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国公労連は、12月9日、行革推進事務局と「3法一括提案」問題で交渉を行いました。今回の交渉は、推進事務局が去る11月26日の交渉で「3法(国公法、能力等級法、給与法)案の一括提案を念頭に作業中」と回答したことを受けて実施したものです。この「3法一括提案」問題は、「大綱」決定以降の推進事務局の回答や「新人事制度2次原案」に関わる交渉・協議の経過に照らして、背信行為ともいえる「方針変更」であり、国公労連としてその不当性を厳しく追及するとともに、実質的な交渉・協議の明確化を迫りました。この交渉には、国公労連から堀口委員長、山瀬副委員長、小田川書記長、岸田書記次長、横山・山谷両中央執行委員の6名が参加し、行革推進事務局から公務員制度改革推進室の春田室長、高原参事官ほかが対応しました。交渉の概要は以下のとおりです。(注:○国公労連、●行革推進事務局) 【国公労連の主張(1)】「3法一括提案」の真意を明らかにせよ 交渉の冒頭、堀口委員長は、「本日の交渉では、先ず組織と組織の信頼関係についてどのように考えているのか、どのように調整しようと考えているのか、室長の明確な考えをお聞きしたい」と切り出し、「これまで何度も交渉・協議を行う中、その節目節目で推進事務局は、制度のあり様、基本設計への対応などで公務員制度改革の全体が交渉・協議の対象であり誠意を持って進めると言ってきた。だからこそ、国公労連としても、新人事制度2次原案の中身について交渉・協議を重ね、労働基本権制約の『相応の措置』に関する『議論のたたき台』が出されれば、それについての問題意識を述べ、評価制度の試行問題についても真摯に内部で議論するなど、誠実に対応してきた」とこれまでの経過にふれたうえで、今回の「3法一括提案」の重大な背信性を厳しく指摘しつつ、以下の4点について推進事務局の回答を求めました。 (1)通常国会を念頭に3法案を一括して提出する方向で作業中ということだが、その理由と検討スケジュールを明らかにされたい; (2)国公労連との交渉・協議は十分にできていると考えているのか、その到達点についての判断を明らかにされたい; (3)国公労連との議論経過に照らせば、3法案を一括して提出するということはあり得ず、検討すること自体が背信行為ではないか; (4)一方で、評価制度の試行についての協議を提案しながら、その前提となる人事制度を先に決定する手順は納得できない。新人事制度の根幹が評価制度である以上、それが当初の想定どおり実施できないなら、新人事制度そのものの見直しも必要ではないか。 【推進事務局の回答(1)】「3法一括」は決定したわけではない これに対し、推進事務局の春田室長は、要旨次のとおり回答しました。 ● 現在、昨年末の「大綱」や今年春からの「新人事制度2次原案」に係る議論等をベースに、国公法以外の法体系を含めて、制度の法制化に向けた検討を進めているが、内閣法制局にもどういう形で詰めていったらいいか相談をしてきた。特に、能力等級制度や給与制度の基本の枠組みに関し、それらの内容についてある程度検討されていないと国公法の法制的内容が固められないとの認識が内閣法制局から示された。国公法改正案の検討に合わせて、能力等級制度の枠組みを定める能力等級法や給与法についても国会で法制的な内容を説明する必要があり、平行して国公法と同時期に検討することとしたものである。ただし、現時点でどういう形で国会に出すのかは決まっていない。法制的に詰め、下位法令の考え方の議論を進めつつ固める作業をしていきたいと考えている。その過程で、みなさんと協議・相談していかなければならないと考えている。 ● 2点目の十分な交渉・協議ができているかについては、我々としてはいろいろやってきた。今後、これまでの議論や「たたき台」の下位法令の考え方の議論もふまえつつ、法律案の内容を固める作業をしていくが、今後の検討に当たっては、職員団体と誠実に交渉・協議を行っていきたい。今までの交渉・協議では「たたき台」など十分中身に入っていないとのご指摘があるが、どう議論するのかも含めて、交渉・協議を誠実に進める努力をするので理解してほしい。 ● 3点目だが、2次原案は新人事制度の内容を固めていくためのもので、平成18年度目途の新人事制度への移行にむけては、法律や下位の法令・規則・運用のルールなど検討課題がさまざまある。ご指摘のとおり、現段階では、能力等級制度、給与制度、評価制度など各種制度の内容は十分固まっていないが、国公法、能力等級法、給与法の3法はそれぞれの制度の基本的考え方や大枠を規定するものと考えている。今後の検討や議論を通じて、これら3法の内容について整理・とりまとめるとともに、引き続き2次原案をベースに制度の詳細を検討し、それをふまえて下位法令等の内容を固めていきたいと考えている。そのためにも、これまでの議論等をふまえ、さらに実質的な議論を前広に行うなど実のある交渉・協議を行っていきたいので、意見をもらいたいし相談もしていきたい。 ● 4点目の評価制度については、新しい制度であるし、試行を含めて非常に重要な制度と認識している。国公法、能力等級法、給与法やその他の下位法令に規定していくこととなるが、法制度としてどう書いていくか検討しているところだ。これまでの理解として、先ず国公法を改正し、能力等級法や給与法など下位法令等の内容については、評価の試行を含めた今後の検討によるとの認識から、3法案を同時に検討するのは納得できない、撤回せよ、というみなさんの主張は承知している。しかし、評価の試行の最終目的は、平成18年度目途の新制度への移行に向けて、新評価制度を固めていくためのものと認識している。評価に関連して3法にどういう規定を置くかなどについては、法案を出すまでの評価制度の固まり具合を考慮しつつ決めていき、それ以下の下位法令等については、評価の試行を含め、今後の検討をふまえて固めていくことを考えている。 【国公労連の主張(2)】「改革の進め方」の不当性をさらに追及 以上の回答を受け、交渉団は、公務員制度改革の「進め方」の不当性を中心に、推進事務局の検討姿勢をさらに追及しました。 ○ 10月23日にも申し入れたが、50万国家公務員全てに「能力等級制」を前提とする人事管理制度を持ち込むことに納得していないし、能力等級法も合わせて議論したいというのなら、なおさら協議は不十分だ。能力等級制が2次原案のままでうまく運用できるのか、それが公務員制度の基軸になりうるのか疑問だ。この間、2次原案をもとに議論してきたが、多くの疑問に回答しておらず、具体的な交渉・協議に至っていないのが実際ではないか。これについて推進事務局はどう考えているのか。 また、能力等級制を公務員制度の基本とするのであれば、国家公務員50万のみならず、地方公務員も国公法が前提となる以上、地公法も含めた基準の制度とならなければ制度の調和がはかれないはずだ。さらには、特別職である国会、裁判所、防衛庁も含めて、職階制に代わる能力等級制を導入できるのか、関係者の合意が図られているのか。 ● 推進事務局としては、能力等級制を基本に新人事制度を組み立てることをめざして作業している。これを他職種にどう当てはめるかについては、まだ途中のところがあり、そこは議論を深める必要がある。そういう議論をふまえた上で、能力等級制を国公法と合わせ、法律的な意味で制度的な検討をしていかなければならないと考えている。 地方公務員との関係や公務員制度全体のことも含めて、十分議論していきたいと考えている。法制上の議論ということでは、当然、国公法だけではなく、能力等級制度や給与制度の仕組みにある程度広げた形での議論が必要だと思っている。必ずしも明確でない部分も多々あるが、3法の固まり具合をベースに職員団体とも交渉・協議したいと考えている。それまでには時間的にまだ少しかかると思うが、皆さんの疑問や不安もよく理解できるので、実質的な議論ができるよう前広な検討を行いつつ、最後は条文ベースの交渉・協議につなげるような形で進めたいと考えている。 ○ 我々が言ったのは国公法ベースでの問題だ。そこのところが必ずしもクリアになっていないのに先に行けるのか。給与法についても、国公法以外の法制との関係整理や、給与勧告の基本でもある民間賃金実態調査と俸給表の関係整理、代償機関との意見調整などが必要となるが、そこはどう考えているのか。 また、給与制度の変更は、労働条件の根本の変更であり、進め方に関わっても労働基本権上の問題が生じるはずだ。仮に、法制度の企画立案は内閣の権限だと考えているのなら、現行の代償機関にも触れることになり、その関係をどう考えているのか。実質的な交渉・協議をしていくというが、ILOでも指摘されたように、その中身や結果が問題であって、そこは保障されるのか。 ● 給与法については、具体的な検討をやっているところであり、話が詰まってきた段階で協議したい。代償機関との関係では、人事院と案の段階で協議してきており、最終的に人事院がどう関与するのかは、法律上は国公法第23条の「意見の申出」に関わって、人事院の判断待ちだ。 ○ 人事院が自らの権限を使うかどうかは、人事院側の問題だというが、そうすると推進事務局との「実質的な交渉・協議」はどう担保されるのか。 ● 給与法改正の中身について、みなさんとの協議を内容を深めて行う、ということを考えている。 ○ 「内容を深める」とは、法令改正に当たって、先ず交渉に応じる義務があり、我々の問題意識をふまえて努力するということか。 ● 基本的に、推進事務局には制度について交渉・協議を受ける責任があるという立場でやっている。交渉・協議の中身についても、よく詰めて、みなさんとの間でまとまるかどうかわからないが議論をつくしていきたい。 ○ しかし、この間の議論は、検討中だとか下位法令の話だとかの回答ばかりで、全体像がまったく見えてこない。3法一括にならざるを得ない、全体を視野に入れなければならないというなら、検討中だとか先の話だとかの回答はやめてもらいたい。そういう意味で、実質的協議をするということか。 ● 推進事務局としては、法律を作っていろいろな段階を経て、新しい制度を運用にまでこぎ着けるわけだが、枠組みをどう作るのかが当面の課題となっている。事柄に応じてとなるが、どういう内容で法改正するのか、中身をずっと明確にしないまま議論できるとは思っていない。今の時点で、内閣法制局との話もフィードバックしながら、法律の枠組みの決め方について、いろいろなアプローチを工夫して交渉・協議できるようにしていきたい。それが実質的な交渉・協議を保障するということだ。 ○ 労働条件性についてもう一つ課題があり、それは「議論のたたき台」の中身の区分けが必要だということだ。現時点では漠然としているが、国公法、能力等級法、給与法について話をするなら、当然、具体的議論になってくる。その点に関する現時点での考えを示してもらいたいし、今後の実質的な交渉・協議を保障すべきだ。 ● 推進事務局としても、具体的にどう交渉・協議していくか考えたい。皆さんから意見をもらいたいし、協議の仕方について相談しなければと考えている。私どもも実質的なものになるよう努力するし、みなさんの理解が得られるよう工夫したい。 【推進事務局の回答(2)】“申し入れ”を受け止め、議論つくす 以上のやりとりを経て、交渉団は、最終的に以下の確認を迫りました。 ○ 強行的に3法一括で法案を提出するのではなく、我々との今後の交渉・協議の結果もふまえて総合的に判断していくのか。 ● 「3法一括提案」を決定したわけではない。あくまで法制局との関係での話だ。今後、法制的な検討を含めて、協議しながら進めていきたい。 ○ 新人事制度2次原案の今後の扱いはどうするのか。新制度のベースにするとしているが、交渉・協議が現段階で十分ではないことは共通の認識と理解してよいか。 ● 2次原案については、細かなところまでまだ検討できていないと言ってきたが、法改正や下位法令にまたがる部分など、3法に関係するところを詰めていかなければならない。具体的な運用や枠組みに関わる問題であり、事柄に応じて議論を深めていきたい。 ○ この間の進め方には強い不満を持っている。労使の立場から交渉・協議の実質化を図り、労働組合が納得できる結論を追求すべきだ。その点では、先に結論・スケジュールありきの対応を行わないよう強く申し入れておく。 ● その申し入れは受け止める。議論をつくす姿勢で臨んでいく。 ○ ILO勧告とも関わって、国公法「改正」段階での労働基本権問題の論議を同時に行う必要があると考えている。この問題で別途交渉を申し入れているが、その論議も能力等級法や給与法に関わる今後の交渉・協議の進め方に含まれているということでよいか。 ● 結構だ。議論の進め方や内容も出しながらやっていく。 ○ 国公法などの法案化に際しては、新人事制度2次案をベースにしつつも、今日の段階でも何をどのように法案化するのか明らかでなく、交渉・協議の内容も確定していない。推進事務局として、交渉・協議に必要な内容やスケジュールがこれから提案されるものと受け止めるがよいか。 ● 交渉・協議の材料を出しながら進めていきたい。 以上のとおり推進事務局の再回答を受け、最後に堀口委員長が「今日は推進事務局の基本的な考え方を聞いたが、交渉・協議の進め方など具体的な対応は今後の課題となっている。これまでの経過やILO勧告が出されたことをふまえ、改めてアプローチがあるとのことだが、我々の申し入れを受け止めた検討を求めたい」と述べ、この日の室長交渉を締め括りました。 | |||
以 上 |