1、人事院は、本日、内閣と国会に対して平均0.76%(2,785円)の賃金引き上げや、昇給停止年齢を3歳引き下げて55歳とすることなどを内容とする勧告をおこなった。 今次勧告は、98年春闘相場が史上最低の状況であったことも受けて、過去最低であった95年勧告を率・額とも下回ったことに加え、低額ベアのもとで昇給制度改悪に見られる高齢者、とりわけ団塊の世代に焦点をあてた賃金抑制を強化するなど、極めて不満の強いものとなった。
2、今夏勧告をめぐる状況は、消費税率引き上げを直接の原因として97年の物価上昇率が1.8%となり、不況の深刻化に加えた雇用状況の悪化や社会保障制度改悪の動きの強まりが将来生活への不安を増大し、中央省庁等改革基本法が成立し公務員攻撃が激化するもとにあった。
3、勧告にむけて最大の闘争課題であった昇給制度改悪では、「53歳昇給延伸、55歳昇給停止、行(二)職員等の特例廃止」とする当初提案を一部修正したとはいえ、提案の根幹であった「55歳昇給停止」という年齢差別の強化を、我々の強い反対を押し切って強行した。 提案からわずか2ヶ月余りの短時日で、しかもまともな説明責任も果たさないままに、早期立ち上がり型賃金カーブへの修正・世代間配分とのすり替えと、民間企業における年功賃金破壊の賃金制度「見直し」への迎合を口実にして制度改悪の「正当性」を主張した人事院の姿勢は、拙速かつ独善的なものであり、労働基本権剥奪の代償機能としての役割すら否定しかねないものである。制度改悪そのものの不当性はもとより、交渉ルールの形骸化につながる人事院の対応にも、我々は厳しく抗議する。
4、勧告では、低水準のもとで、①扶養手当の教育加算1000円の増額、単身赴任手当の基礎額及び加算額双方の大幅な改善という重点を絞った手当の改善、②中堅層重視の本俸配分など、国公労連の要求にも応える配分をおこなっている部分もある。
5、勧告を受けて、政府がその取り扱いを検討することになるが、「国家公務員の20%、行政コストの30%削減」を表明している小渕内閣が、「行革」攻撃の一環として、これまで以上に勧告を政治的に扱う危険性は少なくない。 既に、現業公務員の賃金改善にかかわって、一部については国会承認を求めるなどの動きが顕在化してきている。国公労連は、行革基本法にもとづく行政サービス切り捨て、国民いじめの「行革」反対のたたかいと一体で、政府による勧告の「値切り・凍結」などの不当な攻撃を許さないために、たたかいを継続する。
6、国公労連中央執行委員会は、昇給制度改悪反対などの切実な要求を掲げてたたかいに結集された全国の仲間の奮闘と、たたかいに協力いただいた多くの皆さんに、心から敬意を表明する。
1998年8月12日 |