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国公労連速報 2012年4月11日《No.2736》
働きがいの持てる非正規労働者の労働条件改善を
全労連公務部会「官製ワーキングプア告発集会」ひらく
     
 

 

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 全労連公務部会・非正規センターは4月7日、「第4回官製ワーキングプア告発集会」を東京・全労連会館で開催し、80人が参加しました。
 主催者あいさつした全労連公務部会の野村代表委員(自治労連委員長)は、「東日本大震災で公務・公共サービスのあり方が問われ、その重要性が確認された。住民・国民のための行政を確立するために、官製ワーキングプアの実態を告発し、正規・非正規、公務・民間を問わず、職場から労働条件改善のたたかいをすすめよう」と呼びかけました。
 続いて、和光大学教授(元朝日新聞編集委員)の竹信三恵子さんが「官製ワーキングプアと公務労働」と題して記念講演を行い、竹信さん自身が朝日新聞記者時代に取材した事例を交えながら、官製ワーキングプアの実態、法の谷間におかれている問題、公契約条例の広がりなどを紹介。「公務員バッシングの狙いは、公務・公共サービスの削減にある。震災復興のために公務員の役割が重要になっている。たんねんに調査して『国民生活に必要な公務員を増やして』と訴え、ワーキングプアをつくりださないためには何が必要かを明らかにし、納税者の支持を得られるようなアピールが必要。質の高い公務サービスのためには、必要な人員配置と安心して働ける労働条件の確保が求められる。雇用形態の違いを超えて意思疎通をはかり互いを知り、『パートは有期』『非正規は低賃金』という社会認識を克服しよう」と呼びかけました。
 続いて全労連公務部会の九後事務局次長(国公労連書記次長)が基調報告。国や自治体での実態にもふれながら、公務職場で働く全ての労働者を視野に日常的な対話活動を進めながら労働組合を大きく強くしていくこと、官民問わず幅広い労働者と共同し、あらゆる職場から非正規雇用労働者の労働条件改善を求める声をあげることを提起しました。
 現場からの訴えとして、国公労連、自治労連・船橋市職労、全教・埼教組、全医労、福祉保育労、郵産労、東京・公共一般の仲間が実態報告。
 国公労連を代表して全労働の津川書記次長が、「非常勤職員の賃金と任用は各省庁の予算まかせで、一時金は本省しか支給されず地方には支給されない。非常勤職員の仲間は、東日本大震災で自ら被災し家族を失っても業務を遂行するなど懸命に働いている。労働条件も劣悪で、法の谷間に置かれている実態を放置できない。官から働くルールをつくっていこう」と呼びかけました。
 全医労大分県西別府病院支部の仲間は、「国立病院の賃金職員として働いていたが2004年の独法化で一方的・強権的に首切りされ1日6時間の非常勤職員となり、辛く苦しかった。収入が激減したためダブルワークしながら、いま全医労不利益・雇止め是正裁判の原告としてたたかっている。仲間から『個人だと泣き寝入りで終わるが、全医労に加入してよかったね』と励まされた。1日でいいから、正規として働きたかった」と悲痛に訴えました。
 埼教組の仲間は、「年収80万円にしかならず、生活保護をうけている。昨年度は学級担任を持ったものの、今年度は新たな職場を見つけられなかった。臨時教職員は次年度に仕事があるだろうかと常に不安。」と話しました。船橋市職労の小松崎さんが発言し、学童保育で働く仲間がおかれている劣悪な労働条件、何年働いても同じ賃金、子どもたちとの関係が築けないと告発。東京公務公共一般の荒木さんは「営利企業・ピジョンハーツが参入した中野区の保育園の実態を告発、職場復帰をめざしたたかっている」と支援を訴えました。
 会場発言として、民事法務労働組合の衛藤執行委員長が「40年間誇りをもって登記業務を行ってきたが、市場化テストで1400人が職を失った。いま雇用保障を求めてたたかっている。引き続きご支援をよろしくお願いします」と述べました。
 その後、集会アピール(下記参照)を参加者全員で採択。閉会あいさつを非正規センターの江花事務局長がおこない、有期労働契約の法改正の動きについて「4月中旬にも審議と言われており、5年で雇い止めされる懸念が強まる。官民大きな運動で改正案を抜本修正させよう」と呼びかけました。


 集会アピール

 私たちは、「公務・公共サービスの充実」と「公務・公共サービスにかかわる労働者の待遇改善」を「車の両輪」として運動をすすめてきました。そうした中で、増え続ける非正規の公務労働者の実態を告発するとともに、問題解決に向けたとりくみを提起するために今集会を開催しました。
 1995年、日経連は「新時代の日本的経営」を発表し、労働力「弾力化」「流動化」促進と総人件費削減の狙いを明らかにしました。財界の求めに応じて、1999年「労働者派遣法」の業種拡大がおこなわれ、非正規労働者が激増しました。一方で、2005年「行政改革の重要方針」が閣議決定され、国家公務員の総人件費削減がすすみ、正規職員の大幅な減少とそれに替わる非正規職員の増加が加速されました。以後、多くの公務職場で同様の動きが広がり、臨時・非常勤職員が大幅に増やされ、いまや、国公職場で14万人、全国の自治体職場で60万人、郵政職場で21万人、教育現場では小中学校だけで10万人に達しているのです。その中で、正規職員より非正規職員が多い職場も珍しくなく、ある職場では二桁を超える職員の中で正規職員が1人しかいない実態が報告されています。
 こうした臨時・非常勤職員の多くは「官製ワーキングプア」と呼ばれる低賃金・不安定雇用の労働者です。私たちは、これまでも臨時・非常勤職員の賃金・処遇改善をすすめてきましたが、深刻化する「官製ワーキングプア」を解消するために、いっそうとりくみを強めなければなりません。
 国民・住民と向き合う現場では、正規・非正規に関係なく、質の高い公務・公共サービスや教育、医療、福祉などを提供しなければなりません。しかし、臨時・非正規職員は、同じ仕事をしていても正規職員と比べて賃金や処遇に大きな差があり、常に雇用契約への不安がつきまとい、安心して職務に専念できる状況にはありません。臨時・非正規であっても「良い仕事がしたい」と思いながらも、研修や資格取得の機会は十分に与えられず、労働者に保障されている権利や休暇制度さえ満足なものではありません。弱い立場につけこんだセクハラやパワハラも横行しています。さらに、切実な問題となっているのが「雇止め」です。こうした賃金・処遇の差別や基本的人権の侵害をこれ以上許すことはできません。
 私たちは、人事院や総務省、厚労省への要請などに粘り強くとりくみ、国の「期間業務職員制度」創設や非常勤職員の休暇制度・育児休業制度充実、地方自治体での一時金等手当支給条例化など、一定の前進を勝ち取ってきました。また、自治体に対して、委託や請負労働者の賃下げ・雇止めを防ぐとともに公務・公共サービスの水準を維持する「公契約条例」制定を広げるとりくみもすすめています。
 財界は、低迷する日本経済の立て直しには「国際競争力の強化」が必要とし、いっそうの規制緩和や制度「見直し」を要求しています。そこには、非正規労働者の処遇改善などはまったく頭になく、より非正規化をすすめようとしています。これに対し、政府は、人を物扱いする「労働者派遣法」を温存し、「労働契約法」改悪や、実効あるものにならない「パート労働法」改正など、追随の姿勢をとっています。こうした動きが公務に影響を与え、公務労働者の労働条件改悪につながることはまちがいありません。
 政府・財界・マスコミが一体化してリードする「公務員バッシング」は、労働者の間に分断をもちこみ、労働者全体の労働条件を切り下げようとするものです。その狙いを明らかにし、国民・労働者との対話を広げ、正規・非正規、公務・民間を問わず幅広い共同をつくり出すことが重要です。「官製ワーキングプア」解消のため、最低賃金底上げや労働法制改悪阻止、ディーセントワーク実現などで、臨時・非常勤職員の賃金・処遇改善を前進させなければなりません。正規職員を抜本的に増やすことや、雇用安定・均等待遇をはかる法整備をすすめることは急務です。
 みなさん、公務職場に働く臨時・非常勤職員の多くは組合未加入で、切実な要求を実現できずに苦しんでいます。同じ職場で働く労働者が力を合わせて身近な要求実現を勝ち取るため、臨時・非常勤職員を組合に迎えるとともに、たたかう組織を強化し連帯を広げていきましょう。

2012年4月7日
全労連公務部会・非正規センター/官製ワーキングプア告発集会

以上 


 
 
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