国公労連は本日、学研労協と特殊法人労連と共同で、独立行政法人の運営費交付金に関わって、財務省への要請を行いました。国公労連は岩崎副委員長を責任者に3名が参加。学研労協からは池長議長、特殊法人労連からは篠原副議長が参加し、財務省側は官房地方課・吉森課長補佐他1名が対応しました。
冒頭、岩崎副委員長が「独立行政法人の運営費交付金に関わる要請書」(別添)を手交し、「賃下げ特例法」を口実にして、2012年度予算における運営費交付金などの減額補正を行わないことを求めました。
つづいて、学研労協の池長議長は、「これまでも研究独法では人件費を毎年削減されることによって人員の確保が厳しくなり、ポスドクなど不安定で劣悪な非正規の若手研究者が増える状況にある。運営費交付金削減などによって人件費がさらに減らされることになると、研究機関としての組織運営が成り立たないような状況になり、科学技術研究の発展という面からも枯渇する方向にいきかねない。独法の賃金水準は自律的・自主的な労使関係の中で決める必要があるのに、外から決められるような状況はおかしい。これを踏まえた財務省のきちんとした対応を求める」と要請しました。
特殊法人労連の篠原副議長は、「これまで労使で決定してきた賃金が、『賃下げ特例法』に沿って一方的な賃下げが押し付けられようとしている。ある研究独法では不安定な任期付き職員にまで賃下げ提案がされている。特殊法人労連傘下の独法には人件費が国費からは出ていないところもあり、人件費を削減したからといって復興財源にも回らない。こうしたおかしなことはやめるべきであり、独法が担う公共サービスを拡充するために運営費交付金を増額すべきだ」と述べました。
全医労の三浦中執は、「国立病院の運営費交付金は2004年と比べて半分まで減らされている。その上、『賃下げ特例法』によって医師・看護師の賃下げを行うことは医療機能を維持できない事態に陥れかねないものだ。現在でも国立病院の賃金は他の病院に比べて低く、医師・看護師不足は非常に深刻で100人の欠員がある。さらなる賃下げは医師・看護師の確保を一層困難にし経営的にもマイナスとなる。東日本大震災では1,500人の職員を派遣し被災地の医療を支えた。国民の医療を守るという点からも賃下げを押しつけずに、運営費交付金を増額すべきだ」と求めました。
これらの要請に対して、財務省側は、担当部局に伝えるとの回答にとどまり、要請を終えました。
2012年4月27日
財務大臣 安住 淳 殿
日本国家公務員労働組合連合会 委員長 宮垣 忠
筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会 議 長 池長裕史
特殊法人等労働組合連絡協議会 議 長 岩井 孝
独立行政法人の運営費交付金に関わる要請書
日頃から、国民生活の安定と向上のためご尽力されていることに敬意を表します。
さて、国会は2月29日に「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(以下、「賃下げ特例法」)を、衆・参あわせてわずか5時間足らずの審議で強行成立させました。
それをうけ、総務省は昨年6月3日及び10月28日の閣議決定を根拠に「国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、各独立行政法人の役職員の給与について必要な措置を講ずるよう要請されたい」とする事務連絡を3月6日に各府省に発出し、多くの独法当局が国に準じる内容での賃下げ提案を行っています。
独立行政法人通則法では、「業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」と謳われており、独立行政法人職員の賃金水準を「自律的・自主的な労使関係の中で」決めることは当然であり、労働条件が労使の自主交渉によってのみ決定されることが労働関係法で保障されていることからしても、政府による事実上の賃下げ強制は認められるものではありません。ましてや民間労働法理の適用される非特定独立行政法人においても人事院勧告分の遡及が行われようとしていることは、極めて重大な問題です。
今回の国家公務員の賃下げが、「厳しい財政事情」や震災復興財源の確保を口実にしたものであり、野田首相が「公的セクター」で財源を確保すると表明したことに鑑みれば、独立行政法人の運営費交付金等にも多大な影響があることは明らかです。すでに一部のマスコミが「独法83団体の運営費交付金を300億円程度削減する方向で検討に入った」「2012年度補正予算編成時などに減額分を反映」と報道するなどの状況も生まれています。
現在、独立行政法人の抜本的見直しに向けた法案提出作業も進められていますが、独立行政法人通則法の目的に掲げられている「国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資すること」を実現するためにも、運営費交付金の拡充こそが求められます。
ついては、貴職に対し下記事項が実現されるようご尽力いただくことを要請します。
記
1、「賃下げ特例法」を口実にして、2012年度予算における運営費交付金など独立行政法人関連部分の減額補正を行わないこと。