国公労連
国民のための行政・司法へ ストップ!憲法改悪 サイトマップ 更新履歴 個人保護法に関する宣言 リンク
Action 私たちのとりくみ Journal 定期刊行物 Archives 資料 Mail News
トップページ >ニュース> 国公労連速報
トップページ >中央のとりくみ> 国公労連速報
 
  国民のための行政・司法へ
国公労連速報 2010年9月14日《No.2420》
 雇用・能力開発機構の廃止は時代の要請に逆行
 「はたらく権利を守るシンポジウム」を開催
     
 

 

 2010年9月10日、都内おいて国公労連などの主催で「派遣切りにあったうえに、職業訓練も奪われる! はたらく権利を守るシンポジウム」が開催され、報道機関8社を含む93人の参加のもと、08年に閣議決定され次期臨時国会にも法案の国会審議が予想される(独)雇用・能力開発機構(以下「機構」という)の廃止に係わり、「雇用が破壊されている昨今では、国の責任による公的職業訓練は充実こそが必要」などの認識を共有しました。
 シンポジウム冒頭、国公労連の宮垣中央執行委員長があいさつに立ち、「法案要綱では、機構の廃止に際し全ての職員を解雇し、厚生労働大臣と機構が再就職に必要な措置を講ずることとされているが、国鉄や社保庁の民営化と同様の手法で、労働者を路頭に迷わすことが前提となっている。撤回すべき」と述べました。
 つづく後藤教授(都留文科大学)の講演では、「公的職業訓練と国の責任」と題し「機構の廃止そのものが間違っている。構造改革のもとで非正規化により日本型雇用が破壊され、社会保障改悪などにより所得再配分機能も低下がすすめられた。労働権保障と社会保障の抜本的拡充こそ求められており、機構には学校教育と職業訓練との連動の具体化を担って欲しい。『財政赤字と債務が巨額であれば小さな社会保障しか選択の余地がない』というのは大きな誤り」と指摘しました。
 つづいて平井弁護士(自由法曹団)から特別報告があり、「日本は憲法27条に『勤労権』を掲げ、職業能力開発促進法や雇用対策法、機構法で具体化し、ILO第142号条約(人的資源開発条約)の批准もしているにも係わらず、これらに反して機構を廃止することとしている。また、EUでは指令(企業譲渡指令)により事業と雇用の譲渡が一体とされているが、日本ではこうしたルールが確立せず労働者保護の不備となっている。地方自治体への事業移管は財政事情からいずれ民営化されることが容易に想像でき、「地域主権改革」の先取りとも言える」と機構廃止法案の問題点を指摘しました。
 その後、全労働の浜野さんから「職業訓練は専門知識・技能の習得とともに生活リズムを整えるなど、特に離職者にとって重要な役割を果たしている。中小零細企業は即戦力を求めており、職業訓練が再就職を円滑にしている」、首都圏青年ユニオンの鈴木さんからは「製造業派遣の4年間では再就職に結びつく技術が習得できなかった。現在は介護の職業訓練に通っているが、学びならが将来のことを考えられる喜びを感じている。今の職業訓練のシステムをもっとよくして欲しい」と特別発言があり、最後に全厚生不当解雇撤回闘争団の児島さんが、社会保険庁の廃止にともなう不当解雇の実態と不当性を明らかにし、闘争支援を訴えました。
 また、会場からは「昨年度末に高校を卒業した就職希望者は、5人のうち1人が就職できなかった。今年度はもっと厳しい状況であり、就職難民を生まないためにも職業訓練の拡充が重要」などの発言がありました。
 最後に閉会のあいさつに立った特殊法人労連の岩井議長は、「今回の廃止は公務員も看板を付け替えればクビにできるシステムづくりに他ならない。国は果たすべき職業訓練の責任を守らなければならない。機構廃止法案を国会に提出させないようにとりくもう」と呼びかけました。

 「地域主権改革」をはね返し、憲法をくらいと行政にいかそう
 「『地域主権改革』問題シンポジウム」を開催

 2010年9月11日、3単産13団体101人の参加のもと、国公労連も参加する実行委員会の主催で「『地域主権改革』問題シンポジウム『地域主権改革』で国民生活はどうなるか」が都内で開催されました。
 シンポジウムは2部構成で行われました。
 第1部は、「『地域主権改革』と一括交付金化、2011年度政府予算案」と題して平岡教授(立命館大学)が講演を行いました。講演では、「政府は財政再建を命題として施策を進めているが、財政は目的ではなく基本的人権保障を確立するための手段。民主党は『補助金の一括交付金化で歳出を削減』と言っていたが、地方団体からの牽制もあって最近は言わなくなってきている。一気に地方に責任を転嫁するのではなく、「地域主権戦略大綱」にPDCAサイクルや事後評価などを明記しているとおり国の統制を効かせながらソフトランディングさせていく方針。政府は2011年度予算要求で各省一律に1割削減を求めており、その実現の方策として一括交付金化や出先機関改革の推進を挙げている。」など、財政面に主眼を置いて「地域主権改革」の分析が論じられました。
 第2部は、「『地域主権改革』と国民のくらし」と題し、コーディネーターに永山名誉教授(日本大学)、シンポジストに逆井氏(全国保育団体連絡会)、佐藤氏(京都府職労)、森崎氏(全労働省労働組合)、家平氏(障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会)の4氏を迎えてシンポジウムを行いました。コーディネーターからの問題提起ののちシンポジストから順番に発言があり、逆井氏は義務付け・枠付け問題に関して保育所の問題に触れて「保育所の最低基準のほとんどを『斟酌すべき基準』とし、避難路や耐火基準などが自治体の任意で設定できるようになる。財政難と待機児童の解消との両天秤から基準が切り下げられることは明白で、雑居ビルでの保育などで事故や火事が心配される。6月に提起された『子ども・子育て新システム』では幼保一体化や介護保険のような給付システム化が狙われている」、佐藤氏は広島県などでのアンケート結果をもとに都道府県から市町村への権限委譲の問題に触れ、「住民票の添付を必要とする旅券申請など完結型の届出・申請以外は、専門性や習熟度の確保の困難から住民生活の利便向上につながらないばかりか、ノウハウの伝承が遮断することで質の低下すら招きかねない」、森崎氏はハローワークなどの出先機関改革の問題に触れ、「全国知事会PTの中間報告は、労働局、ハローワーク、労働基準監督署のほとんどすべての事務の廃止を求める内容となっている。労働分野の人権保障に対する国の責任を明確にしたILO条約第81号、第88号、憲法27条を前提に議論すべき。政労使で構成する労政審などからもそうした意見書が提出されている。義務付け・枠付けの見直しはかたちを変えた『規制緩和』で、地方移管はかたちを変えた「民営化」「統廃合」となりかねない。実は1994年にギリシャが労働監督の事務を地方移管したがILOが条約違反を指摘し、再び国の事務とされたことがあり、同じ過ちをすべきではない」、家平氏は障害者の立場から生存権保障の問題に触れ、「障害者自立支援法違憲訴訟の勝利的和解で、政府は今後の制度について当事者参画のもとで議論することを約束したにもかかわらず、障害者施策に関する各種計画の策定が地方の任意で行えるようにしようとしている。障害者の生活は支援なしには成立し得ない。ナショナルミニマムを守るため、市場化させないとりくみが必要」と述べました。
 会場からは「自治体に対して住民の立場で声を届けていくことが大事」、「枝葉の話しばかりでなく、幹の部分を整理して共同・共闘の体制確立を」、「議員との対話などでは憲法を守る立場かどうかを明らかにしていく必要」など、運動を発展させていくための意見が出されました。



以上

 
  ページの先頭へ