パートU なんのための改憲か?日はどうなる?
− 改憲は未来を閉ざす

○憲法完全実施義務に反して「原理転換」の改憲を狙う
 ・大義も理性もない
 ・国民の要求・そして憲法の大義と矛盾
○外圧−内政干渉をしてのアメリカの圧力
○9条改憲が政府・財界・自民党らの最重要要求−アメリカの「注文」どおりに「邪魔者は消せ」
○だが、それだけではない−憲法原理(原則)の大転換・新たな改憲国家・社会を目指す(パートTの1の(2)参照)
○改憲は幸福追求を不可能にし未来を閉ざす−「天地の違い」、決定的な転換になろう

1 立憲主義の放棄、国民に強制する憲法原理に転換−「新しい国づくり」
(1)近代憲法原理を転換−国民をしばり、「統合」するための憲法を
 ○近代憲法原理の中心−立憲主義(パートTの1の(1)参照)
 ○逆転憲法をつくる−「国家権力を制限するために国民が(国家に)突きつけた規範」から国民の行為規範として機能し、国民の精神(ものの考え方)与える影響についても考慮に入れた憲法」へ
 ○こうした憲法について国民の擁護義務を科す
(2)憲法典は全面改正する−その内容
 ○「目指すべき国家像」を決める。それは「品格ある国家」であり、「愛国心が芽生える」国家である
 ○「守るべき価値」としては「歴史、伝統、文化に根ざしたわが国固有の価値、すなわち『国柄』とのバランスのとれたものとする」−財閥、自民党流の「国柄」の強制、おそるべき「復古主義」改憲思考
 ○基本的人権については、「権利、自由と表裏一体をなす義務責任についても……しっかり位置付ける」
  ・「国民の健全な常識感覚から乖離した規定は見直すべきである」
 ○そして最大の改悪−のちに述べる「憲法9条改憲、戦争をする国」へ
 ○そのことは後に述べる自由と民主主義、人権のない「国柄」にすることということである

〈補3〉家庭、夫婦、親子のあり方まで国が干渉
 ○戦後もっとも歓迎された改革−憲法24条万歳
 ○70年改憲策動−「愛と犠牲の運命共同体」に(女性の反撃、改憲失敗の1つの原因)
 ○今回、自民党改憲案−言い方は変わっても?
  ・「家族や共同体の価値を重視する観点から見直し」とはなにか?
  ・新自由主義と復古主義の混合?
  〈例〉自民党はすでに「心のノート」をつくり、ジェンダーフリーへの攻撃をつよめている
 ○民主党も立憲主義放棄−新自由主義路線を国民が担うことを強調

2 最大の改憲目的一憲法9条改悪で「戦争をする国」をつ<る
(1)9条改悪内容
 〈改憲・自民党案−「戦争をする国」のための改憲鮮明〉
 ・自衛隊を軍隊に
 ・集団的自衛権(アメリカと共同の戦争)を認める
 ・愛国心を盛り込む
 ・国防の義務明記
 ・非常事態宣言

〈補4〉〈民主党案−「中間報告」と岡田代表発言〉
 ○「国連」をつかって海外派兵、集団自衛権も認めているとみられる
  〈公明党案−現時点ではあいまい〉
  ・参議院選挙では9条堅持
  ・「論点整理」(04年6月1日)では「これまでの結論を覆す議論にはいたっていない」
  ・10月党大会では「自衛隊の存在の明記、我が国の国際貢献のあり方」について「加憲の対象として議論」
 ○公・民両党は現時点では、アメリカ、財界、政府、自民党の改憲応援に追い風を送る役割を果たしているといえよう
(2)アメリカと日本の支配層の最大の願い
 ○自民党改憲策が鮮明に狙いを明らかにしている
 ○民主党案も、国連の下での戦争参加を強調
 ○アメリカの強まる要求
  ・「ショーザフラッグ」・「ブーツオングランド」へ
  ・それでも足りない−結局は「血を流せ」という要求
 ○日本の支配層のイラク出兵(撤兵の拒否)−さらなる戦争加担を狙う
 ○財界の狙い
  ・メイドイン・ジャパンからメイドベイ・ジャパンヘ−総生産の1/4が海外、使用労働者300万人(多国籍企業化)
  ・多国籍企業化巨大な海外投資と生産・権益を守るには武装力が必要(奥田経団連会長)
 ○政府・自民党の狙い
  ・根深いアメリカベッタリ病と財界ベッタリ病
  ・小泉首相のブッシュとの「犬のシッポ」話
   *「二大政党」、民主党の岡田代表のアメリカ訪問と「売り込み発言」
 ○国連憲章にも憲法にも(イラク特措法にも)反する出兵
 ○さらなる戦争加担−直接戦場でアメリカ軍とともに「人を殺す」こともやろう(やりたい)と考えている(ファルージャ攻撃の成功を願う)
 ○そのため決定的障害物(憲法9条とこれを掲げる国民の力)を取り除く

3 改憲国衆は自由と人権、民主主蕎のない国と社会をつ<る
(1)決して「まさか」ではない
 ○新しい「国殻」は、自由と民主主義、人権の奪われた国、そして高度管理社会」であろう
 ○「心配のしすぎ」なのか?
  ・どんな場合でもたたかうのは当然の前提−単純な暗黒視はしない
  ・だが戦前の歴史、戦後の歴史、そして目の前の現実を直視しよう
 ○平和とともに、自由と民主主義、人権を求める世代を超えた広範な人々に訴えたら、共同を拡げる上でプラスなはず
  [1] 戦前の経験
   ・汚れた戦争であればある程、自由と民主主義は奪われる
   ・日本での治安維持法(送検者75,000人)アジア人民への弾圧、ドイツでのアウシュヴィッツ虐殺やドイツ人民への弾圧
  [2] 現代の大義なき戦争は「テロ防止」を理由に人権を奪う危険が強い
   ・現在のアメリカ愛国者法としての「治安」体制の恐るべき正体・
   ・まだこの国ではよく知られていない
   ・知ることが大事−身柄拘束者01年11月で1,200人(02年2月で延べ2,000人と推定)、弁護士(リン;スチュワード弁護士)までが三年間の接見盗聴で弁護活動を理由に逮捕、起訴
   ・アメリカ憲法、刑事人権の保障をふみにじった無法状態
   〈例〉笑えない話一司法省ロビーの「正義の女神」像に司法長官は衣をかぶせた
(2)今の日本は別か?
 ○20年前の政党法、国家機密法制へのたくらみを忘れない.
  ・マスコミ報道も死刑に、市民を巻き込む「過失犯」規定のあった国家機密法
  ・政党は「政党委員会」(国、政権政党ら)が決定、「革命の防止寄与義務」債任政治具現寄与」が政党要件+党費納入状況の公開があった政党法(自民党吉村試案)が上程されようとした
 ○そして、今、堀越国公法違反弾圧や反戦市民ビラ配り弾圧
 ○日の丸、君が代での241名の教師の処分と「研修」強要、ジェンダーフリー教育への攻撃と、そして教育基本法改悪の企み
 ○さらに危険な新たな方向が見えてきている−「安全」への不安を利用して国民を「治安維持」に巻き込む仕組み
  ・「生活安全条例」の全国各地での条例化
 ○学校と警察の「相互連絡制度」実施
 ○市民を「治安」「安全」体制に巻き込む
 ○「国柄」や「治安」強化に消極的な者の法的あるいは社会的「排除」の体制
(3)改憲したらなにがおきるか?−「国防の義務」明記を例にして考える
 [1] 国防の義務明記は教育を変える
  ・教科書に記載
  ・国防義務、愛国心を教師は子どもたちに「教育」、子供は学ばなければならない
 [2] 国家機密法−言論の自由がながれる、広範な市民の生活の統制、処罰
 [3] 政党法も射程に−革新政党の半ば非合法化、国民の自由な政治参加の否定
 [4] 戦争が合意とされ、国防の義務が明記されたときの、非常事態法は猛威をふるう
 [5] 徴兵法も憲法上認められる「制度」に
 ○第一線で戦死する事態になったとき「有給」「任意」で自衛隊は隊員を集められるか
 ○情報社会の軍事作戦はやり切れるが
 ○大規模に戦争に参加するとき、任意募集でまかないきれるか

〈補5〉支配層は、高度「治安」国家を狙っているのではないか?単純に弾圧強化だけではない。国民を大国主義、新自由主義、そしてテロ防止、犯罪に強い「安全国家」に巻き込む、つまり高度管理、相互監視社会にして噺たな国民統合を目指しているのではないだろうか−その危険は否定できない

4 パートUの結論−改憲国衆にするわけにはいかない
○もう一度、人を殺す、殺されるということを考えよう
○改憲国家・社会に幸せはあるのか?−幸福を追求し、平和のもとに生存できるのか
○改憲憲法は「国民幸せ法」(自民「憲法改正のポイント」なのか?)
○事実は全く逆−「もうひとつの新しい日本」−は現憲法の完全実施によってこそ可能になる
○民主党案は「グローバル化のなかで……21世紀の新時代のモデル」なのか?結局は対米従属の弱肉強食国家社会のモデルになろう
 (1)「戦争をする国」にしていいのか?
○実際の戦争は、アメリカと一緒に先制攻撃・予防戦争をたたかうということ
 ・イラクで人々のいのちを奪っていいのか,.
 ・北朝鮮ら「ならず者国家」への先制(予防攻撃)に加担するのか
○もう一度、人を殺す、この国の若者が人殺しされ、自らも生命を失うということでいいのか−「殺人者」はどんな人間なるのか?
○世界の人々、とくにアジアの人々、政府の信頼を失っていいのか
 ・まだ果たしていないこの国と私たちの戦争責任
 ・アジア人民と世界への誓約・憲法9条を反古にさせていいのか
 *戦前、抵抗できなかった(あるいは「知らなかった」)という抗弁は2度とは使えない−決して使わない決意をもって生きたい
(2)くらしはどうなる−犠牲は国民の肩に
 ○戦争のためのカネは私たちからむしり取られる
  ・アメリカの普通の人たちのくらしはどうなったか?
  ・日本の現実−イラク出兵で既に400億円を大きく超えている
  ・さらなる戦争参加は、社会保障切り下げ、消費税アップにつながる
(3)そして、民主主義と人権はどうなるのか?(前出3参照)
 ・結局は、閉ざされた「暗い日本」になる
 ・もの言えぬ社会、バッシング派を多数派に、少数派を排除する社会にされる危険
(4)では未来はどこにあるのか?(後出パートIV参照)
 ○憲法9条厳守、憲法の完全実施こそがもうひとつの日本のグランドデザイン
 ○平和でアジア、世界と「共生」し、誰れもが人間らしく生きられる「もうひとつの日本」こそみんなの要求

▽ 戻る ▽