4月28日に地域主権関連3法案が成立し、国民生活の最低基準引き下げが危惧される「義務付け・枠付け」の見直しについては、3カ月以内に関係政令・省令が公布され、それに基づき条例で基準が定められます。
国公労連など20団体が参加する実行委員会は6月22日、政令・省令での基準引き下げを許さないため、8団体10名の参加で厚労省要請をとりくみました。
要請は厚労省に対して要請書(別添)を提出し、医療、介護、福祉など厚労省令に係わる基準の引き下げを行わないように求めました。
厚労省は社会援護局傷害保険福祉部、雇用均等・児童家庭局、医政局、労健局から担当者10名が対応し、@基本的には現行の基準を(1)従うべき基準、(2)参酌すべき基準、(3)標準、に振り分ける作業をしている、A審議会などが設置されている分野については諮ったうえで省令を作成する、B省令の公布は一括して行う、などと回答しました。「省令で示す基準は条例で上回ることを妨げない趣旨という理解でよいか」との質問に対しては、「(現状を踏まえれば)そのように考えられるが、解釈が変わる可能性もある」と回答しました。
最後に情報提供や意見交換の場を引き続き設けるように求め、要請を終えました。
〈別添〉
2011年6月22日
厚生労働大臣
細川律夫 殿
「地域主権改革」に反対し、憲法を生かし、
暮らしを守る6・22共同行動実行委員会
「地域主権改革」推進法に基づく基準の取扱に係る要請書
貴職の日頃の国政でのご活躍に敬意を表します。
さて、4月28日に可決成立した「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法案」(「地域主権改革」推進法)に基づき、今年度中に保育所、児童養護施設、知的障害児施設、介護施設等の設置・運営に係る最低基準を見直し、基準を地方自治体の条例に委任するとされているところです。
私たちは、この間、「地域主権改革」関連3法案、とりわけ「義務付け・枠付けの見直し」について、ナショナルミニマムを保障する国の責任を放棄するものであり、地方自治体の財政状況や営利追求の民間参入の拡大による、最低基準の切り下げや住民福祉の後退の危険を指摘してきました。
しかし、法が成立したいま求められることは、4月28日の参議院本会議において山下議員の質問に対し小宮山副大臣が答弁したとおり、最低基準を下げることがないようにすることです。
以上より、私たちは下記事項の実現に向けて、貴職のご尽力をいただきたく要請します。また、私たち実行委員会との懇談や意見交換の場を設けていただければ幸いです。
記
公務員であっても憲法上は労働者であると確認されている
- 指定知的障害児施設等について
児童福祉法第24条の12第3項の厚生労働省令で定める基準は、「児童福祉法に基づく指定知的障害児施設等の人員、設備及び運営に関する基準」(2006年9月29日厚生労働省令第178号、最終改正2009年3月30日厚生労働省令第59号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 児童福祉施設について
児童福祉法第45条第2項の厚生労働省令で定める基準は、「児童福祉施設最低基準」(1948年12月29日厚生省令第63号、最終改正2010年6月1日厚生労働省令第75号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 里親の行う養育について
児童福祉法第45条の2の厚生労働大臣が定める基準は、「里親が行う養育に関する最低基準」(2002年9月5日厚生労働省令第116号、最終改正2009年10月30日厚生労働省令第150号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 基準病床数について
医療法第30条の4第5項の厚生労働省令で定める標準は、「医療法施行規則」(1948年11月5日厚生省令第50号、最終改正2011年2月23日厚生労働省令第17号)に定めた医療計画の規定を下回ることがないようにしてください。
- 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームについて
老人福祉法第17条第2項の厚生労働省令で定める基準は、「養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(1966年7月1日厚生省令第19号、最終改正2008年9月1日厚生労働省令第137号)、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(1999年3月31日厚生省令第46号、最終改正2010年9月30日厚生労働省令第108号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 基準該当居宅サービス並びに指定居宅サービスについて
介護保険法第42条第2項並びに第74条第3項の厚生労働省令で定める基準は、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(1999年3月31日厚生省令第37号、最終改正2009年3月13日厚生労働省令第31号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 基準該当介護予防サービス並びに指定介護予防サービスについて
介護保険法第54条第2項並びに第115条の4第3項の厚生労働省令で定める基準は、「指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」(2006年3月14日厚生労働省令第35号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 指定地域密着型サービスについて
介護保険法第78条の4第3項の厚生労働省令で定める基準は、「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(2006年3月14日厚生労働省令第34号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 指定介護老人福祉施設について
介護保険法第88条第3項の厚生労働省令で定める基準は、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(1999年3月31日厚生省令第39号、最終改正2010年9月30日厚生労働省令第108号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 介護老人保健施設について
介護保険法第97条第4項の厚生労働省令で定める基準は、「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(1999年3月31日厚生省令第40号、最終改正2010年9月30日厚生労働省令第108号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 指定介護療養型医療施設について
介護保険法第110条第3項の厚生労働省令で定める基準は、「指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準」(1999年3月31日厚生省令第41号、最終改正2010年9月30日厚生労働省令第108号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 指定地域密着型介護予防サービスについて
介護保険法115条の14第3項の厚生労働省令で定める基準は、「指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」(2006年3月14日厚生労働省令第36号、最終改正2010年9月29日厚生労働省令第106号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 基準該当障害福祉サービス及び指定障害福祉サービスについて
障害者自立支援法第30条第2項及び第43条第3項の厚生労働省令で定める基準は、「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(2006年9月29日厚生労働省令第171号、最終改正2010年6月1日厚生労働省令第75号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 指定障害者支援施設等について
障害者自立支援法第44条第3項の厚生労働省令で定める基準は、「障害者自立支援法に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準」(2006年9月29日厚生労働省令第172号、最終改正2009年3月30日厚生労働省令第57号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 障害福祉サービス事業、地域活動支援センター及び福祉ホームについて
障害者自立支援法第80条第2項の厚生労働省令で定める基準は、「障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」(2006年9月29日厚生労働省令第174号、最終改正2009年7月15日厚生労働省令第131号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 障害者支援施設について
障害者自立支援法第84条第2項の厚生労働省令で定める基準は、「障害者自立支援法に基づく障害者支援施設の設備及び運営に関する基準」(2006年9月29日厚生労働省令第177号、最終改正2008年3月31日厚生労働省令第86号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
- 教育、保育等を総合的に提供する施設について
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第2項の厚生労働大臣と文部科学大臣とが協議して定める施設の設備及び運営に関する基準は、「児童福祉施設最低基準」(1948年12月29日厚生省令第63号、最終改正2010年6月1日厚生労働省令第75号)に定めた基準を下回ることがないようにしてください。
以上
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