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4月1日、独立行政法人制度が発足し、52の特定独立行政法人と5つの非特定独立行政法人が発足した。この独立行政法人制度は、内閣機能の強化、省庁の大括り再編と並ぶ中央省庁等改革の柱の一つであり、行政減量化の「切り札」として位置づけられたものである。私たちは、独立行政法人化は、国の行政サービス実施責任を放棄するものであることを広く国民に訴えながら、独立行政法人通則法、独立行政法人個別法に反対する運動を進め、法案成立後も、行政サービス切り捨てと労働条件の切り下げを許さない取り組みを強めてきた。 政府・各省当局は制度創設に当たって、独立行政法人化で「自主性、自律性が拡大する」と言っていた。しかし、移行にあたっての実際は、労働条件や要員問題、業務予算に、財務省や主務省が「介入」をおこない、「自主性、自律性」のまやかしもあきらかになってきた。たとえば、新たな定員削減計画の目標値を総人件費抑制の「参考」として示したり、業務運営費についてあらかじめ効率化係数をかけ、予算削減を迫ったりしている。特に問題だったのは、経済産業省が主管する産業技術総合研究所において、総人件費の枠内での賃金制度の大幅な改悪が強制されたことである。生活補給的手当である寒冷地手当や調整手当を廃止し、本俸、職責手当、業績手当の3要素の賃金制度とし、短期の業績を賃金や昇任に反映させる改悪は、現行の国家公務員の賃金制度を大きく修正するものだった。加えて、橋本行革担当大臣がこの制度改悪に言及したことで、いわば政府が企図する「公務員制度改革」の実験場とさえ位置づけられた。全通産(現全経済)は、こうした攻撃による賃金水準の低下と、恣意的な評価、格付による差別と分断に反対し、職員の大多数の支持を受けて、ねばり強い闘いを進め、国公労連、学研労協に結集する仲間もこの闘いを支えた。その結果、改悪の基本線を撤回させることはまでにはいたらなかったものの、賃金の低下は基本的に阻止した。これは、いま国家公務員労働者全体が直面する公務員制度改悪反対の闘いにとっても貴重な成果である。 未解決の問題も残されているものの、賃金制度、労働時間、非常勤職位の雇用継続など、全体として労働条件は、現行水準を維持できたと言える。今後は、行政サービスを維持・向上できる予算、要員の確保をはじめ、行政サービスの質的向上をめざした法人運営の自主性、自律性を実現していくことが重要になっており、来年度予算要求時から直ちに取り組みを強化することが求められている。また、労使自治により賃金などの労働条件決定を実現していくことは、法人の自主性、自律性を確保する上での要の課題であり、4月18日、独立行政法人労組が一斉に要求を提出し、交渉と取り組みを強めよう。 全国の仲間たち!この間の経験から、要求実現の力が、労働組合の団結と運動にあり、闘いを支え合う国公産別の統一闘争の強化にあることが改めて明確になった。独立行政法人を減量化の「切り札」にさせず、国民生活を重視した行政サービスの充実と、働く仲間の労働条件前進を勝ちとるため、職場からの運動と連帯をさらに強め、国公労連とともにたたかい続けよう。 2001年 4月 2日 日本国家公務員労働組合連合会 |