住民に身近な自治体に移管するべきだと厳しく追及されました。中でも、石垣市長は支局の廃止で証明書の取得が不便となったが、証明書の発行など自治体ですぐにやれるとして、繰り返し発言がされました。
これに対し、法務省の事務方から様々な説明が行われましたが、自治体側は納得せず、それまで発言しなかった加藤副大臣に、北川主査が政治主導でお答えいただきたいと迫ることとなり、「主査のご指導にしたがって進めたい」と答え、上田知事からも副大臣の姿勢は事務方が会議の目的などを正確に説明していないからだと批判されると「申し訳ない」と謝ることに至りました。
法務省とのやりとりは、予定時間をオーバーし、逢坂補佐官の批判的コメントで締めくくられました。
地方厚生局の検討では、厚生労働省の山井政務官から「厚生労働省は長妻大臣の指示のもと、地方出先機関を抜本的に見直す立場で検討を進めている」ことが述べられ、論点が解決できれば地方移譲できるという姿勢が示されました。また、個別の課題について事務方から補足説明がなされました。
これに対し、上田・山田知事から「法務省と比較すると前向きだ」と評価しながらも、食品関係は地方の方が農林分野との連携がすぐできるので、おろせるだけおろすべきなどと拡大を迫る発言がなされました。
いくつかの点について意見交換がされたあと、山井政務官が「本資料は大臣と一緒につくってきたものであり、原則廃止の方針にそって検討をしてきた」ことを明らかにしながら、「論点がクリアできれば移管できる」として、今後も前向きに検討することを述べました。
こうした議論を受け、北川主査から「一層前向きに検討してほしい」という要望や、6月末の「地域主権大綱」のとりまとめ、秋の「アクションプラン」策定に向け、地方に移管することができる理屈を考えていくことが述べられ、出先機関改革の公開討議初日が終了しました。
以上
|