国公労連本部は関係各単組とともに「総対話MAP運動2010」のとりくみとして、「地域主権改革」にかかわる国会議員要請を開始しました。当面は、「地域主権改革」関係法案を審議中の衆議院総務委員会の理事を対象とし、6月11日には石田議員(自民)、塩川議員(共産)への要請と懇談を行いました。
つぶしたらつくれない つぶさずにどう改善するのかが大事
午前中の石田真敏議員(自民党)への要請には、国公労連、全法務、全港建、全労働、全建労のなかま総勢6名が参加しました。冒頭、国公労連本部の瀬谷行革・独法対策部長から要請書(別紙)を手渡し、「地域主権改革」に対する国公労連の考えを説明するとともに、地域主権戦略大綱の拙速な策定がされないよう働きかけを要請しました。その後、全法務から「国民の財産を守るため、多岐にわたる複雑な手続きを全国一律で厳正・公正に各地で担っている」、全港建から「津波などの防災対策、大規模災害の復旧拠点となる耐震強化岸壁を各地で整備している」、全労働から「各地での労災の減少や雇用保険・無料職業紹介の充実などは、全国的な方針・規模でとりくんでいるからこそ」、全建労からは「基幹的な国道、周辺資産や水利用が大きい河川の維持管理を行っている。防災対策や公共構造物の老朽化対策は国の責任で行うことを地域ものぞんでいる」など、国の出先機関が各地で果たしている役割や、今後も国の責任で担う必要性をうったえました。
これに対し石田議員は、和歌山県議や海南市長当時のことも振り返りながら、「同じような考えを持つところもあるし、そうでないところもある。自民政権でやってきたことでは足りないというのが国民の指摘であり、しっかりと対応するのが我々のスタンス。ただし、そればかりではうまくいかないし、国の関与が必要なものもあることはわかっている。ただ、全てを残すのかというと、都道府県なり道州なりへ移管できるものもある。つぶしたら二度とつくれない。つぶさずにどう改善していくかという考え方が大事。落ち着いて細かいことまできちんと議論していくことが必要」とのべ、今後の懇談・意見交換をこばまない姿勢を示しました。
国民的な運動につながるような国会審議での追及を行う
午後からの塩川鉄也議員(共産党)への要請には、国公労連、全法務、全運輸、全港建、全労働、全建労のなかま総勢8名が参加しました。進行は午前中と同様で、午後から参加した全運輸は「交通運輸行政は広域と地域との連携が必要で、全国基準と各地での実施の一体感が重要」とうったえました。
これに対し塩川議員は、「地域主権改革」と公務員制度改革は一対の関係。両方をたすと国のかたちをどう変えようとしているのかが見えてくる。「構造改革」路線を継承していることは国会審議のなかでも明らかで、ナショナルミニマムの財政措置の切り下げと一体で進められている。国民的な議論をまき起こすような、みえるとりくみが必要。こうした運動につながるように国会審議での追及にのぞみたい」とのべ、引き続き懇談・意見交換をしていくことを快諾しました。
〈別紙〉
2010年6月
衆議院総務委員会(役職)(氏名)殿
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
中央執行委員長 宮垣 忠
「地域主権改革」に関する要請
地域主権戦略会議は、義務付け・枠付けの見直しと基礎自治体への権限移譲を行うこと、「ひも付き」補助金を廃止して一括交付金化を図ること、国の出先機関改革の基本的な考え方を示すことなどを柱とする地域主権戦略大綱をこの6月にも策定するとしています。
しかし、今国会における地域主権改革関連法案の審議において、児童福祉法や公営住宅法などに係わる義務付け・枠付けの見直しが、基本的人権や生存権をも危うくするものであることが指摘されています。また、「ひも付き」補助金の廃止と一括交付金化は、社会保障や教育など国の責任で確保すべき予算の統合となり、国民に対するナショナルミニマムが確実に保障されるのか懸念されます。
国の出先機関改革では、5月下旬に開催された「公開討議」においても、全国知事会の「国の出先機関原則廃止プロジェクトチーム」の中間報告をもとに国の権限移譲ありきの議論であり、国と地方の適切な役割分担に関する議論は十分に行われていません。
貧困の深刻化や格差の拡大など、国民のくらしや地域が危機に直面しているにも係わらず、基本的人権や生存権などを保障する国の責任をあいまいにする「地域主権改革」には、看過できない問題があると考えています。
貴職におかれましては、以上の考えにご理解をいただき、下記事項の実現に向けてご尽力いただくとともに、今後も国公労連との懇談・意見交換の場を設けていただくよう要請します。
記
1.地域主権戦略大綱の拙速な策定は行わないよう働きかけて下さい。
2.義務付け・枠付けや国庫補助負担金の見直しにあたっては国の責任を明確にしてください。
(1)基本的人権や生存権の保障に係わる規制は緩和・撤廃しないでください。
(2)社会保障や教育条件などナショナルミニマムの確保は国の責任で確実に行ってください。
(3)社会保障等の地方自治に支障が生じないよう必要な財源を保障してください。
3.国の出先機関改革にあたっては地方移管や廃止を前提としないでください。
(1)出先機関が地方で果たしている役割を十分に検証してください。
(2)職員の身分・労働条件に影響が及ぶ場合は、慎重かつていねいな議論を行うとともに、国が雇用に責任を持つようにしてください。
(3)政府が当事者たる国公労連と誠意ある交渉・協議を行うようにしてください。
以上
|