2005年人事院勧告にあたっての声明 −−公務労組連絡会 |
一、人事院は本日、国会と内閣に対して、「0・36%、1389円」の官民逆較差にもとづき、一般職国家公務員の月例給を引き下げるとともに、「給与構造の見直し」によって、全国的な俸給水準を4・8%引き下げることや、中高年層の給与ダウンにつながる「給与カーブのフラット化」、勤務実績反映の給与制度の導入などを内容とした勧告・報告をおこなった。
2年ぶりの月例給の引き下げは、昨年と同様に「ベアゼロ・定期昇給のみ」で推移し、日本経団連調査によっても1・67%アップという春闘相場や、時給3円から2円の引き上げなど4年ぶりの改善が答申された最低賃金の目安額からもかけ離れたものであり、「賃下げ勧告」には、いささかの合理性もない。
その上、4月にさかのぼって賃下げする「調整措置」は、「不利益不遡及」の原則を踏みにじる点で労働者の権利侵害におよぶ重大な問題を持っている。現在、その違法性、違憲性をめぐって裁判が争われているなかにあって、その行為をくり返した人事院に対し、怒りをもって抗議するものである。
二、「給与構造の見直し」では、地域の民間労働者の賃金を公務員賃金により反映させるため、最も民間賃金の低い地域にあわせて俸給表の水準を全体として引き下げ、「地域手当」で地域間の給与格差をつけた。
地域の公務員給与を4・8%も引き下げることは、自治体・教員をはじめ公務関連労働者、地域の民間労働者の賃金水準に影響し、引いては地域経済への悪影響は避けられない。この勧告と同じく、総務省の「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」は11日、地方公務員の給与構造の見直しについての基本的方向性を取りまとめたが、「三位一体の改革」にも沿った地方切り捨ては住民の生活にとっても重大である。
また、新たな評価制度が確立されていないままで見切り発車した「勤務実績反映の給与制度」の導入、中高年層の生活を直撃する「給与カーブのフラット化」など、「給与構造の見直し」は、数多くの問題点を持った内容となっており、今夏勧告での強行にあらためて抗議する。
三、国民犠牲の「構造改革」推進をあらわにした「骨太の方針2005」では、消費税引き上げの露払いとして公務員総人件費削減がことさら強調された。民間の賃金動向とも相いれない「賃下げ勧告」は、人事院が「骨太の方針」に示された総人件費削減路線に迎合した結果にほかならない。労働基本権制約の「代償措置」としての本来の人事院勧告制度の役割を果たさず、財界の賃下げ攻撃と、「構造改革」に手を貸す給与勧告となったことは断じて許されるものではない。
夏季闘争では、公務労組連絡会は、人事院勧告とともに政府の「骨太の方針」に対するたたかいを強化した。人事院、内閣府・経済財政諮問会議への要求行動を繰り返し取り組んだ3次の中央行動には8千人の仲間が結集した。人事院への要求署名は45万筆を超え、勧告直前には、各地の人事院地方事務局前での座り込み行動とも結んで、炎天下に12時間におよぶ人事院前の座り込みでたたかい抜いた。
あらためて、職場・地域から奮闘された仲間のみなさんに敬意を表するものである。
四、地域給与の引き下げ、「賃下げ勧告」は強行されたが、「人勧・最賃」を一体にしたたたかいが前進し、最低賃金目安額および都道府県最賃は、昨年を上回る改善を勝ち取り、公務・民間共同のたたかいの新たな到達点を築いた。
そして、何よりも、今次夏季闘争では、国民の世論と運動が、郵政民営化関連法案を廃案に追い込む画期的な勝利へと導いた。参議院での法案否決は、全国各地で取り組んだ「郵政民営化反対キャラバン」での地域宣伝・地方議会請願・自治体要請など、一つ一つ積み上げた運動が大きな実を結んだものである。
「構造改革」の本丸である「郵政民営化」を阻止したことで、国民犠牲の「構造改革」そのものを突き崩す展望がひろがるもと、9月11日投票で総選挙がたたかわれている。憲法改悪・大増税・社会保障制度改悪の流れを断ち切り、政治を国民の手に取り戻す条件がかつてなく高まるなかでのたたかいとなる。自民・民主による「二大政党政治」を打ち破り、国民本位の政治の実現へたたかう決意を新たにする。
公務労組連絡会は、「マイナス勧告」の実施、地方自治体での給与構造見直しを許さず、公務・公共サービスの営利企業化・商品化、公務員総人件費・定数削減を阻止するために、国民的な運動と深く結んで、引き続くたたかいに全力をあげる決意である。
2005年8月15日
公務労組連絡会幹事会
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