民主・自民・公明3党の共同提出による「賃下げ法案」(公務員給与臨時特例法案)は2月23日の衆議院総務委員会で採決が強行され、直後の本会議で可決。参議院へと送付されました。
国公労連は全労連・公務部会の仲間とともに、憲法違反の「賃下げ法案」の暴挙を許さないため、雨がふりしきる悪天候の中、北海道から九州まで全国動員した全司法をはじめ官民あわせのべ330人の仲間が国会前座り込み行動でたたかい抜き、午後は参議院総務委員に対する国会議員要請、有楽町マリオン前宣伝を実施しました。
「公務員の賃下げは、民間春闘に大きな影響与える」
――スタート行動
冷たい雨が降りしきる午前10時、衆議院第2議員会館前で座り込み行動を開始しました。
主催者あいさつに立った全労連公務部会・宮垣代表委員(国公労連中央執行委員長)は「民自公による密室での三党協議の談合で合意された賃下げ法案。立法府が憲法を踏みにじる強行採決は断じて許せない。民主党の前原政調会長が14年度以降も賃下げを継続する発言は暴挙だ。政府・民自公の暴挙を許さないため、雨の中だが廃案めざして最後までたたかおう」と訴えました。
つづいて4名から連帯あいさつ・決意表明などを受けました。民間単産から駆けつけたJMIUの西中央執行委員が連帯あいさつし、「本日、一斉に春闘要求の申入れを行っているが、公務員の賃下げは交渉に直接の影響を与える。先日千葉県国公の話をきいたが、一般の公務員の給与は我々とほぼ同じだと実感した。民間、中小企業も沈没させる消費税増税と賃下げ阻止に向け連帯してたたかっていこう」と訴えました。
全労働の丹羽中央執行委員は、「労使交渉も完全に無視し、一議員・一政党が立法した労働条件の改悪法案について、我々の使用者である政府はどう責任をとるというのか。労働基本権の剥奪、人事院勧告の無視、使用者責任放棄という3重の憲法違反は許されない」と訴えました。
自治労連の桜井中執は、「削ろうとしているのは全ての労働者の賃金、社会保障、民主主義であり、本当に削らないといけない政党交付金には一切手をつけていない。大阪市などの労組軽視の動きに反撃する」と述べ、全教・埼教組の高田中執は、「公務員バッシングはあるが、国民が私たちを応援していることを確信にもって奮闘しよう」と呼びかけました。
降り続く冷たい雨に負けることなく、リレートークや各地から届いた激励メッセージを紹介しながら、昼前まで座り込みを続けました。
民自公の密室合意から2日 議員提案での「賃下げ法案」が強行採決
――衆議院総務委員会傍聴行動
本日9時に開会した衆議院総務委員会において、民主、自民、公明の議員提案による「賃下げ法案」が可決されました。審議はわずか2時間30分、21日に3党実務者での法案合意からわずか2日目のことです。共産、社民の両党が反対したものの、その後に緊急上程された本会議でも可決されました。全労連公務部会は、国会前座り込み行動と並行して総務委員会の傍聴行動をとりくみ、9名(国公労連からは7名)が参加しました。
■広域移動手当や本省業務調整手当などの手当や年金にも踏み込む発言(きづな)
委員会は冒頭の法案趣旨説明の後、民主を除く6会派7名の委員が質疑に立ちました。斎藤やすのり議員(きづな)は、「『公務員の給料は高い』が国民の認識」とし、「人事院の調査データは公平性に欠ける」と事実を歪曲した指摘を行いました。さらに広域移動手当や本省業務調整手当などの手当関係や、年金の削減にも踏み込む必要性を強調しました。坂本哲志議員(自民)の「今回のように、使用者たる内閣ではなく有志の議員が勧告実施とさらなる引き下げを決めることは、特別なことなのか、これからもあり得ることなのか」との質問に対し、提案者を代表して答弁に立った平井たくや議員(自民)は「人事院勧告は内閣と国会にされる。国会の意思として今後もあり得る」と回答しました。また、今津寛議員(自民)は「法案の適用から自衛隊を除外すべき」と主張しました。西博義議員(公明)は「賃下げ法案」適用期間中の災害保障における平均給与額について質問しました。
■人事院総裁から「10%カットの懲戒処分は、飲酒後にタクシーでセクハラをはたらいた事例に相当」
つづいて質問に立った塩川鉄也議員(共産)は、「『賃下げ法案』の議員提出自体に憲法上の疑義があるうえ、提出にあたり労働組合への説明も意見聴取もなかった」問題を指摘、「国会審議にあたり労働組合から法案への意見聴取をすべき」と求めました。提案者を代表して答弁に立った稲見哲男議員(民主)は、「議員立法であり意見聴取はしない。閣法ベースであり、その際には対応した経過もある。内閣法制局からも『憲法違反の疑いなし』と言われている」とうそぶきました。「人件費は生計費。ムダなものではない。10%以上の減給となる職員も出る。削るべきは原発推進や大型開発事業の予算。要員の確保や不払い残業の根絶こそが求められる」と指摘のうえ、参考人として招致した人事院総裁から「10%カットの懲戒処分は、飲酒後にタクシーでセクハラをはたらいた事例に相当」、厚生労働省の労働基準局長から「労基法91条の減給制限(10%)は制裁であっても生活を脅かしてはならない趣旨」との答弁を引き出し、「賃下げ法案」の不当性を明らかにしました。また、「国家公務員の賃下げは多くの労働者に悪影響。民間での賃下げの格好の材料。地域経済は悪化するし震災復興にも逆行」と指摘し、人事院総裁から「(人勧は)地方公務員や独立行政法人、準拠する民間など約580万人の労働者に直接影響」することを明らかにさせました。
柿澤未途議員(みんな)は、民主党の前原政調会長が22日に公演で述べたとされる「2014年度以降も削減を継続すべき」を引用して恒久的な「賃下げ」を迫り、退職手当削減や査定昇給での相対評価の厳格化にも言及しました。重野安正議員(社民)は、昨日夕方になって法案の附則に「この法律も踏まえ地方公共団体は自主的かつ適切に対応されるものとする」旨が追加されたことに対し「(一部労働組合との)労使合意を反故にするもの。波及的な負の連鎖の影響が大きい」と述べ、「6月の一時金での徴収は不利益不遡及の点から看過ならない」、「自衛隊のみの優遇に大きな疑義」と指摘しました。
参加者から抗議と怒りの声!賃下げ法案廃案にむけ反撃のたたかいを
――昼休み抗議行動に230人が結集
国会前の昼休み行動には230人が駆けつけました。
主催者あいさつした全労連公務部会代表委員の北村代表委員(全教委員長)は、「民主、自民、公明の3党による密室談合で強行可決されたことに怒りを込めて糾弾する。賃下げ法案は、二重の憲法違反であり、公務も民間も賃金が下がる『賃下げスパイラル』に陥る。すべての国民・労働者の生活のためにも、大義あるたたかいだ」と厳しく政府を抗議するとともに、中央・地方のたたかい強化を呼びかけました。
国公労連・自治労連・都教組が決意表明。国公労連を代表して決意表明した国土交通労働組合の小倉副委員長は、「当事者をぬきにした賃金決定に職場で怒りが噴出している。国交労組は昨日から連日庁舎前で早朝宣伝を実施し不当性を訴えている。強行可決に断固抗議し、廃案に向け最後までたたかう」と決意表明しました。
衆院総務員会を傍聴した国公労連の九後書記次長、自治労連の中川書記次長、全医労の柊さん、全法務の笹ケ瀬書記長から怒りをこめた報告が行われました。
本会議から駆けつけた塩川衆議院議員(日本共産党)は、「強行可決に満身の怒りを込めて抗議する」ときり出し、総務委員会に国公労連書記長談話等が配布されたことを紹介しながら、「被災者の国家公務員も賃下げとは断じて許されない。賃下げ法案は消費税大増税の地ならしであり、抗議の声を全国に広げよう」と述べました。
参議院総務委員に要請行動を実施
法案の参議院送付をうけて、さっそく午後から約20人が参議院総務委員25人への要請行動を実施しました。意見は聞き置くが個人的には同意見である(国民新党・秘書)、島根県の教職員組合から抗議のFAXやメールがたくさん届いている。(社民党・秘書)との報告がよせられました。
参議院では28日に総務委員会質疑・採決がねらわれています。国公労連の宮垣忠中央執行委員長(公務部会代表委員)が委員として意見をのべる予定です。27日(国公労連独自)、28日(全労連公務部会)にも座り込み行動を配置し、最後まで取り組みを強化します。
以上
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