2004年8月12日《No.176》 |
8月中の法案確定めざす行革推進事務局が
新たな2文書「骨子(案)」「参考メモ」を説明 国公労連は、8月11日(水)午後から、行革推進事務局と交渉を実施しました。 この交渉には、国公労連から山瀬副委員長、小田川書記長、岸田書記次長のほか、「能力等級制プロジェクト」の全通信・狩野書記長、全運輸・安藤書記長、全労働・鎌田書記次長(代理出席)を含めて9名が参加し、行革推進事務局からは笹島参事官と、前回に引き続いて「能力等級制」担当の岩崎・坂口・松重の3名の企画官ほかが対応しました。以下はそのやりとりの概要です。(注:○国公労連、●行革推進事務局) なお、行革推進事務局は、8月5日に国公労連に対して「国家公務員制度改革関連法案の骨子(案)」(以下「骨子(案)」)を明らかにした際、これを説明・補足する文書を別途提示すると回答をしていましたが(闘争NEWS No.175参照)、同日後刻、その文書として「国家公務員制度改革についての考え方(補足説明用参考メモ、その1〈PDF247KB〉、その2〈PDF150〉)」(以下「参考メモ」)を国公労連に提示しています。 推進事務局 「(2文書は)現時点の考えを示すためのもの。決定事項ではない」 冒頭、笹島参事官から2つの文書の性格について、要旨以下のとおりの説明があり、その後、担当企画官が同文書を読み上げて説明をしました。 ● 先週の木曜(8/5)に、「骨子(案)」と「参考メモ」を自民党・片山委員会及び公明党に提出し、併せて国公労連にもお渡しした。これらはあくまでも現時点での推進事務局の考え方を示すためにつくられたものであり、決定されたものではない。制度官庁といろいろなレベルで意見交換をしており、国公労連とも十分意見交換していきたいと考えている。 「骨子(案)」の評価基準など制度の詳細については、項目シートなどをどうするかについて内部でまだ調整中であるため、この場では十分具体的になっていないが、明日(8/12)、各府省に対して説明会を行う予定であり、国公労連とも13日に話し合いを持つ予定である。評価基準や能力等級表は、別途、説明の場を設けたい。明後日には現時点の案として能力等級制の具体的仕組み(表の種類、地方との関係、等級数など)を説明し、国公労連から意見をいただくかたちで今後の議論を進めていく。今日は「参考メモ」を中心にして、能力等級制について説明したい。 国公労連:「聞くほどに新しい疑問が湧いてくる。」要旨6点にわたり推進事務局を追及 説明のあと、小田川書記長は「説明を聞くほどに新しい疑問が湧いてくるが、これまでの疑問と併せて、以下の点についてうかがいたい」と切り出し、要旨次のような質問で推進事務局を追及しました。 ○ 推進事務局は、能力等級制を導入することで、誰の意識をどのように変えようとしているのか。能力等級制を導入しなければ、本当に問題は解決出来ないのか。また、能力等級制は、30万人を超える全体の公務員の職場を見越したうえで制度設計をしているのか。○ 新たな評価制度では、「評価者と被評価者との間のコミュニケーション」という言葉を使っているが、評価される側の権利性が保障されるべきだ。評価結果に対する認識の不一致や評価に納得できないなど不満があるときの異議申し立ても含めて、被評価者の利益を守る制度を考えるべきだ。 ○ 「能力等級制は、任免の基礎となる制度」とあるが、給与や分限との関係はどうなるのか。降任が分限の範囲だと言うが、降任が不利益処分であるという位置づけは変わらないのか。 ○ 能力等級ごとの職務遂行能力の設定は、内閣総理大臣が人事院の意見を聞いて定めるとなっているが、具体的な事務所管はどこになるのか。例えば専門職である官職の分類は、各府省が決めることになるのか。その場合の省庁間の統一性や公平性はどう担保するのか。各省が官職分類の裁量を持つのであれば、任命権者と組合との間で協議する仕組みを同時に検討すべきだ。 ○ 発揮された能力を任用の重要な判断材料とするとあるが、「適性」などそれ以外の要素はどうなるのか。評価制度と任用の関係は、曖昧さをなくす方向で考えるべきだ。「適性」の口実で、「性格(意欲)」などを任用にあたっての勤務成績に含める余地を排除すべきではないか。 ○ 任用の根本基準にかかわっての努力義務を検討するのであれば、例えば家庭責任を有する職員への配慮なども検討すべきではないか。 推進事務局:「我々としても十分努力したもの。」ただし詳細の説明は明後日(13日) これに対し推進事務局側は、「『参考メモ』は、これまで質問を受けたものに十分答えていないかもしれないが、我々としても十分努力したものである」と前置きしたうえで、要旨以下のとおり回答しました。 ● キャリア制度の問題が様々指摘されていることは承知しており、運用上の改革の必要性も十分に認識している。「骨子(案)」は人事院の意見もふまえてまとめてあり、能力等級制の導入によって管理職の登用も能力本位でおこなっていくことになる。これによって、先ず、人事管理全体を能力本位でおこなう制度的基盤をつくろうというのが、今回の改革の目的である。 ● (勤務評定制度に関する公務員制度調査会の)問題指摘などはふまえて制度設計したつもりである。「評価者と被評価者との間のコミュニケーション」とは、被評価者に単に評価し、その結果を伝えるだけでなく、評価結果をふまえて育成の観点から指導をしていくことに眼目がある。 ● 能力等級を能力実証の基準とすることが制度の大きな目的であり、従って任免の資料として能力評価が最も中心に位置することになる。降任が分限の概念に含まれることや、不利益処分であるという位置づけは変わっていない。 ● 職務遂行能力の設定については、中央人事行政機関たる内閣総理大臣が所管することとなり、具体的な事務は総務省人事・恩給局が執りおこなう。能力等級に基づく官職分類も、当然、予算の範囲内であるから、級別定数との整合性は取らなければならず、能力等級だけで一方的に給与が決まる制度にはなっていない。統一性確保などは、これからの検討課題だ。 ● 能力の実証に基づく任用をおこなう新しい制度であるが、人材をプールしてどのように活用していくのか考えなければならない。また、個々の職員の能力開発にもつなげたいと考えている。評価は、職務を遂行するうえで発揮された能力を職務遂行能力基準に照らしておこなうことになる。「性格」などは評価項目に入れないようにする。個別官職に就くことで職員の能力等級が決まることもあり、「研究に向いている」とかの適性や欠勤したかどうかなどの勤務成績も総合的に見て、任用がおこなわれることになる。その際(任用)の主要な判断材料が評価結果という設計だ。 国公労連:「明示がないと不信感煽るだけ。明後日(13日)の交渉で詳細な説明を求める」 以上のやりとりの後、小田川書記長は改めて「能力等級や評価制度についてもっと具体的な明示がないと議論が堂々巡りになり、不信感を煽るだけにしかならない。明日、各府省に説明をおこなうということなので、国公労連にも早急に詳細を明らかにするよう求めておく」と強調したうえで、引き続き8月13日(金)午前に交渉を行うことを確認し、今回の交渉を打ち切りました。
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