国公労連
国民のための行政・司法へ ストップ!憲法改悪 サイトマップ 更新履歴 個人保護法に関する宣言 リンク
Action 私たちのとりくみ Journal 定期刊行物 Archives 資料 Mail News
トップページ >人事院勧告関連資料> 2009年8月11日付 号外 2009年人事院勧告特集号
 
  Journal 定期刊行物
国公労新聞 2009年8月11日付 号外 2009年人事院勧告特集号
     
 

 

PDFで見る(4,414KB)
◆過去最大規模の給与引下げ勧告
 

 

<声明>本俸0.2%と一時金0.35月を削減 非常勤の休暇等は一歩前進

声明本文は⇒こちら

 

 

 

<解説>
給与改定 現給保障も減額に


給与水準

 今年の給与勧告△863円、△0・22%は、2005年勧告の△0・36%をさらに下回り、俸給のマイナス改定を伴うものとしては最低記録を更新するものです。
 未曾有の厳しい経営環境にあるなどといわれながら、「ベースダウンを実施」した事業所は1・5%程度にすぎませんし、今年の春闘結果も昨年と比べわずかなマイナスに留まっています。民間労使が給与水準維持に努力した現れです。
 不払い残業の増大や労働強化が深刻になる職場実態を考慮せず、機械的に「官民較差」を押し付けてる人事院の姿勢は厳しく追及されなければなりません。

俸給月額

 マイナス較差の大半(△596円)は俸給月額の引き下げに充てられます。但し、初任給など若年層(概ね20歳台)については、給与水準が民間より低い現状を踏まえて引き下げは行わず、それ以外の俸給月額が引き下げられます。引き下げ率は平均△0・2%ですが、7級は平均を0・1%上回る引き下げになっています。
 なお、俸給月額の引き下げは、給与構造改革に伴う経過措置を受けている職員にも影響します。現給保障されている職員は、後述する「調整率」によって現給保障の算定基礎額についての引き下げが行われます。

諸手当

○持ち家住居手当を廃止
 手当では、新築購入後5年間支給される「自宅に係る住居手当」が廃止されます。
 この手当は支給要件とされる財形持家個人融資の利用者の大幅な減少によって、措置の必要性が認められないなどとして、昨年の勧告時の報告で廃止が予告されていたもので経過措置もありません。
○超勤手当割増も
 昨年12月の労働基準法の改正を踏まえ、日曜日またはこれに相当する日の勤務を除き、月60時間を超える超過勤務に係る超過勤務手当の支給割合を「150/100」に引き上げるとともに、当該支給割合の超過勤務手当の支給に代えて勤務することを要しない日または時間(代替休)を指定することができる制度を新設するとしています。

期末・勤勉手当

 人事院は官民の特別給(ボーナス)の年間支給月数を改めて比較し直した結果、民間の支給月数「4・17月」に対し、公務は「4・50月」(6月期凍結分を含む)であるとし、年間「0・35月分」の引き下げを勧告しました。この引き下げ幅は過去最大であり、年間「4・15月」という支給月数は、一挙に1960年代前半の水準にまで引き戻すものです。
 本年6月期に凍結した「0・2月分」は引き下げ分に充てられ、残り「0・15月分」は、12月期の特別給の減額に充てられます。(改定後の支給割合は表を参照)
 「本年4月から改正法施行日までの較差相当分を解消するため」の年間調整は、俸給月額が引き下げられる職員に実施されます。具体的には4月の給与に「調整率」を乗じて得た額に4月から実施の日の属する月の前月までの月数を乗じて得た額と、6月期のボーナスの額に調整率を乗じて得た額の合計額に相当する額を、12月期の期末手当の額で調整することになります。
 「調整率」△0・24%は、俸給月額の引き下げの対象とならない職員(若年層)を除いて較差を解消するように設定されるため、「官民較差率」△0・22%とは異なっており、留意が必要です。

 

 


非常勤職員の処遇


給与

 昨年策定の「給与決定に関する指針」のフォローアップを行った結果を報告しました。ほとんどの府省で給与は、指針の水準に達し、適正支給は着実に進んでいるとしていますが、最低限の基準である指針ですら、未実施の府省があります。国公労連の確認では、勤務時間や職員数を減らし指針の処遇を確保した事例もあります。指針が、同様の業務に従事する職員の不均衡是正を目的とする以上、問題のある府省を指導し、財政当局にも予算確保の努力を促すべきです。

休暇等改善

 休暇等に関しては、一週間の勤務時間が常勤職員の4分の3を超えない非常勤職員にも忌引休暇(有給)、病気休暇(無給)が適用されます。
 また、要求が強かった、一般健康診断については、勤務時間・期間が一定の要件を満たす職員に適用が拡大されます。
さらに、日々雇用職員の任用・勤務形態について、本年度内を目途にその性格に応じた適切な任期と再任ルールを検討するとしました。
 いずれも一定の前進ですが、今後、その実現に向け取り組みを一段と強化していく必要があります。一般職国家公務員として国の重要な事務を担いながら、法の狭間におかれている非常勤職員の労働条件改善に代償機能を発揮し、必要な勧告を行うことが人事院の果たすべき役割です。

 
 

 

給与構造見直し(5年目) 地域と本府省業務手当を完成

給与構造改革とは

 2007年度に始った「給与構造改革」は、@地域の民間賃金を反映するための地域間配分の見直し、A職務・職責に応じた俸給構造への転換、B勤務実績の給与への反映の推進、C複線型人事管理に向けた環境整備、D本府省業務調整手当の新設を柱として、順次実施されてきましたが、いよいよ来年度に完成型となります。

地域格差の拡大

 人事院は、本年の勧告で「地域別の民間給与との較差」を公表しましたが、政府の圧力に屈したものと言わざるを得ません。
 地域手当の導入によって、支給地と非支給地に勤務する職員に18%もの格差が生じるという、公務部内における「地域間格差」が拡大しています。
 全国どこでも同じ公共サービスを提供しなければならない国家公務員の賃金は、同一労働同一賃金が原則です。政府が求める、地場賃金水準との単純な比較は許されません。


今後の検証が課題

 制度完成を受け、昇給抑制措置は、来年度で終了し、2011年1月から普通昇給は4号俸、優秀者は6号俸、特に優秀なものは8号俸以上となります。(ただし、55才以上はそれぞれ半分)
 今年の10月から本格的に実施される新たな評価制度の導入による個人間の格差拡大が予想されます。
 人事院は、2011年度に「給与構造改革」の検証を行うとしており、較差拡大など職場実態をふまえた検証を追及する必要があります。

 
 

 

勤務時間等労働条件 夫婦同時の取得可能に

超勤縮減

 心身の健康、仕事と生活の調和、若手職員の士気の確保、人材の確保等の観点から、引き続き本府省における在庁時間削減の徹底に取り組むとしています。
 このため現在、昨年度の各府省の在庁時間や具体的な取り組み状況を精査しています。超過勤務は、表に現れないただ働きの実態を放置して、その縮減は進みません。勤務時間管理を徹底し、予算を確保して不払いを根絶することが必要です。
 人事院は、超勤縮減指針を2月に改訂し、他律的業務の上限目安を年間720時間としました。依然上限の目安にとどまるものであり、実効ある法的規制にまで踏み込んでいません。

育休改善

 民間育介法の改正をふまえ、「国家公務員の育児休業等に関する法律の改正について」の『意見の申出』を国会と内閣に行いました。これまで国公労連女性協を中心に、@子ども一人につき5日の看護休暇、A休暇請求理由に予防接種、健康診断等を加えることを要求しており、今回の内容は一定の前進と評価できます。
 しかし、家族の急病時の通院等で使える短期介護休暇にという要求には、要介護家族の通院など一時的に職員が介護を行う場合を想定するとしつつも、民間の休暇対象範囲が介護休業と同様に考えられていることを理由に、民間動向等を踏まえ検討するとしています。両立支援制度の拡充を求めてさらなる人事院追及が必要です。

心の健康

 心の疾病の長期病休者の増加に対して人事院は、セルフケア(自ら心の状態を把握し早期に対処)、ラインケア(管理者が部下に適切に対処)を重点的に取り組んでいます。心の疾病について国公労連は、パワハラ指針の策定など具体的な対策を講じるよう要求しています。人事院は、苦情相談で「上司の言葉等のいじめ、嫌がらせがあることは承知している」としていますが、パワハラの定義が定まっていないとして、指針策定等には消極的で報告でも一切ふれていません。早急な検討を求めます。

 
 

 

公務員人事管理 65歳に定年延長

高齢期雇用

 人事院は、「公務員の高齢期雇用問題に関する研究会」の最終報告をふまえ、年金支給開始年齢の引き上げに合わせて、2013年度から定年年齢を60歳から65歳に段階的に引上げることが必要であるとしています。このため、11年中には法整備を図る必要があるとし、10年中を目途に意見の申出を行うために、本年秋以降、個別課題について関係各方面との意見交換を含め検討をすすめることを明らかにしました。
 定年延長の条件を整えるための給与制度見直しでは、60歳台前半の具体的な給与水準・体系を設計し、併せて60歳前の給与カーブや昇給制度の在り方も見直すとしています。高齢期の雇用問題は人生設計に関わる大きな課題です。定年延長に伴って単純に賃金カーブを下げればいいというものではありません。
 その他、役職定年制の導入、加齢に伴い就労がきびしくなる職務の特例的な定年の取り扱いなども検討されます。
 いずれにしても、重要な労働条件であり、検討にあたっては当事者である国公労連との意見交換を行い、納得と合意の上ですすめるべきです。

公務員人事管理

 公務員制度改革に対する人事院の基本姿勢、政官関係と公務員制度や公務員の役割、労働基本権問題に関する基本的考え方を報告で示しました。 主な課題では、公務員制度改革で打ち出された採用試験制度の見直しに言及しています。
 採用試験制度を「総合職・一般職・専門職」などの試験区分に変更するものですが、2014年度に新試験を実施するための準備をすすめるとしています。
 新たな人事評価制度は、多くの府省が10月から実施します。新制度が円滑かつ公正に活用されるよう、各府省の実施状況等を見極め、適切に対応するとしています。
 評価結果の活用は、制度の信頼度の高まりに応じて段階的にすすめるべきであり、評価制度の定着や制度に対する信頼性が不十分なまま活用することは問題です。最低限、評価結果の全面開示や苦情処理への労働組合の関与が必要です。

 
 
 
ページの先頭へ