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国公労連速報 2011年3月10日《No.2494》
各地で多彩にすすむ学習会・シンポジウム
―― 広島・千葉・宮崎 ――
     
 

 

 労働基本権回復をめぐる現局面とたたかいの方向について、公務員賃金の削減攻撃阻止にむけて、また、政府のすすめる「地域主権改革」で自治体や国民の暮らしがそうなるのかを考える学習会やシンポジウムが開催されています。
 中国ブロックでは「公務員労働基本権・公務員賃金削減」公開学習会が、千葉県公務労組連絡会は「どうなる県民のくらしと権利! 2.19地域主権改革・道州制シンポジウム」、宮崎では「地域主権改革でどうなる? 私たちの暮らし」が開催され、多数の参加者があり共同の広がりが報告されています。

 《広島公務労組連絡会発》  労働基本権問題学習会に105名が参加

 中国ブロックの「公務員労働基本権・公務員賃金削減」公開学習会が2月15日、広島市で開催され、105名が参加した会場は熱気に包まれました。
 「許すな公務員賃金削減、取り戻そう労働基本権、拡充しよう公務・公共サービス」をテーマに呼びかけた学習会の開催にあたり、広島公務労組連の葛西議長は、「貧困と格差を打開する春闘の最中に、労働基本権回復と同時に賃金削減が投げかけられる情勢の中、今、何が起こっているのか、労働組合としてどんな運動を進めるかしっかり学びあおう」と呼びかけました。
 全労連公務員制度改革闘争本部の黒田事務局長は、「労働基本権回復をめぐる現局面とたたかいの方向――公務公共サービスの拡充、公務労働者への賃下げ攻撃を許すな」として、労働基本権回復がなぜ重要なのか、協約締結権をめぐる現局面、公務労働者への賃下げ攻撃、たたかいの方向について、これまでの歴史的な流れと現局面の状況、今後の課題と展望についてじっくりと話されました。
 参加者から、「政府が労働基本権回復を持ち出したのは何か狙いがあるのでは」「賃下げの条件作りなのか」「勧告が無くなれば賃下げが押しつけられるのでは」などの疑問に答えて、黒田事務局長は、労働基本権回復は私たちの運動が政府を追い詰めてきた到達点、勧告の60年の歴史で完全実施はたかだか10年余、勧告制度が賃下げ・労働条件切り下げを押しつけてきた歴史的な事実から明らかにし、権利を回復して、賃上げ、労働条件改善、増員を交渉して勝ち取れる組織と運動を作ろうと提起。立錐の余地なく各県・単産から集まった参加者の胸にすとんと落ちるまで話しました。
 中国ブロック国公からの決意表明では、当日おこなった人事院中国事務局との春闘要求書提出交渉の中で、人事院中国事務局長が個人的見解としながらも「一度は決着した勧告に、さらに別の措置を講じるなど信じられない、あり得ないことと感じる」と述べたことを紹介し、今回の賃金「再引き下げ」が不法・不当で何の道理もないことは明らかであることを訴えました。
 閉会の挨拶にたった広島公務労組連の杉本副議長は、「情勢と課題は、今日の学習会でしっかりと学びあった。広島公務労組の主催でこれだけの仲間が参加した学習会は記憶にない。この課題に答えられる組織と運動を足もとから一緒につくっていこう。要求の多数派、運動の多数派、組織の多数派として、確信を持って労働基本権回復、賃金引き上げ、公務公共サービス拡充の運動を進めよう」と提起し、学習会を閉会しました。

 《千葉県公務労組連絡会発》
 どうなる県民のくらしと権利! 2.19地域主権改革・道州制シンポジウム
 ――晴山一穂専修大教授が基調講演

 千葉県公務労組連絡会と千葉労連、千葉県自治体問題研究所の主催で、2月19日「どうなる県民のくらしと権利! 2.19地域主権改革・道州制シンポジウム」を開催しました。シンポジウムには県内の公務員労働者63名、民間労働者23名、全教・県社保協・県弁護士会・日本共産党などを含めて合計92名の参加があり会場は満杯となりました。
 冒頭に県公務労組連絡会を代表して、櫻井議長(県国公議長)があいさつ。「地域主権改革・道州制が公務員の問題だけでなしに、県民の暮らしや権利、地方自治や地域の安全安心な街づくり」に重大な悪影響をもたらすと指摘し、県民の皆さんと一緒に学び運動の共通項を考える場として開催した」と、シンポジウムの意義と共同の運動を呼びかけました。
 基調講演を行った晴山一穂(専修大学教授)は、「民主党の地域主権改革は、戦後、憲法に基づいて地方自治を拡充していった60年代から70年代の運動、そして戦後の地方自治を反動的に大きく転換させた第2臨調行革路線、そして自公政権による新自由主義的構造「改革」路線を引き継いだもので、民主党に政権が変わっても本質は変わらない」と解明し、住民や地方自治体のためになる分権改革なのか、その本質をしっかりとらえることが重要と指摘しました。
 その上で、憲法を活かし、国民が主人公の国や地方自治体にむけて、@国と自治体は住民の権利保障のために協力(二重の権利保障)し、その役割を果たすこと。A二重の権利保障を前提に、それぞれの役割と相互の協力関係のあり方をさらに具体的に検討し明らかにすること。Bとりわけ全体の奉仕者としての公務員労働者(労働組合)が専門的な知識と能力を活かして国民・住民全体の福祉と権利実現のために地域からの共同を広げること。Cそのためにも労働基本権回復の課題が重要であることを強調しました。
 基調講演をふまえて、国の出先機関廃止は、行政サービスの縮小と地元負担の増加、ナショナルミニマムの破壊と題して国土交通省全建労の山崎さんが発言。子ども・子育て新システムで壊される公的保育制度と、その先取りとしての船橋での公立保育所民営化に対する共同の運動について、船橋市公立保育所父母会連絡会前会長の小関さんが発言。全教千葉の青木さんは、地域主権改革で義務教育への国の責任と負担の放棄と、すべての子どもたちの学ぶ権利をどう保障するのか、現場の課題も含めて発言。最後に県職労の片山さんが、千葉県の動向について、全国知事会とまったく同様の立場での動きをしていることを告発し、こうした県の姿勢を県民的に明らかにし、共同を広げたいと発言しました。
 会場からは、「国民健康保険の広域化をにらんだ柏市での県内初の国保窓口の民営化の動向への警鐘」や、「地域主権改革で得するのは結局のところ財界か!」などの発言が寄せられました。最後に、千葉労連の松本議長が、民主党政権の地域主権改革の具体化を許さない運動と同時に、いまこそ憲法をいかし社会保障と地方自治の拡充にむけて県民的な共同の運動を発展させよう」と呼びかけ終了しました。

 《宮崎》
 「地域主権改革」どうなる? 私たちの暮らし

 3月4日、宮崎市民プラザで市民対話集会「地域主権改革でどうなる? 私たちの暮らし」が、宮崎県労連などの主催、全労連公務部会の後援で開催されました。

 2年前の麻生内閣のもと「地方分権と道州制を考える」市民対話集会に続き開催されたもので、今回は政府のすすめる「地域主権改革」が自治体や国民の暮らしにどのような影響が出てくるのか、地域から考えようと入谷宮崎大学教育文化学部教授の基調報告、各分野から3人のパネラーをむかえたシンポジウムは90名が参加しました。

 4人の多彩なパネラーによるシンポジウム

 主催者あいさつにたった宮崎県国公・工藤議長は、「『地域主権改革』という言葉は、町や村がよくなると錯覚させられる。本当はどうなのか皆さんと一緒になって考えていきたい。多彩なパネリストと一緒に考え地域の未来を見据えるものにしていこう」と呼びかけました。シンポジウムでは内倉自治体一般労組委員長が進行役をつとめました。基調報告で入谷貴夫宮崎大学教育文化学部教授は、「地域主権改革は前向きのイメージをもっているが、本当は未来がないのではないか」と批判。地域主権改革は、ヨーロッパの「補完性の原理」がもつ本来の意味を歪曲しながら、国と地方の役割分担をめざしており、教育権などの社会権が憲法上存在しなかった戦前の古典的な地方自治に回帰させかねないと指摘。新自由主義的な福祉国家解体にたいして、憲法にもとづく福祉国家の再構築が求められていると報告しました。
 4人のパネラーによるシンポジストに移り、前田穣綾(あや)町長は口蹄疫、鳥インフルエンザ、新燃岳噴火対策に追われている自治体首長の立場から発言し、「小泉構造改革が都市と地方の格差を拡大し、郵政改革などが“改悪”だったことの思いをいっそう強くしている。小泉改革を是正することから始めないと本当の意味での住民自治は改革できない。国が全体的な責任をもち、地方は不十分なものを補完すること。真の住民自治が本当の意味での地域主権改革ではないか。住民自治確立が大事であり、モデル地方はこうあるべきと主体性を失わずに示していきたい」と指摘しました。
 国の出先機関の廃止の対象とされている国土交通省九州地方整備局の宮崎河川国道事務所で働く国土交通省管理職ユニオンの仲間は、現在まさに新燃岳の噴火で降灰の除去に全国から80台の車が集まり24時間警戒体制で奮戦中であることを報告しました。
 管理職になって定年まで働き続けることができるのかと、98年2月に200人でユニオンを立ち上げ、現在全国に600人の仲間がいることを紹介しつつ。2年に1回の要求アンケートでは73%の人が出先機関は必要としているし、国民的な議論が一切されていないところに問題があると指摘しました。国と地方の対立軸をあおっている。ねらいは何なのか?国の出先機関を廃止させてはならない」とユニオンの考え方と現在取りくんでいる運動が行政現場から報告されました。
 山口俊郎元宮崎日日新聞論説委員長は地方自治と政治的ポピュリズム(大衆迎合主義)の問題に焦点をあてながら東国原県政の総括と検証を行いました。1月に河野知事に移行したが、息つくまもなく100年に1度といわれている新燃岳の噴火の対応に追われている状態で、「トップセールス、メディアへの過度の露出で観光面では潤い、従来の古い体質が壊れて、しがらみのない政治になったことは評価できるが、負の面は彼の個人的なキャラクターで基幹産業である農作物には無関心であったことだ」と分析。
 会場からの発言では農地などが放置された状態でよいのかなどの素朴な疑問や、法務省の職場からは、中央審議会などでは法務局の仕事を知らない委員が決めているなど報告が出されました。「地域主権改革」という大きなテーマでしたが、日常的に考えていかなければならないことであると共通の認識にして終了しました。

【※「公務ネットニュース」2011年3月8日No.873(全労連公務部会・公務労組連絡会発行)より転載】


以上

 
 
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