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国公労連速報 2010年5月25日《No.2355》
 「公開討議」第2弾
 出先の原則廃止に向けて決意を迫る
     
 

 

 5月24日、地域主権戦略会議の「公開討議」2日目が行われました。この日に議論されたのは、経済産業局、労働局、農政局、森林管理局、漁業調整事務所、地方整備局、運輸局、環境事務所の8機関でした。
 公開討議では、機関ごとに北川主査から公開討議が行われた経過、大塚副大臣から位置づけなどの説明が行われたのち、各機関の概要や出先の廃止に関する考え方が示され、自治体側から反論などが述べられるという形で進められました。
 以下、それぞれの機関ごとに概要をお知らせします。

《経済産業局》
 増子経済産業省副大臣から、原則廃止という考え方は同じであることが述べられたあと、受け皿の問題があること、国と地方が一体で進めなければならないこともあることから、出先の必要性などが述べられました。
 これに対し、自治体側(古川佐賀県知事、山田京都府知事、熊谷千葉市長、石垣新見市長)からは、経済産業省の仕事を国際競争力などに特化し、地域問題は自治体に任せるべきだとの反論が行われました。また、事例として商店街への補助事業が取り上げられ、「空飛ぶ補助金」であるとして、地域の事情をよくわからない国の出先が事業を行うのではなく自治体に任せるべきだとの主張がなされました。
 増子副大臣は、地方でできることはやってもらいたいと回答しつつも、戦略的な拠点として経済産業局の必要性を述べました。
 まとめに発言した北川主査は、ここはできない理屈を並べるのではなく、できる理屈を考えるために引き続き議論を進めていくと述べて終わりました。

《労働局》
 細川副大臣から概要などの説明が行われ、国際条約や憲法の要請、政労使で構成されている審議会からの意見などもあり、ハローワークの移管はできないとの説明が行われました。また、基準行政などの説明は時間の関係でカットされました。
 この説明に対し、自治体側(古川知事、山田知事、熊谷市長、石垣市長、小沢埼玉県毛呂山町長)から反論が出されました。反論には、ILO条約や憲法を金科玉条にしてはいけない、民間や自治体に任せている国の例もある、生活保護の情報は自治体がもっており、本来市町村でやるべきなど様々なことが述べられました。また、保険を府県単位にすることは求めていないが、自治体が総合的に行う方が優れているとの反論が繰り返されました。
 細川副大臣、山井政務官などから、国際的な情報の補足などが行われたほか、できないというのではなく、協力してやっていこうという提案であることが述べられました。

《農政局》
 郡司副大臣から、農政局に関する概要説明が行われ、個別所得補償などの関係から残す必要があり、受け皿の議論も必要とのことが述べられました。
 これに対し、北川主査、大塚副大臣から「農水省の説明を聞く場ではない」「知事会の提案に対し原則廃止とする原則と例外のヒントとなるような話をしてほしい」などが述べられました。
 自治体(古川知事、飯泉徳島県知事、石垣市長、阿部川崎市長、小沢町長)から、「基準を国が決めて地方が執行するものは多くあり、出先でやらなくてもいいのではないか」「食の安全は農水省だけではなく、県がやる方が省庁の枠を超えてとりくめるのでスムースにいく」「国が指導しなくとも積み上げ方式で自給率は向上できる」などの反論が出されました。
 農水省からは、積み上げでは水田と畑作の調整がうまくいくのか、農地転用の考え方も変化する中、議論が必要であり、結論をすぐに出せる課題ではないなどの回答がなされました。また、郡司副大臣は、「道州制の議論もある中、受け皿との関係もあり、将来を見据えた議論が必要」との意見も述べられました。

《森林管理局》
 郡司副大臣から概要説明がなされ、国が行うことの方が効率的であるなどと述べました。これに対し、自治体側(古川知事、飯泉知事)から国有林を県に移管すべき、人材を各県に配分すればよいとの意見も出されましたが、治水との関係、収益性から国がやるべきとの意見も出されるなど、意見が分かれました。

《漁業調整事務所》
 郡司副大臣から概要説明がなされ、国際ルールとの関係もあり、国で行う方向であることが述べられました。
 これに対し、自治体側(古川知事、飯泉知事)から出先がやる故に時間がかかっており、紛争調整も府県間にやらせた方がいいとの意見が出されました。
 これに対し水産庁次長は、大型船の運航もあり人員をばらすことはできず、本庁ですべてやるのではなくて現場に近いところでやる方がいいので、事務所が必要などと述べました。
 北川主査は、農水省関係が終わるにあたり、前向きに検討するよう釘を刺し、議論に区切りをつけました。

《地方整備局》
 馬淵副大臣が概要を説明し、これまで国道や河川の移管について個別協議を進めてきたことを取り上げ、引き続き前向きに進めていきたいとの意見表明を行いました。
 自治体側(古川知事、飯泉知事、阿部市長、石垣市長、小沢町長)から前向きな対応との評価のもと、高規格道路は国がやればいいが、一般国道は生活道路に近くなっており、地方に任せるべきだ。議論を前に進めるため災害が起こったときに地方がどう困るのか具体的に示してほしい。政令市は県と同じであり、通過するところも移譲するよう基準の見直しを図ってほしい。具体的には国道16号などの意見が出されました。
 これらに対し国土交通省は、移管に前向きに検討しており維持管理も含めて議論いただきたいこと、国道16号は海上コンテナが通過する幹線であり、責任の取り方を含め議論したい、琵琶湖や四国など洪水時や渇水時おける対応について過去の教訓をどう生かすのか議論したいなどという回答がなされました。
 最後に馬淵副大臣は、知事会の方向性にそって検討することを表明し、道路の区分、具体的な協議を進めたいと述べました。なお、高規格道路が寸断された場合における国道の役割もあり、調整が必要との意見も述べました。

《運輸局》
 三日月政務官より運輸局の概要説明が行われ、二重行政ではないこと、現場とのキャッチボールで職員の知識や経験を醸成していること、広域での対応が必要であることなどから、国が担うべきとの認識が示されました。
 これに対し自治体側(古川知事、飯泉知事、小沢町長)から、以前には地方事務官制度で行われていたことを考えると地方でもできる、運行維持の補助金は「空飛ぶ補助金」といわれており、一括交付金との関係から県に任せていただきたい、車検などは民間でもやっており国がやらなくともいいことなどが述べられました。
 三日月政務官は、議論の余地はあると述べつつも、交通基本法を考えていく上で検討していきたいと回答しました。これに対し、古川知事は「観光庁と運輸局など多重行政となっている点を見直すべきだ」との意見を述べ、飯泉知事からも「極力、県でやっていきたい」との意見が表明されました。
 これらについて、「観光は国の中でも重複があり一定整理を検討したいが、県が担うとなれば許認可や監査、関係団体との整理など様々な問題点があるので、慎重な議論が必要」との回答がされました。
 こうした議論を受けて北川主査は、「整備局は全部OKで運輸局は全部だめ」と感想を述べたあと、立ち位置を変えることが必要であり、広域的な受け皿を含め覚悟を決めて議論を進めるよう述べました。

《環境事務所》
 田島副大臣より概要の説明が行われ、国が責任を持つべき行政を執行しているとの認識を示しました。また、地方に移管できるものとして検討している事項についての説明も行われました。また、自治体に対する国からの「指示権」という新たな概念を持ち出しました。
 自治体側(上田埼玉県知事、飯泉知事、阿部市長)からは、前向きなところがあるが地方でできることは多くあり、環境規制など県の方が産業界との関係でも優れている。産業界とは密接に県は連携しているが、そういった場に環境事務所から挨拶に来たこともない。新たな概念は必要ないなど様々な反論が行われました。

以上

 
 
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