憲法ニュース 2005年3月16日 《No.1》

 「二度と戦争をしない」と誓った日から「60年」。平和な世の中を支えてくれたのは、世界に誇れる平和憲法があったからです。その憲法がいま、崖っぷちに追いやられています。
 国公労連は、04年8月の定期大会で「あらゆる課題と結合し、あらゆる課題に優先」して改憲反対の運動を強めることを確認しています。現時点では、「改憲策動を許さず、憲法が輝く職場と社会をめざそう」と改憲反対署名や「憲法語り部登録」運動などをすすめています。
 このニュース(月2回発行予定)は、それらの運動を全国、全職場で進めるため、時々の情勢や、職場・地域の先進的なとりくみを紹介していきます。

●自衛隊「軍と明記」〜表現・結社の自由制限も
   −自民党新憲法起草委員会が中間報告(論点整理)まとめる−
 自民党新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)は3月14日、新憲法草案試案の4月策定に向けた中間報告(論点整理)をまとめました。
 焦点である第9条に関しては、自衛権や軍隊の保持を明確化し、国際協力を中心的業務として明記。また、青少年への悪影響を理由に「表現の自由」に制限を加えるほか、「結社の自由」にも制約を加え、国や社会秩序を著しく害する団体の制限などを盛り込みました。
 中間報告は、10分野で構成される小委員会の先月からの議論を集約、整理したもの。会議では、前文を全面改定し、「自主憲法」であることや、日本の「歴史、伝統、文化」を盛り込むなど保守回帰の国家像を描く内容となっています。第9条1項は維持するものの、2項を改定して自衛隊を「軍」と位置づけ、新たに海外派兵を意味する「国際協力」の規定も加えます。海外での武力行使を可能とする集団的自衛権の行使については、「自衛権を明確化すべきだ」との意見が大勢をしめ、容認する方針。ただし、条文には明記せず、具体的な要件は「安全保障基本法」で規定するとしています。

●改憲動向に反撃を!
   −第2回憲法改悪阻止反対闘争本部ひらく−
 国公労連憲法改悪阻止闘争本部は2月18日、東京都内で第2回闘争本部会議を開催しました。
 静岡大学の小沢隆一教授を招き、「自民党憲法改正草案の批判的検討〜財界の改憲構想にもふれて」について学習会を行いました。自民党と経団連が憲法9条2項を「改正」し集団的自衛権の行使を狙っている危険な情勢を分析しつつ、平和憲法を守る大切さを確認しました。
 また、全教書記長の東森英男さんが「3・26憲法・教育基本法改悪を許さない全国大集会に参加を」と参加者に訴えました。
 続いて、小田川闘争本部事務局長(書記長)が「国公退職者9条の会」発足などの動きを紹介したうえで、今後のとりくみを提起(下記参照)。「憲法の語り部」組織化、改憲反対署名の追い上げ、「公共サービス商品化」反対宣伝行動と連携した、4月以降の地域にうって出る運動強化、憲法遵守職場宣言決議採択のとりくみ提起など、ひき続くたたかいを意思統一しました。

☆当面のとりくみ補強
1 運動の交流
  ニュースの発行、ホームページの活用
2 確認したとりくみの完遂
  憲法「語り部」登録 【3月末までに1000人を目標】
  署名の期間内目標達成 【4月末までに一人10筆の目標達成】
3 署名提出行動
  集中日として5月20日を確認
4 憲法遵守職場宣言 【4/18〜28】
  「決議」は国公労連に集約し、5/20中央行動で活用
5 宣伝行動の強化など

●憲法の素晴らしさを学習して組合員が一人90筆の署名を集約
   −全建労四国地本中筋川支部−
 【全建労発】中筋川支部(四国)では、2月9日に本部学習資料・学習の友を用いて「憲法学習会」を開催し日本国憲法のすばらしさ・9条の大切さを学習し、署名をしっかりとりくもうと意思統一を行いました。学習会から数日で非常勤職員(Aさん)の組合員が90筆近い署名を集約しています。

=A さんの話=
 自分に何が出来るか悩んでいる時にちょうど学習会、署名の話があって、学習会までに自分ができる範囲で勉強しよう!署名もできる限り声かけて集めようって決めて、今の自分に出来ることを精一杯頑張るしかないって思ったんです。
 自分が勉強したことを母に話したら、母も興味をもってくれ、「署名集めてるんやけど」って言ったら「職場の人にももらって来てくれる」って言ってくれました。おばあちゃんも近所の人にももろうちょっちゃうって、自分自身ではバレーのメンバー、自分の行動範囲で知ってる人に声かけて署名してもらいました。その中で、戦争を知ってる人もいて、「もう戦争はしたくない」って言ってたんです。署名集めてる中でこういう戦争時代の話も聞かせてもらって、私自身は戦争を経験したことはないが、こうやって戦争もう二度としたくないって思ってる人達のためにもやれるだけの事やらんとって、逆に励まされました。

 このような教訓から2月18日、中筋川支部では「中筋川9条を守ろう会」を発足しました。会の中心は中筋川支部ですが、国民全体の問題として捉え、職場の全ての労働者を視野に、今後「会」への参加を訴えて行くこととしています。

●国民とともに大きな世論をつくりたい 「護憲ライダー」誕生!
   −兵庫県国公−
 【兵庫県国公発】憲法改悪を阻止する最後の砦は国民投票です。国民の過半数が「憲法改悪反対の立場に立つと、いくら改憲派議員が9割でも憲法改悪は阻止できます。このことを国民に広く訴え、「憲法は国民を守り、時の権力者を規制するもの」、「単に"憲法改悪反対"ではなく、憲法がいかに国民にとって大切か」ということを知らせよう、その運動に全力をあげようと、人目を引き、職場の関心を得、わかりやすく憲法問題を職場、国民に訴える媒体として、"訴えたんジャー"に続く第2弾のヒーロー"護憲ライダー"を誕生させました。現在、毎月第1・第3水曜日に元町駅前での街頭宣伝行動、各団体が主催する「平和市民の会」「憲法改悪反対決起集会」「憲法学習会」などへの「興行活動」、「護憲ライダー通信」の発行(各ライダーが憲法の各条文を担当して訴えるための学習も)などの活動を行っています!

●「国公退職者9条の会」結成総会〜4月7日〜
 国公OB会、国公退職連、国公労連顧問・嘱託の代表が準備会事務局を担い、「憲法9条改悪を中心にした日本を『戦争する国』への転換を許すわけにはいかない」との立場から、「『9条の会』に賛同する国公退職者の会(略称・国公退職者9条の会)」発足の準備にとりくんでいます。
 2月1日に関係する会、個人に、「呼びかけ人依頼」運営要綱と賛同署名用紙、憲法9条の会のアピールを発送し、3月16日現在、氏名公表賛同者は116名、賛同署名者は31名で合計147名が賛同の意志を表明しています。
 4月7日(木)には、「よびかけ人」同意者78名が「国公退職者9条の会」結成総会を17時30分から商工会館(千代田区霞が関)で開催します。自由法曹団団長の坂本修弁護士を講師に、「記念講演会」も企画されています。

●【「9条の会」など各地のとりくみ】

◆「9条の会」横浜講演会に5000人超える
 「9条の会」が主催する6回目の地方講演会が、2月25日横浜市で開かれ、寒風のなか、第一、第二会場をあふれる5000人余が参加しました。
 「9条の会」のメンバーが「8月15日にさかのぼって」(大江健三郎さん)、「”サラダ社会”をつくろう」(小田実さん)、「今、分かれ道に立っている」(加藤周一さん)などと、熱気をこめて9条守る意義を参加者に訴えました。また、実行委員会よびかけ人の一人、脚本家の小山内美江子さんが病をおして参加し、日本国憲法9条を生かすことが国際的な意味をもっていることを訴えました。(「9条の会」ニュース第29号より転載)

◆ヒロシマから「9条改悪ノー」
 「9条の会」が主催する7回目の地方講演会が3月12日、広島市で開かれました。小雪の舞うなか、バスを仕立てた福山など県内だけでなく、山口や島根からの参加もあり、第一会場から第四会場まで2700人が参加しました。
 講演会では、大江健三郎さん、鶴見俊輔さん、澤地久枝さん、いずれも被爆地・広島への思いをこめ、9条擁護を訴えました。
 参加者からは、「原爆で焼かれたとき、戦争は終わったと思っていました。でも、憲法の改悪を阻止しないと戦争の本当の終わりはできません。一人ひとりががんばらないといけない」など多くの感想が寄せられました。(「9条の会」ニュース第30号より転載)

◆福保労「憲法を生かす福祉職場宣言」運動
 福祉保育労働組合は、憲法を生かす福祉職場共同宣言の運動を開始しています。社会福祉法人の理事長や保育園の施設長に対し、「子ども、障害者、高齢者の命と日々向き合い、人権を守り、保障する仕事をしている私たちは、何よりも平和を愛し、平和な日本と世界が永久に続くことを願います。私たちは、憲法9条と生存権保障を明記した憲法25条をしっかりと結びつけ、憲法改悪反対の世論を広げるとりくみを強め、日本がアメリカの引き起こす戦争に参加する動きを何としても止めたいと考え、福祉職場から憲法を生かす福祉職場宣言を発していきたいと思います」とし、それぞれの経営者に「憲法を生かす職場宣言」を共同で宣言し、施設内外に「職場宣言」「プレート」を掲げるよう申し入れる活動をしています。(「憲法改悪反対共同センターニュース」19号より転載)

☆講演会や集会のお知らせ☆

◆「9条の会」福岡講演会
・日 時   3月19日(土)14:00開会(13:00開場)
・会 場   福岡サンパレス
・講 師   奥平康弘、鶴見俊輔、小森陽一
・参加費   1000円   ※問い合わせは092-752-3208
◆いまこそ平和を守るとき 国際共同行動3・20集会
・日 時   3月20日(日)午後1時30分開会、集会後、デモ行進が行われます。
・会 場   東京・日比谷野外音楽堂
・スローガン  (1)イラク占領反対、自衛隊の撤退を(2)STOP有事法制(3)許すな憲法改悪、守ろう9条
◆憲法・教育基本法改悪許すな!3・26全国大集会
・日 時   3月26日(土)13:00〜15:30
・会 場   東京・有明コロシアム

★憲法改悪阻止に向けた単組・県国公の様々なとりくみ(署名行動や学習会など)のメール通信やFAXをお寄せください。次号は3月下旬の予定です!
以 上

× 閉じる ×