(別紙1)


内閣総理大臣あいさつ

平成10年6月24日(水)
中央省庁等改革推進本部顧問会議第1回会合

 中央省庁等改革推進本部顧問会議の第1回に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 まず、各界において枢要な地位にある皆様方が、この中央省庁等改革推進本部の顧問の仕事をお引き受け下さいましたことに対し、心からお礼申し上げます。

 私は、行政改革を内閣の最重要課題に掲げ、行政の枠組みを根本から見直し、21世紀にふさわしい行政システムを構築すべく、今日まで全力で取り組んでまいりました。

 そのため、一昨年の秋に私の直属の機関として行政改革会議を発足させ、各界の有識者に広くご参加いただきました。行政改革会議では、21世紀における国家機能の在り方、それを踏まえた中央省庁の再編の在り方、そして、官邸機能の強化のための具体的方策の3点に的を絞って検討を進めていただき、50回を超える熱心な御討議を経て、昨年12月に、最終報告を取りまとめていただきました。

 これを受け、政府では、直ちに最終報告にのっとった中央省庁等改革基本法案を作成し、国会での御審議をお願いいたしまして、先般、成立の運びとなりました。改革は、これからまさに具体化の段階に移ってまいります。今後は、各省の業務の徹底した見直しやスリム化と新たな省の設置法の立案などを総合的、一体的に行う必要があります。特に、業務の見直しとスリム化に当たりましては、本年5月に決定した地方分権推進計画などに基づく地方分権の推進や本年新たに策定した規制緩和推進3ヶ年計画などに基づく規制の見直し、撤廃を着実に進めながら、実質的なものとしていく必要がございます。このような作業は膨大ですしかつ広範にわたりますし、また、各方面の痛みをも伴う厳しいものとなると考えられますが、今回の改革は、基本法にも規定されているとおり、遅くとも5年以内、できれば2001年1月1日に新体制への移行を目指すものであります。そのためには、来年四月頃を目標として、内閣法、国家行政組織法、各省庁設置法などの関係法律については、成案を得てその提出をめざすことといたします。また、これに併せ行政のスリム化・効率化のための業務の業務の見直し及び計画の策定などを進める必要があります。
 今回の改革は、このような難事業でありますが、内閣総理大臣であるわたくしを本部長とし、全閣僚を本部員とする推進本部が、いわば政治主導で、責任をもって進めてまいります。また、推進本部の下に置く事務局には、民間ゥらも優秀な方々に参加していただきます。また、現に参加していただきつつあります。そして、わたくしの直属の機関として、この顧問会議を設置し、各界の有識者の叡智を集め、ご助言をいただくことといたしました。

 顧問会議の役割は、基本法に基づいて講ぜられる施策に関する重要事項についてご審議願い、本部長であるわたくしに意見を述べていただくことにあります。顧問の皆様には、どうか、高い立場から、ご意見、ときにはご忠告をいただき、また、事務局の作業についても、基本法の精神にのっとって行われるよう注視され、ご指導をいただきますようお願い申し上げます。

 また、ご本人と皆様のご了解が得られますならば、今井様に、顧問会議の座長をお願いしてはどうかと考えております。

 今回の改革は、21世紀の日本のあるべき国家・社会像を視野の中軸に据えて、わが国の戦後型行政システムを抜本的に改めることにより、社会経済システムの転換を促すためのものであり、あらゆる困難を、また痛みを乗り越えてこの改革をやり抜き、この国の未来を切り拓いていく決意です。今回の改革が基本法の精神にのっとって着実に実行され、国民の期待に応えることになりますよう、皆様のご尽力を切にお願いし、第1回顧問会議にあたっての私のご挨拶といたします。

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