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冒頭、行革推進事務局の堀江事務局長は「国会も大詰めを迎えており、今国会への法案提出はあり得ないが、皆さんの意見も聞きながら、作業を進めなくてはいけない状況になっている。こうした中で、6月9日に与党の行財政改革推進協議会が開かれ、そこに金子担当大臣も呼ばれ、そこで取りまとめられた『今後の公務員制度改革の取組』について申し入れがあった。与党からの申し入れであり、政府としても重く受け止めなくてはならないと考えている。そこで、最近の状況とこの申し入れの内容を国公労連に説明させてもらい、今後、意見交換していきたいと考えている。組合とはいろいろ立場は違うにしても、できるだけ一致点が多くなればいいと思っているので、今後いろいろと意見交換していきたい」と、基本的な考えを述べました。 |
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その後、春田室長がこの与党「取組方針」にもとづき、この間の経過をふまえて要旨以下のとおり説明しました。
与党側は、自民党の片山委員会ほか、公明党もそれぞれ党としての基本的な考え方を整理したうえで、与党協議が実務者協議を含めて連休の前後に集中的に行われ、それらをふまえてまとめられたのがこの文書である。最初の2枚が基本スタンスで、「能力等級制を導入し、能力・実績主義の人事管理を実現すること」と「退職管理の在り方を見直すとともに再就職の適正化を図ること」が改革の二本柱であり、それぞれに具体的な別紙1と別紙2が付けられ、最後に参考として「片山メモ(2004/3/5)」が付けられている。9日に金子行革担当大臣が与党の両幹事長から申し入れがあり、本日(6/11)の閣議後の閣僚懇談会で、金子大臣から各大臣に、この経緯とともに、今後関係各位ともよく協議しながら検討していくことなどが報告された。以上がこの間の報告である。 |
国公労連:「大綱」やILO勧告との関係など6点について追及
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これを受けて、堀口委員長は、「公務員制度改革をめぐる課題の重要性と、与党の『取組方針』が出されたことの影響の大きさなど、事態の変化については認識している」としたうえで、「これまでの議論の積み上げをふまえれば、誠実な交渉・協議が必要であり、ILO勧告でも全ての関係者との全面的で率直かつ意味のある協議を求めている」として、「まずこのことを確認したい」と発言しました。
これに対し、堀江事務局長が「誠実に交渉・協議を行うということは承知している」と回答したことを受けて、小田川書記長は、行革推進事務局の検討作業にかかわって、以下の5点について質しました。
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1. |
与党の「取組方針」と公務員制度改革「大綱」との関係はどのように理解すればよいか。「大綱」では、超過勤務縮減や男女共同参画なども主要な改革課題とされていた。議論する「幅」について、推進事務局はどのような考え方を持っているのか。 |
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与党の申し入れにも、能力等級制の導入と退職管理のあり方の見直しが柱の中心だが、それ以外にも、いろいろなことが書き込んである。与党が精力的に検討した上での申し入れであるので、重く受け止めて、考え方の中心にせざるを得ないと思っている。
中には「大綱」と異なっているところ(再就職のあり方など)もあり、どうしていくか思案が必要だが、場合によっては「大綱」自体が変わっていくこともあるだろう。秋の臨時国会に法案を提出するとも言われているが、そうしたスケジュールなども頭に入れていくと、他に関連する項目もあるけれども、先の二つが柱になっていくのではないか、と考えている。
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2. |
与党の「取組方針」には「労働基本権の在り方等についても幅広く意見交換を行うこと」とあるが、これも「労働基本権制約は現状維持」とする「大綱」との関係をどう考えているのか。また、ILOから2回にわたって勧告を受けており、前提条件をつけず、代償措置のあり方など幅広く議論すべきだと考えるがどうか。 |
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「大綱」には「制約を維持」と書いてあり、公務員の労働基本権は使用者である国民がこれを認めるかどうか大きな問題がある。公務の公正さの確保など、いろいろ考えなければならないこともある。しかし、議論すること自体は否定しないし、与党の申し入れの二つの柱の中で関連するものや、周辺部分の話も出てくるのではないかと思っている。
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3. |
給与制度については、人事院の検討に委ねることとなったと承知しているが、その場合、「職務を基本とし実績を反映したメリハリのある給与処遇」の検討にかかわって、任用との調整などはどう考えているのか。とりわけ、政府の「骨太方針2004」でも言及された公務員賃金水準の地場賃金準拠の検討との関係は、現段階でどのように考えているのか。 |
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調整には主体の調整と内容の調整の二つが考えられる。新しい任用制度は推進事務局が中心になって検討し、その後制度官庁とよく話し合っていくことになるし、給与制度についてはまず人事院が中心になって検討していくことになると思われる。また、「骨太方針2004」との関係は推測になってしまうが、そちらは内閣府で検討されており、地方給与の件も入っているが、片山委員会で突っ込んだ議論はされていないと承知しており、直接の影響はないのではないか。
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4. |
現行の国家公務員法第1条の目的、「公務の民主的かつ能率的な運営」に資する公務員制度、という基本の目的は変更しないことを確認して交渉・協議を開始するということでよいか。 |
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公務員制度の基本的な枠組みまで変えるという議論はしておらず、そうしたことは考えられない。
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5. |
各省や専門機関の意見の調整役としての推進事務局の役割であるとして、労働基本権の代償措置である人事院の機能と、我々との交渉・協議との関係は、現段階でどのように整理しているのか。 |
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基本的には、今回は与党の中でこのようにまとまったという話であって、人事院勧告制度の中の話であると思っている。代償機能との関係で制度をどのように組んでいくのかということはあり、その点は今後も皆さんと協議していきたいと考えている。人事院も制度に関する部分は整理していると思う。人事院が役割を果たしていることを前提としている部分は、今ある制度を基にして検討していくことになるのではないか。
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6. |
交渉協議の進め方ともかかわるが、まずスケジュールありきではなく、我々の納得と合意を得ることに最大限の努力を求めたい。 |
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分かった。
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最後に堀口委員長は、「今回の与党『取組方針』の説明内容に対する是非は改めて表明する」としたうえで、「本当に活きた制度にするために汗を流そうと言ってきたが、そのためにはILO勧告の権利性をどう担保していくかが重要となる。また、法案化のスケジュールと今回の与党『申し入れ』を重く受け止めざるを得ないということであるが、初めに言った『できるだけ一致点を見出したい』という姿勢と矛盾をしないよう強く申し入れておく。今回示されたペーパーにもいろいろ疑問や問題点があり、今後の論点整理や関係する交渉・協議に誠実に対応するよう求める」と強調しました。
これに対し、堀江事務局長は「今回は新たな始まりである。与党の方針にどこまで言えるのかということはあるが、国公労連との相互理解が進むよう責任ある立場で対応していきたい」と回答し、今後の誠実な交渉・協議を再開することを確認しました。 |