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国公労連速報 2010年12月6日《No.2455》
 国の出先機関が地域で果たす役割の検証が必要――
 「アクション・プラン(仮称)」策定について国民新党と共産党へ要請
     
 

 

 国公労連は、11月25日に民主党、自由民主党、公明党、日本共産党、社会民主党、みんなの党、国民新党、新党改革、たちあがれ日本の9党に対し、国の出先機関改革について政府が年内に予定している「アクション・プラン(仮称)」の策定に関する懇談を申し入れ、11月29日は国民新党、12月2日には日本共産党への要請を行いました。

 机上の議論だけでなく現場の声の反映が必要

 国民新党への要請は、11月29日16時30分から30分間行い、事務局の鈴木貴司氏が対応しました(事務局長の斎藤豊氏は各党代表者会議のため欠席)。国公労連の瀬谷行革対策部長を責任者に、国公労連の高木中執と全法務、全経済、全運輸、全通信、全労働、全建労の代表の総勢8名が参加しました。8月19日(政務調査会長(当時)の森田高議員が対応)以来の要請です。
 要請は、冒頭に国公労連から、「地域主権改革」とりわけ国の出先機関改革が、全国知事会の権限移譲や財源確保などの求めに便乗し、国の出先機関が各地域で果たしている役割を検証することなく廃止を前提として乱暴に進められ、拙速にも「アクション・プラン(仮称)」が年内に策定されるこの問題を指摘しました。
 つづいて、国の出先機関改革について、各単組から慎重な検討を求めました。「ハローワークの地方移管が取りざたされているが、『全国の情報が観られない』『職業紹介の年間件数はハローワークの約100万件に対して都道府県は約8千件と2〜3桁も開きがあるのに二重行政』などと事実誤認が前提となっており、正しい認識のもとでの議論が必要。英・独など諸外国の例をみても職業紹介は国策として一元的に担っており、求人・求職いずれの利用者にとっても効率的。労働問題の専門家は誰も地方移管に賛成していない」(全労働)、「総合通信局は、情報化の推進をはじめ混信回避の監督や違法電波の監視など、地域の実情に応じながら総合的な情報通信行政を行っている。こうした事務・事業は、全国的な調整や国際的なルールのもと統一された規律で公平に運用する必要があり、産業発展や経済成長の観点からも国の責任で担うべき。」(全通信)、「財産確定のための地籍整備をはじめ権利関係の公示や取引の安全は国が保障する信用制度。地方へ移譲すると、都道府県自体が利害関係者になる場合の公平性の確保、都道府県間の制度・サービス格差の是正が問題となる可能性がある。登記制度の運営など法務局の事務は国が責任を持つべき」(全法務)、「全国知事会は地域経済振興の移譲を強く主張しているが、有識者を含む省内検討でも『都道府県単位では小さい』と指摘されている。経済振興は地域事情を国が調整しながら国家戦略として行う必要」(全経済)、「河川はもともと都道府県が管理していたが、大水害の発生や水利用の調整などから国が管理をするようになった。道路は主要道のみが国道だったところ地方が国道整備を望んできた。移管ありきの拙速なやり方ではなく、こうした経緯を踏まえた適切な議論をすべき」(全建労)、「公共交通や物流の安全確保により日本経済を支えている。全国知事会はJRは国で私鉄は都道府県などと主張しているが、さまざまな交通機関が関連することで利便性を確保している。交通運輸行政は国が担う方が効率的」(全運輸)など、国の出先機関が地域で担っている国の責任と役割について主張しました。
 これに対して鈴木氏は、「国が責任を持つべきものもある。そこを考えなければならない」、「机上の議論だけでなく、現場の声を聴いて反映することが必要。党の政策審議会などで検討する」と述べました。

 「地域主権改革」の問題について国民理解を広げ深める必要

 日本共産党への要請は、12月2日17時から1時間行い、塩川鉄也議員、山下芳生議員、穀田恵二議員、高橋千鶴子議員、井上哲士議員、赤嶺政賢議員のほか、秘書の方々が対応しました。瀬谷行革対策部長を責任者に、国公労連の高木中執と全法務、全港建、全通信、全労働、全建労の代表の総勢7名が参加しました。6月11日(塩川議員が対応)以来の要請です。
 要請は国民新党のときと同様に進行し、今回参加の全港建は「物流が成長戦略に位置づけられているとおり、港湾や空港の整備は中国や韓国、シンガポールなどでも国家で行っている。阪神淡路大震災の復旧振興で港湾が大きな役割を果たしたように、災害対策上も重要であり、国の責任で行うべき」と説明しました。
 その後、「国民の意識は、『サービスが提供されればよい。実施主体は国でも地方自治体でも構わない』というものが大勢ではないだろうか。『地域主権改革』の問題について国民理解を広げ深めるためには、こうした前提に対してどのように接近していくのかがポイントではないか」という問題提起を中心に意見交換を行いました。「国が責任を持つべきことが判る具体事例をたくさん発信していかねばならない」、「『国が高度な専門性や技術をもって効率的に提供すべき』『歴史的な経緯を踏まえた継続性を保つ必要がある』サービスだということを主張すべき」などの意見が出され、最後に塩川議員が「『地域主権改革』推進側は大きな絵が描けず、広域連携など地方の動きに便乗した乱暴なやり方しかできない状況。関係部会で対応して今後も議論を深めていきたい。次期通常国会の関連法案提出時期にこうした懇談の機会を設けていきたい」と述べました。



《要請書》

日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
中央執行委員長 宮垣 忠

国の出先機関改革「アクション・プラン(仮称)」の策定に関する要請

 国民のくらしと福祉の充実、行政体制の拡充などに向けた貴党のご奮闘に敬意を表します。
 さて、政府は、義務付け・枠付けの見直しと基礎自治体への権限移譲を行うこと、「ひも付き」補助金を廃止して一括交付金化を図ること、国の出先機関の原則廃止などを柱とする地域主権戦略大綱を6月に閣議決定しました。
 とりわけ国の出先機関の原則廃止については、「事務・権限仕分けの結果を踏まえ、個々の出先機関の事務・権限の地方委譲等の取扱方針及びその実現に向けた工程やスケジュール並びに組織の在り方について明らかにする『アクション・プラン(仮称)』を年内目途に策定する」としています。
 しかし、「出先機関改革(自己仕分け)の再検討の指針」に「地方自治体が見直しを特に望んでいるものについてはその方向で移譲する」とし、全国知事会の重点事項としてハローワークや直轄国道、直轄河川を例示しているとおり、国が各地域で果たすべき責任や役割について顧みることなく、権限移譲や財源確保などを目的とした全国知事会の要望を第一義に掲げたものに過ぎません。
 ハローワークや地方整備局、地方法務局、地方運輸局、経済産業局、総合通信局、地方厚生局など国の出先機関は、国民のくらしや雇用、防災などを支える国の責任を果たすため全国に配置されています。貧困の深刻化や格差の拡大、自然災害が相次ぐなか、国の出先機関の安易な地方移管や廃止は、くらしや地域を壊しかねません。憲法が規定する基本的人権を保障するためには、国の出先機関の拡充こそが求められます。
 貴党におかれましては、以上の考えにご理解をいただき、下記事項の実現に向けてご尽力いただくとともに、今後も国公労連との懇談・意見交換の場を設けていただくよう要請します。


 1.「アクション・プラン(仮称)」の策定を中止してください
 2.国の出先機関が各地域で果たしている役割を十分に検証してください



以上

 
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