2004年12月7日《No.187》

推進事務局長「改革の迷走は労働組合の責任」
−−反省もなしに強硬姿勢だけを示す−−

 国公労連は、12月6日(月)11時から行革推進事務局と交渉を行いました。
 今回の交渉は、国家公務員法改正法案の取り扱いが不明確なまま臨時国会が終了したことに加えて、9月以降、国公労連と正式な交渉が持たれていない状況にあることを踏まえ、以下の点での追及と推進事務局の見解を明らかにさせるために行ったものです。

1) 10月26日に非公式扱いで室長に申し入れた点(1.労働基本権制約は現状維持とする等、都合の良いところだけ「公務員制度改革大綱」に固執し、「大綱」とは似て非なる能力等級制を示しながら、制度の全体像についての議論を避けていることが、公務員制度改革が混乱している主な原因であること、2.したがって、「一からの再協議」も含めて検討すべきであること、3.今後の進め方についての国公労連の意見反映)についての検討状況と責任者としての見解を明らかにさせること
2) 「もう少し交渉するのか、見切り発車して来年の通常国会でやるかは官邸や党ともう一度相談して12月中旬までには方向を示したい」と村上行革担当大臣が発言したと報道(11/26・共同通信)されていることの真意を糾し、今後の進め方に関わる協議を再確認させること

 この交渉には、国公労連から堀口委員長、山瀬・盛永両副委員長、小田川書記長、岸田書記次長、太田・川村両中執が参加し、行革推進事務局からは松田局長、磯部室長、出合次長ほか3人が対応しました。以下はそのやりとりの概要です。(:国公労連、:推進事務局)

「基本権で努力したが組合が受け入れず作業が進まなかった」と言い逃れ

 冒頭、堀口委員長は、9月9日に行った松田局長着任時の交渉の際の確認事項、約束事項について再確認した上で、要旨以下のとおり発言しました。

 10月26日の室長との非公式折衝の際に我々が主張した点への回答がないまま、この間、色々な新聞報道がでているが、極めて不満だ。
 臨時国会にも法案の提出ができなかったという混乱の原因をどうとらえているのか。今後、どう対応しようとしているのか。一から再協議を進めるつもりがあるのか回答されたい。

 これに対して、松田局長は要旨次のとおり回答しました。

 公務員制度改革は国民の理解と信頼を得なければならない大切な課題であり、その立場で職員団体とも誠意を持って話をする姿勢には変わりはない。臨時国会への法案提出をめざして作業を続けてきたが、組合側から労働基本権問題が提起され、また、評価をめぐる協議制度の問題もだされた。
 与党においても重要な問題と受け止め、努力をしてきたが(労働組合に)受け入れられなかった。(自民党と労働組合の協議を見守った)結果として、公務員制度改革法案の検討作業が進展しなかったことは残念に思っている。
 臨時国会は終了したので、今、政府・与党で今後の対応をどうするか検討しているところである。

 この回答を受けて、堀口委員長は、再度、以下の追及を行いました。

 国公労連と政府との交渉・協議が進展しなかった点について、推進事務局の責任者としてどう考えているのかを聞いていることに答えていない。
法案化にあたっては全体像を示すとしてきたが、それすら示さなかった責任はどう考えるのか。

 これに対して、松田局長は、以下のとおり回答しました。

全体像を示したかったが、こちらが基本権問題には関係ないと思っても、一方では関係があるという。並行して議論していくとの理解であるが、自民党での対応に理解が得られず、改革法の全体像をまとめることができなかった。

 「約束を反故にし続けたのは推進事務局」と追及

 このような不誠実な局長の態度に対して、

 評価制度に労働基本権が関係ないとはどういうことか。
 我々の主張を踏まえた労働基本権問題をどう検討したのか。
 9月以降、国公労連とは何を議論したというのか。国公労連との関係で議論を進めるためにどんな努力をしたのか示してみろ。

などを追及。局長は、

 労働基本権問題は、政府だけでなく与党も含めて議論してきた。それほど重要な問題であり、連携してやってきたがまとまらなかった。
 国公労連との間でも、基本権問題について十分な理解が得れない状況だと理解している。

などと、はぐらかしの回答を繰り返しました。

 「一からの再協議」には明言を避けるも、誠実な交渉・協議は確認

 国公労連は改めて、次の点の確認を求めました。

 改革の全体像を示すことができなかった、労働基本権問題の十分な交渉協議ができなかったというのであれば、もう一回、一から戻って議論を進める必要があるのではないか。その場合、混乱の原因を総括し、我々の主張と要求に真摯に応えるべきだ。
 能力等級制度の考え方、労働基本権との関係や基本権のあり方について、共通の認識が得られていない状況にあり、よく意見交換しなければいけない。誠意を持って対応する姿勢は変わらない。
我々は、我々の考えで誠意を持って対応していきたい。

 9月段階で交渉・協議がストップしていることは「しぶしぶ確認」

 国公労連と推進事務局との交渉が9月段階で止まっているとの認識は一致するのか。
 一致する。
 その認識の上に、今後の進め方について議論しよう。
 今の段階では言えない。今後の取り扱いについては、政府与党で協議中であり、議論できていない。

 公務員制度を空洞化させるのか?
 中身の議論とは別に、進め方は政府の責任と強弁


 続けて、今後の進め方での追及を行いました。

 マスコミでは、「見切り発車(村上行革担当大臣発言)」(共同通信)、「能力主義を試験導入へ」(東京新聞)などが報道されているが、これは政府の見解、議論の中身なのか。
 報道は全くの憶測のもの。大臣からも聞いたこともない。大きな話であり、政府で協議してこれから進めていくものである。
 観測記事、憶測記事だというなら、「見切り発車は行わない、評価の試行はやらない」と明言せよ。
 今後の対応は、政府与党で協議していく話。今、どうする、こうするとは言えない。スケジュールありきではない。しかし、公務員制度は政府の責任で進めて行くものもある。
 9月段階で交渉・協議は止まり、全体像も示さないという「中身のない」法案化はあり得ないし、試験導入もないというのは、この間の議論からしても当然ではないか。それも確認できないのか。
 中身の話をしてきたし、これからもする。今後の取り扱いでは政府の責任で決めていくこともある。
 この間の反省の上に立って、我々と一から話をすることを求める。新聞報道されているような見切り発車はしないと明言せよ。

 制度の具体像や労働基本権問題での論議は先送りして、通常国会への関連法案の提出方針を先行して決定することを否定しない局長の答弁に対し、きびしく抗議しましたが、局長は、「意見交換は続けていく。法案の中身、全体像とか中身の問題はまとまり次第説明していくことは変わらない。」とする姿勢を変えませんでした。
 そのため、堀口委員長は、「拙速な対応は、行政に混乱をもたらす。」、「我々を蚊帳の外に置いた決定を行うという事態になれば、重大な決意で望む」と強調し、時間切れとなった交渉を終えました。

以上