〈パートV〉 勝利の条件は広がっているがっている
−条件を生かす力が生まれている

○財界、政府、自民党らの「21世紀の日本」は、幸福の追求できない未来のない日本である
 ・そんな国を私たちは望むのか?
 ・そうではないことは日々はっきりしてきている
○平和で「人間らしく生きられる道」は見えている
○“光”は随所に灯り始めている
○切り開く力は私たちにある−「決めるのは私たち」

1 改憲簗勒には多<の弱点がある
○改憲策動の基本的弱点は、その大義のなさ、国民本来の要求との矛盾にある
○しかも、制度的に改憲発議と国民投票(過半数以上獲得)という二重の関門がある
○たたかって、切り開き勝利をかちとる視点で彼れらの弱点・障害をリアルに見る
(1)「発議」(2/3の多数決)するには何が必要か−彼らの困難は少なくない
 [1] 制度上、自民、民主、公明3党(少なくとも自民民主)の共同改憲案がまとまらないと発議はできない

〈補5〉「2/3の多数決にはなにが必要か?」参照
 [2] では、共同改憲案合意は簡単か?−簡単ではない
○三党の改憲案には現状では違いがある
 ・自民の全面改憲案(無条件集団自衛権容認と復古主義的国家論)と民主改憲案(国連決議条件」「新自由主義的国家論」)との違い
 ・9条改憲でなお揺れている公明党との違い
○民主が、自民に簡単にすり寄れば、選挙勝利「政権交代」は消え去る
○「平和の党」といってきた公明は、創価学会員をまたしても、そして決定的に裏切るのか?

〈補6〉国民投票法上程について、まだまとめ得ないでいる
○自民党一括投票法でいそいで
○公明党のためらい
○民主党は?
(2)「密室談合」「玉虫色妥協案」「大連合」の危険は直視する改憲勢力の矛盾に安住し ない
○小選挙区制での逆転を忘れない
○一連の有事法制での妥協も忘れない
○「二大政党制」の”毒”、民主党のアメリカ迎合姿勢、財界に対する姿勢の危険性は直視する
(3)三党の矛盾を改憲案合意不可能にまで拡げるのは国民世論の高まりにある
○国民世論を無視して、政党の思惑だけでなんでもできる時代である
○選挙があるだけではない。国民投票という関門がある
○決定的に背を向けたら、政党として大きな敗北になる
○マスメディアといえども、国民を無条件に引き回すことはできない
○しかも、世界の世論、とりわけアジアの世論は9条改憲にきびしい
 〈例〉もし・9条改憲署名が急速に広がったら、9条の会などの運動が広がったら……民主、公明は野合「暴走」できるか

〈補7〉○衆参両院で各2/3以上の議決が発議の絶対要件
○衆院
 ・定数480、2/3は320
 ・自民249、民主178、公明34
 ・自・公合算283(▽37)、自・民合算(△107)
○参院
 ・定数242、2/3は162
 ・自民114、民主84、公明24
 ・自・公合算138(▽24)
 ・自・民合算198(△36)

2 では国民と国民世論をどうみるか? −たたかいによって圧倒的な反対世論形成は可能
○強固な反対、広範な世論をつくる鍵は真実である
○世論調査の結果とその分析を〈ノート -2-〉に見る
○「変数」は大きいリアルに、だが切り開く立場で取り組む
 ・「真実は勝利する」  私たちの運動が答えを決める
 ・「要求は力なり」

〈ノート -2-〉   「世論調査での憲法をめぐる国民意識」

○憲法をめぐる国民の意識状況
 −改憲の企ては国民の要求から出発したものではない。9条改悪はとくに。
【朝日】(5月1日)
 ・憲法改正の必要はあるか
  …ある57%ない35%
 ・9条改正
  …変える方がよい31%変えない方がよい60%
 (「その他・答えない」は省略)
【NHK】(4月12日)
 ・憲法改正の必要はあるか
  …ある47%ない18%どちらともいえない33%
 ・第9条改正は
  …必要あり28%必要なし39%どちらともいえない30%
【東京新聞】(6月22日)…小泉政権の支持者
 ・9条を含めて改正すべき35.1%
 ・改正すべき点はあるが9条改正には反対46.3%
 ・9条を含めて改正反対13.0%
【日本経済新聞】
 ・憲法を「改正すべき」(今年4月比6%減・2000年4月以来来最低)・「現状のままでよい」33%(同5%増)→20代では「改正すべき」46%(同10%減)・「現状のままでよい」40%(世代別では最高)
  …「イラクヘの自衛隊派遣やテロの脅威の高まりなど国際情勢」が反映?(「日経」
 ・「現行憲法の問題点」(複数回答)
  「環境権など時代の変化に対応」32%、「地方自治の徹底」28%、「9条は現実に合わない」27%、「2院制などが不適当」23%、「経済活動の自由が不明確」22%

〈私見〉
○憲法9条改正反対(変えない方がよい)がいずれも、多数であることは大きい(貴重な「財産」)。そのことに確信を持つ
○同時に『朝日』の改正賛成が01年の47%から53%(△6ポイント、過半数を始めて超えた)こと、9条「改正」反対が、01年の74%から、60%(▽14ポイント)、「改正」賛成が17%から31%(△14ポイント)になっていることは軽視しない
○世論は双方向で変化する−私たちが変えられる
○強固な反対をつくることと、幅広くやわらかな反対を広げる両面の活動が必要

3 イラク反戦の世論のつよまりを改憲反対につなげれば勝てる −イラク出兵は戦略的弱点
○改憲世論を広げる新たな・”環”・イラク反戦
○大義なきイラク戦争と世界の平和運動の強まり
○日本でのイラク反戦と憲法9条の新たな”輝き”
○イラク戦争とそれへの加担は改憲策動の戦略的な弱点−この弱点をつこう
(1)大義なきイラク戦争と反戦平和の世界での高まり
○明らかになったイラク戦争の汚れた正体
 ・大義なき先制攻撃であったことは、明白になった(大量破壊兵器はなかった。フセインとアルカイダらの関係はなかった)
 ・「大義がない」と言うことは、戦争は犯罪だったということである
 ・イラク人民(10万人という推計)を殺した責任は明白
 〈例〉ファルージャ総攻撃の第一軍は中央病院に対して−理由は「反米宣伝をしたから」(『朝日』11月9日、『天声人語』)
○世界の批判−アメリカ(イギリス)のかってない孤立
 ・国連は認めない、批判し続けている
 ・国連加盟国191カ国中142カ国(50億人)が批判・不賛成(戦争賛成は49ヵ国、12億人)
 ・何よりも諸国人民の抗議行動のかってない拡がり
 〈例1〉3000万人の集会,(開戦直前の1000万人のでも、集会、持続する各地での抗議
 〈例2〉劇的な展開−スペインでの大集会(マドリード250万人、全土1000万人)と政権交代、そして撤兵

 ・さらに進むアメリカの孤立−相次ぐ撤退の動き(アジアでは韓国と日本のみに)
 ・イラク現地での「泥沼化」
 *アメリカの孤立、世界の反戦平和の流れは安保やベトナム反戦のときとはくらべものにはならないつよさ、大きさになっている−世界的変化
(2)日本でも拡がるイラク戦争反対の流れ
○イラク戦争反対、自衛隊出兵・撤兵せず反対の世論の高まり
○今までの〈枠〉を超えた多様な集会と諸運動−拡がる「共同」
(3)改憲反対と結びつき相乗して広がっている−法則的な発展

4 たたかいはこれから−なにを臨え、世論をどうつくるか?
○やりたい放題の参戦のための9条改悪に反対する国民はいまも多数派
○もっと強い反対、もっと広範な国民世論形成が必要−それは可能だ
(1)改憲反対の運動の広がりに何をみるか?−反転攻勢の始まり
○九条の会の発足と、その全国に拡がる”光”−東京、大阪、京都各集会の大成功と職場、地域での拡がり
 ・「知性と良心」を代表する9人−その人生(平均年齢77歳)での裏付け
 ・様々な違いを超えての共同の訴え
 ・憲法の危機を見る国民の心に火をつけてくれた
 *9条の会の発足集会に参加して私はどう励まされたか
○共同センター、憲法会議などの取り組み
 ・長いたたかいの経験をひきつぎ、現にたたかっている組織の力の結集
 ・様々な共同を展望して取り組む
○世代、地域をこえて動き出した多くの国民の多彩な活動
 ・イラク反戦、人質救出に立ち上がった若い世代の力
 ・3月20日集会でのそれぞれの努力と5月3日集会の成功に励まされて
 〈例〉広がっている女性の創意工夫をこらした運動−紙芝居、カンバッチの普及(バッチの売上げでオーロラビジョン放映の実現)
(2)かってない共同のはじまり−北海道箕輪裁判の発展など
○平和を求める運動のさまざまないきさつを超えて
 ・3・20集会、5・3集会でのそれぞれの努力
○いわゆる保守層との共同の広がり
○自衛隊合憲の人々との共同が始まっている
 *自由法曹団は2月5日、「防衛庁包囲キャンドルナイト」で何を学んだか?
 −「基礎的(固定的)力」の10倍の参加」
 **5月集会での自衛隊合憲論・9条改悪阻止の学者の講演と討議で何を得たか

〈補8〉9条改悪反対の一致点での共同と、安保・日米同盟の本質をつかむこと(訴えること)との関係をどうつかむのか?
○戦争の危険をリアルにみるためには?'安保に触れる必要
○強固で、持続、発展する運動にするためには?があるのでは?
○とりあえずの私見
 ・とりわけアジアにおける戦争の危機−「主役」アメリカ、
 〈例〉北朝鮮戦争と台湾海峡をめぐる米中戦争
 「従者」日本での戦争を仕掛ける危険を訴える。
 ・戦争をする国は生活と人権、民主主義を道連れにすることを訴える(押しつけはしない)
 ・日米軍事同盟の地球規模への拡大に問題の根源があることをつかみ訴える(押しつけはしない)
○「大異はあっても、大同につく」−相手に対する信頼とねばりづよく誠実な行動を(押しつけやレッテル貼りは決してしない)

〈補9〉日本の安全保障をどこに求めるか−北朝鮮問題にどう答えるか
○北朝鮮問題、北東アジアの平和は、非戦、対話によってのみ解決できる
 ・6ヵ国協議と日朝共同声明で解決を
○一方的脅威論、軍事的対決強化こそ危険な道
 ・北朝鮮に「攻撃能力」はない−圧倒的劣勢
 ・瞬時自滅しかない
 ・北朝鮮から見たとき恐怖の核先制攻撃体制
○これについての日本のさらなる加担はもっとも危険な選択
○中国も韓国も懸命に平和を求めている
○解決は可能だ
*韓国「民弁」弁護士から学んだこと

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