国公労連不当解雇撤回闘争本部は12月18日、2年が経過しようとしている社保庁職員の不当解雇撤回、雇用確保をめざす「激励決起集会」を全労連会館ホールにおいて開催しました。集会には、分限免職処分の取消を求めてたたかっている27人の当事者をはじめ、公務と民間の120人の仲間が参加しました。
神奈川合唱団によるオープニングの後、主催者あいさつにたった国公労連の宮垣委員長は、「政権をとった民主党が真っ先に行った公約違反が社保庁の解体・民営化だ。特に労働者の雇用を守るべき厚労省が、まともな回避努力も行わずに解雇を強行したことは絶対に許すことはできない。整理解雇4要件を無視したJALの不当解雇を見てもその影響はあまりにも大きい。全国9事案、39人の人事院審理は一巡したが、焦点となっていた大臣官房人事課長などキャリア官僚の追加証人尋問が行われることになった。JALの不当解雇撤回とあわせ、働くルールの確立に向けて全力をあげよう」と述べました。
全労連を代表してあいさつを行った大黒議長は、「当事者が頼りになるのは仲間たちの激励と連帯だ。全労連も対策会議を設置し、全国的な支援体制を構築している。野田内閣は派遣法の強行採決に見られるように、財務省・財界派遣内閣といっても過言ではない。社保庁もJALも相手は国家権力、財界だ。全国の仲間とともに粘り強くたたかっていこう」と激励しました。
また、東京地評の伊藤議長は、「公務員は労働基本権制約、兼業禁止、雇用保険も入れないなど民間とは違う要素もある。非正規の解雇や泉南アスベスト、薬害イレッサなど裁判をめぐってはきびしい情勢もあるが、社保庁、JALのたたかいは日本の労働者の将来にとって大きな課題。早期解決に向けてともにがんばろう」とエールを送りました。
信頼回復には経験者の雇用が当たり前
加藤弁護士が情勢を報告
続いて「社保庁分限免職処分取消のたたかいの到達点と課題」と題して加藤健次弁護士(自由法曹団)が情勢報告。「39人の当事者が1人も脱落することなく2年間たたかってこられたのは、組合関係者や支援の皆さんの励ましだと思う。こうしたたたかいを反映して人事院は職権で厚労省キャリア官僚の追加証人尋問を決定した。JALと同じように整理解雇4要件からみても全くおかしい解雇であることは、全国各地で行われた公開口頭審理で明らかになっている。厚労省は、年金制度に対する国民の信頼回復を理由にあげているが、年金記録問題などどれをとっても職員一人ひとりの責任が問われるようなものではない。また、年金業務の信頼回復を言うのであれば、専門性を持った経験者を雇用するのは当然のことだ。狙いは年金行政に対する政府の責任を職員に転嫁するものであり、公務員全体の権利を引き下げることだ。つらい中でのたたかいではあるが、ことの本質を国民に広げて反撃に立ち上がろう」と訴えました。
民間労組、JAL争議団がたたかいへのエールを発言
民間労組から4人が激励と連帯を表明。建交労の赤羽書記長は、「社保庁、JALのたたかいは全国が注目している。12春闘は賃金、雇用とあわせ、権利闘争が大きな課題だ。国鉄闘争も雇用の部分では未解決もある。地域主権改革で同じような問題が危惧される状況の中で、絆を強めともにたたかう」、郵産労の日巻書記長は、「小泉構造改革で07年10月に民営・分社化されたが、継続的・安定的な業務のために雇用継承は当局も認めてきた。しかし、国民のための郵政事業から儲け本位になっている。日本で最大の21万人の非正規職員が働いているが、仕事に誇りを持ち将来に希望を持って働くためにも労働条件の改善に全力をあげている。同じような実態にもある年金機構・社保庁問題と連帯してたたかう」、通信労組の佐藤書記次長は、「NTTの11万人リストラ攻撃に対して11年間たたかってきた。職場復帰するまでともにがんばろう」、JAL原告団の小森さんは、「整理解雇4要件を無視した解雇が強行された中、職場では物がいえない暗い状況になっている。年金も空の安全も経験が宝。解雇自由の社会を作らせないために頑張りたい」と、たたかいへのエールを送りました。JMIUと東京争議団からはメッセージが寄せられました。
また、国土交通労組の小倉副委員長は、「9月に6単組が大同妥結し新たな決意でスタートしたが、社保庁不当解雇撤回は大きな課題と位置づけ、全支部・分会が支える会加入も含めて自らの問題としてたたかっていくことを決めた。財界の攻撃と一体のものであり、たたかいに結集していく」、全労働の濱野中央執行委員は、「地域主権改革で労働行政の地方移管と民間開放が狙われているが、年金と同じように国が責任を持って行うことが国民に対する責務だ。社会保険労務士からは、機構になって職員の対応がぎこちない、間違いも発生していると聞いている。自らの課題としてたたかっていきたい」と、ともにたたかう決意を表明しました。
当事者、全厚生闘争団が勝利までたたかう決意を表明
多くの仲間たちが激励するなか、闘争団全員が登壇。15日に提訴した北海道の高嶋さんは、「北海道は自治労で何もしてくれなかった。不服請求後に全厚生に結集したたかっている。国公や安心年金を支える会などの支援のもとで人事院審理も勇気をもって臨むことができた。新たに道労連にも支援体制をつくっていただくことになった。最後までがんばる」と決意を表明。大阪の大島さんは、「国鉄で民営化で職場を追われ、その後社保庁に採用されたがまた解雇された。社保庁で約20年間一生懸命がんばってきたのになぜ解雇されたのか。真相を知りたくて不服請求を行った。今後は裁判でもがんばっていきたい」と述べました。京都の橋本さんは、「2年経とうとしているが国民の意識は全く変わっていない。履歴書を何枚書いたかわからないという求職中の仲間もいる。職を失うことの重要性を改めて感じた。世論を変えるために引き続きがんばりたい」と発言しました。全厚生闘争団の山本団長は、「集会を通じて私たちのたたかいが間違っていなかったことをあらためて確信した。もともと解雇する必要性は全くなかった。仕事も何も変わっていない。多くの支援が確実に拡がっていることに感謝し、闘争団全体がさらに団結を深めていく。年金受給者が安心して飛行機に乗れるような社会を作っていくために全力をあげてたたかう。引き続きのご支援をお願いする」と感謝の意を込めてあいさつしました。
閉会にあたって国公労連の川村副委員長は、「暮れの多忙ななか120人もの方に参加いただき、当事者、闘争団も勇気と元気をいただいた。裁判闘争は長期のたたかいになる。国民の年金を守るたたかいでもあり、政府・財界が狙う年金大改悪、消費税大増税を許さないたたかいと結んでたたかう。勝利を勝ちとるまでご支援をお願いする」と訴えました。最後に、全員で「ガンバロー」を合唱し集会を終えました。
全厚生闘争団意思統一集会を開催
「社保庁不当解雇撤回12・18激励決起集会」に先立ち、全厚生闘争団意思統一集会を開催し、全厚生闘争団39名中27名の当事者が参加するとともに、国公労連や弁護団、県労連の代表が集まりました。
集会では、分限免職処分取消をもとめるたたかいの到達点について、弁護団の加藤弁護士が報告しました。また、北久保闘争団事務局長がこの間の闘争団のとりくみの経過を報告するとともに、人事院闘争や裁判闘争で勝利するため、労組・民主団体等への要請や、署名のとりくみ、支える会の会員拡大など今後のとりくみについて提案しました。
その後、当事者がそれぞれ発言し、「提訴によって民間の人にもわかりやすい訴えができる。裁判を提訴したが人事院の審理で勝ちたい」(北海道)、「社保庁を解体し525名の分限免職を行ったことが正しいことなのか、明確にしたいため堤訴に踏み切った」(大阪)、「公務がやらなければならないことが問われている中、分限免職が正当化されてはいけない」(京都)、「いろいろな集会に参加して100回以上の訴えを行い、支援の輪を広げてきた」(愛媛)、「周辺の県に出向き訴えにまわっている。社保庁解体の実態を知らない人がまだ多くいるので、もっと訴えていかなければならない」(秋田)、「年休が少ないので日中の参加はきびしいが、できる限り参加して現状や心情を訴えている」(愛知)など、裁判闘争への思いや各地のとりくみを報告しました。また、「当事者がいない県として、県評・県国公・自由法曹団などと共闘で『支援する静岡の会』を立ち上げた」(静岡)、「県内全域を回って訴えたが、当事者と間違われた」(岐阜)など全厚生支部・協議会のとりくみなどの報告も行いました。北海道労連の湯本副議長と秋田県労連の佐々木議長も、地域でのとりくみなどについて発言しました。
会議では杉浦闘争団副団長(全厚生書記長)が「全力を尽くして勝利をめざしてたたかおう」とまとめを行い、中本闘争団事務局次長の音頭による団結ガンバロウで意思統一集会を閉会しました。
以上
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