2009年12月末の社会保険庁の廃止にともなって525人の社保庁職員が整理解雇されて1年。国公労連は12月21日の昼休みに「不当解雇は撤回せよ!12・21厚労省前要求行動」(主催・国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部)を行いました。
寒風吹くなかの要求行動には、全労連や民間労組、大阪・京都・東京から駆けつけた全厚生闘争団を含めて約200人が結集しました。司会・進行は、国公労連の國枝中央執行委員(全厚生闘争団当事者)が行いました。
日航労働者の不当解雇撤回闘争と連帯してたたかおう
主催者あいさつした国公労連の宮垣中央執行委員長は、「社保庁解体・民営化、525人の分限免職は職員を使い捨てにしたもので断じて許せない。日本年金機構となって1年が経つが、年金業務の現場はいまだに混乱している。職員の雇用を守ることは、安心・安全の年金をつくるうえで重要。日航労働者の不当解雇撤回闘争と連帯しながら、雇用破壊許さず働くルールを確立するために共同を広げよう」と呼びかけました。続いて、全厚生闘争団の飯塚副団長がたたかいの経過と情勢を報告。「違法・不当な分限免職の実態を人事院での審理や裁判などで明らかにしながら、政府・厚労省を追及していく。3月には安心年金つくろう会として、年金機構の1年間を検証し安心して暮らせる年金制度の確立に向けた集会を開く。人事院審理のヤマ場の5月下旬には、民間労働者にも広く呼びかけた総決起集会などを検討している。全厚生闘争団を支える会の会員拡大など広範な運動の輪を広げるため、全力をあげる」とたたかう決意を語りました。
激励と連帯に駆けつけた全労連の小田川事務局長は、「年金機構に欠員が生じているにもかかわらず分限解雇できるとすれば、公務員の雇用は民間労働者以上に不安定であり、年金業務に従事してきた職員を採用しないのは、差別的取り扱いだ。人事院の判定や裁判を待つことなく、細川大臣は免職処分を取り消すべきだ」、「雇用の安定を最大の目標とすべき行政機関が、雇用破壊を先導した罪は極めて大きい。全労連は、国公労連・全厚生のたたかいを全面的に支援していく」とあいさつしました。
国鉄労働組合の小池中央執行委員は、23年間たたかった1047名のJR不採用問題の国鉄闘争にふれ、「国家的不当労働行為は許されない。なぜ労働者が国の施策の犠牲にならなければならないのか」と批判し、「まだ国民に事実が知らされていない。たたかいの勝利に向けて連帯してたたかう」と激励しました。自由法曹団の萩尾弁護士は、「なぜ分限免職したのか基準が不明確であり、これでは日本に労働法がないのではないか。反撃してたたかおう」と社保庁職員の不当解雇の背景と真相を告発しました。
「多くの人に訴え職場復帰したい」、全厚生闘争団の当事者が訴える
続いて、全厚生闘争団大阪の仲間が決意表明。「私は今まで何の処分もされることなく働いてきたのに、こんな理不尽な解雇をされて憤りを感じます。使い捨てでなく、せめて人道的に扱ってほしい。履歴書に分限免職と記入している事で『何か悪いことをしたのか、どうして免職されたのか』と聞かれ、とても悔しい。しかし、このまま負けてはいられません。多くのみなさんに訴えて、職場復帰するまでがんばります。ご支援とご協力をお願いします」と当事者の切実な思いと運動への支援を訴えました。
最後に、全厚生闘争団事務局長の北久保さん(京都)がシュプレヒコールの音頭をとり、「厚労省は不当解雇を撤回せよ!」と参加者の怒りをぶつけ、国の責任で労働者の雇用を守れと強く訴えました。
「不当解雇は撤回せよ」、厚労大臣あて署名を提出して要請
国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部は厚労省前での要求行動の前段、厚労大臣に対する「社保庁職員の分限免職処分撤回、雇用確保を求める要求署名」の第2次分の2万3000筆を提出し、不当解雇の撤回を求めました。
厚労省要請は、国公労連闘争本部の川村事務局長(副委員長)と全厚生闘争団の飯塚・杉浦両副団長と北久保事務局長(京都)、当事者の國枝さん(国公労連中執)ら7人で行い、厚労省側は年金局事業企画課の今井課長補佐ほか2名が対応しました。
要請の冒頭、川村副委員長が今井課長補佐に署名を手渡し、「8月の署名提出に続き多くの国民から社保庁の分限免職に対し怒りの声が寄せられている。雇用を守るべき厚生労働省が行なった昨年末のデタラメな分限免職が、この年末の日航の整理解雇につながっている。こういった姿勢を改め、解雇撤回に向け厚労省としてできることを行うべきである」と強く主張。参加した当事者も、「解雇によって生活が破壊された。年金機構はまともに業務が進んでいないと聞いている。年金の信頼回復といいながら525名の首を切って何も改善につながっていない」、「人事院公平審理の日程が厚労省の都合で先延ばしの提案が来ている。当事者の苦しみを長引かせる日程変更は認められない」、「処分歴のある職員は新組織にふさわしくないとされ解雇になった。なぜ、解雇か説明がない。社保庁の不祥事の責任を個人に負わせるもので不当だ」、「昨年末まで職員一丸となってがんばってきた。処分歴のない者まで解雇され就職に困っている。この苦しみは当事者しかわからない」と激しい怒りをぶつけました。
これに対し今井課長補佐は、「私も社会保険庁出身で、一人ひとりの言葉と申し入れの内容は重く受け止めている。今は、立場上言えないことは理解して欲しい。人事院での審査の結果や世論の受け止め方、そのときの政権の判断などを見ながら対応していきたい」、「年金機構の基本計画の閣議決定時にいろいろな問題があった。世論を受けて熱くなって冷静に判断できていたのか、記録問題など社保庁バッシングのなかで優秀な多くの人材まで失ったこと路頭に迷わすことになったことについて人事院で審査を受けることになる。過去の処分歴を理由に機構に採用とならなかったことに釣り合いが取れていたのか歯がゆさを感じていないことはない。しかし、すぐにどうのとはならないことは理解して欲しい」と当事者の発言に理解を示しつつも、あくまで人事院での結論が出た以降に対応するとの立場を表明しました。最後に、「一人ひとりの人生がかかっている。早期解決に向け今後も話し合いの場を持つこと」を申し入れて交渉を終了しました。
以上
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