国公労連
国民のための行政・司法へ ストップ!憲法改悪 サイトマップ 更新履歴 個人保護法に関する宣言 リンク
Action 私たちのとりくみ Journal 定期刊行物 Archives 資料 Mail News
トップページ> ニュース > 国公労連速報
トップページ > 中央のとりくみ> 国公労連速報
 
  国民のための行政・司法へ
 国公労連速報 2012年2月24日《No.2704》
 1日で趣旨説明・質疑・採決、本会議採決強行の暴挙
 民自公三党提出「賃下げ法案」を総務委員会で審議
 政府は使用者責任を放棄、各党代表が答弁する異常な委員会審議
     
 

 

 総務委員会で質問に立ったのは、斎藤やすのり(きづな)、坂本哲志・今津寛(自民)、西博義(公明)、塩川鉄也(共産)、柿澤未途(みんな)、重野安正(社民)の各議員で、民主党は質問を放棄しました。
 議員立法で法案が提出されることについて、共産党の塩川議員は、「政府提出法案も一部の労働組合との合意で法案が提出され、人事院総裁も、遺憾と言わざるを得ないと問題点を指摘している。ましてや、今回は、議員立法で法案を提出したものであり、労働組合の意見を聞くのは、提出者としての最低限の責務ではないのか」と厳しく指摘しました。
 これに対して、法案提出者の一人である民主党の稲見議員は、「三党で共同提出したが、あくまで政府法案を踏襲したものだ。政府法案は、政府と労働組合で交渉して提出されたという経過がある」と正当化しました。
 塩川議員は、正式文書として委員会に配布された国公労連の岡部書記長談話(2/21)、全労連の「意見書」(2/7) を示し、「それぞれ法案に対する明確な反対意見がのべられ、憲法上の疑義が生じることも明快に指摘されている。こうした意見を持っている労働組合を国会に呼んで話を聞き、法案提出者が答えるのが責任ではないか。少なくとも、国家公務員を代表する労働組合の意見を聴取せよ」とせまりました。これに対して、稲見議員は、「指摘を受けて、国公労連・全労連の見解は配布させてもらうことにした。一方の連合・公務員連絡会にも聞いたが、労使合意にしたがって政府法案がつくられ、それを踏襲した議員立法ならば、国会審議にゆだねるとのことだった」などとのべました。
 塩川議員は、「話も聞かずに法成立を急ぐのは、まともな審議をしたくないからだ。労働組合の意見を聞かずに採決するのは許されない。法律ができれば事実上、複数年にわたって人事院勧告が実施されなくなり、労働基本権無視の違憲状態がつづく。さらに、議員立法は異常なやり方であり、憲法違反であることを指摘する」と強い口調でのべました。
 これにかかわって、自民党の坂本議員は、「労使交渉の当事者ではなく、国会が公務員の給与を決めたことになる。論理的には難しいところだ」と問題点を指摘しつつも、「これは特殊な例なのか、それとも今後もありうるのか」と提案者にただしました。自民党の平井議員は、「異例だが、今後、十分にありうる」と答弁し、議員立法による法案提出を今後とも繰り返すとした点はきわめて重大です。


 川端総務大臣は「三党合意」をほめたたえる卑屈な態度

 公明党の西議員が、「一部の組合とだけ合意して、政府が法案提出したことが大混乱をもたらした」として政治責任を問われた川端総務大臣は、「自律的労使関係の先取りとして、異例の措置として労働組合の理解をえて提出した。わが国の未曾有の国難に対処するため、やむを得ない措置だ」とのべつつ、「三党間の真摯な協議の結果として、法案を提出していただいたことは、きわめて強くうけとめさせていただく」として、政府法案が店ざらしにされながらも、「三党合意」をほめたたえる態度に終始しました。
 西議員が今後の人事院勧告の取り扱いをただすと、同じ公明党の提案者である稲津議員が、「人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置であり、11年勧告は実施することになる。12年勧告も尊重すべきは当然だ」と答弁すると、西議員も「現行制度が継続される以上、人事院勧告を尊重するのは当然と考える」とこれを受けました。
 また、賃下げ法の期限となる2年後の公務員給与について、民主党の前原政調会長が恒常的な引き下げに言及したことともかかわって、みんなの党の柿澤議員は、「2年間限定では国民の理解はえられない。恒久的に引き下げよ」と主張すると、川端総務大臣は、「総務省としては、2年間の臨時特例措置として提案してきた。それまでに新たな人勧が出るかもしれないし、公務員制度改革関連法ができているかもしれない。2年経って、その時の状況をふまえて政府として判断すべきだ」と他人事のように見解を示しました。
 地方公務員への賃下げの波及にかかわって、自民・坂本、みんな・柿澤の両議員は、法案に明記することをふくめて地方公務員にも賃下げを求めるべきと主張しました。見解を問われた川端大臣は、「国準拠は一つの基準だが、地方自治体が自律的に判断するのが基本だ」と一般論をのべ、提出者の平井議員は、「三党間でもいろいろな議論があったが、附則に盛り込む修正案を自民・公明で共同提出することとなった」と答弁しました。
 社民党の重野議員は、「地方公務員に波及させることの影響は大きい。負の連鎖が起こり、公務・民間の給与全体が引き下げられる」と指摘しました。


 セクハラによる減給処分と同じだけの賃下げを強要

 この他の質問では、共産党の塩川議員は、被災地をふくめて日夜奮闘している公務員に大幅賃下げをせまる問題点を追及するなかで、「10%の減給は、懲戒処分ではどのような行為にあたるのか」との質問に、人事院の江利川総裁は、「たとえば、12か月10%の減給は、酒に酔ってタクシーのなかで部下にセクハラ行為をしたときなどの例がある」と答えたことから、塩川議員は、「そんな懲戒処分と同様の賃下げでは、職員の働く意欲がなくなる。職員自身が納得できないのも当然だ」と指摘しました。
 そのうえで、塩川議員が、民間の労働基準法でも、労働者の生活を保障するために、減給する場合でも1割を超えてはならないと定めていることを示すと、提案者の稲見議員は、「職員には厳しいが、復興財源として、政府としてムダを削り7兆円を生み出す必要がある。公務員削減で2900億円の財源が確保され、結果として被災地を励ますこととなる」などとのべたことから、塩川議員は、「公務員賃金はムダや浪費ではない。削減の対象でもなく、削るところはもっと他にある」と厳しく追及しました。

 2月中の成立をねらい法案をただちに参議院送付

 質疑が終わった後、「地方公務員の給与については、地方公務員法及びこの法律の趣旨をふまえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする」との文言を附則に盛り込む修正案が自民・公明の共同で提案され、その後、討論に入り、共産・塩川、社民・重野の両議員が法案反対の立場から、みんな・柿澤議員が賛成の立場から意見をのべました。
 共産党の塩川議員は、「きわめて短時間のうちに、趣旨説明、討論・採決、本会議緊急上程までして押し通すという暴挙に断固抗議する」とのべたうえ、法案が3党の密室協議の結果であり、労働組合代表からの参考人質疑は不可欠なこと、人事院勧告制度さえ無視して一方的な不利益を国家公務員に押しつける憲法違反であること、労働基本権の全面回復こそ国会のやるべきことであり、「国家公務員の手足をしばったままでの給与削減は、議員立法という前例のない異常なやり方だ」と指摘しました。また、公務員の賃下げが国民所得減少の悪循環をまねき、財政と経済のいっそうの悪化をもたらすことなどをあげて法案に反対の態度をあらためて明らかにしました。
 その後、採決に移り、三党法案・修正案ともに、共産・社民を除く各党の賛成多数で採択されました。総務委員会終了後ただちに衆議院本会議が開かれ、賛成多数で法案が可決し、ただちに参議院に送付されました。

 参議院では労働組合からの参考人質疑を実現させよう

 民主・自民・公明の各党は、28日の参議院総務委員会で審議・採決、2月中に賃下げ法を成立させ、3月の給与から人勧分(▲0.23%)の引き下げを強行する構えです。
 衆議院総務委員会の審議を通して明らかになったように、労働者に不利益をせまる法案を、労使交渉もなく議員立法で提出することは、公務労働者の労働基本権を根底から踏みにじる前代未聞の暴挙です。委員会に提出された国公労連・全労連の見解は、正式文書として扱われ、国会議事録にも掲載されることとなりました。民自公三党もそのことを了解せざるをえなかったのは、原口総務委員長をはじめ委員会のなかで、賃下げ法案の内容とともに、議員立法による法案提出という手続きへの疑念がひろがっていたからにほかなりません。これらは、少なくとも労働組合の声を聞くよう求めてきた道理ある主張と運動の反映です。
 参議院では、労働組合出席のうえでの参考人質疑を実現させるため、引き続き、憲法違反の法案は廃案にしろと言う声を国会に集中させていく必要があります。(「公務ネットニュース」No.931から転載)


以上 


 
 
ページの先頭へ