「市場化テスト」等「公共サービスの商品化」に反対し、
国民の暮らしと権利を守る公務の拡充を求める決議

 規制改革・民間開放推進会議は、年末の答申にむけて民間開放の横断的手法とする「市場化テスト」のモデル事業選定や「給付・徴収業務」などの民間開放、「混合診療」などの規制緩和の検討・作業を急ピッチで進めている。同時に、2006年度の本格実施にむけて、持続力と拘束力を持つ強固な枠組みとしての「市場化テスト法(仮称)」の議論も始めるとしている。

 「市場化テスト」は、官民の競争入札により、価格と質の面で優れた主体が落札する制度とされ、政府部門の効率化と公共サービスの質の向上、受け皿となる民間企業の活性化を進める手法と宣伝されている。
 規制改革・民間開放推進会議や経済財政諮問会議のこの間の議論でも、民間のリストラ努力に対比しての官業批判と民間効率論が強調されてきた。しかし一方で、大企業などのリストラによる正規職員の削減と派遣労働者や請負業への代替が、ものづくり基盤の崩壊やサービス低下を招いていると指摘されている。

 公共サービスは、継続的・安定的に提供されなければならない。企業の営利追求や効率性確保のため、参入の自由と同時に撤退の自由を前提とし、その業務が低賃金の派遣・請負の不安定労働者に委ねられるとすれば、国民に対する行政責任が果たし得なくなることは明白である。同時に、反対意見を排しての規制改革・民間開放推進会議の構成と運営は、議会制民主主義の原則さえ踏みにじり、一部の利益に片寄った独断的なものである。

 小泉構造改革の「本丸」である郵政民営化によって、国民共有の財産が利潤追求の手段とされ、地域での郵政事業サービスの切り捨てが懸念されている。この間、郵政民営化に反対もしくは慎重審議を求める意見書採択が全国の自治体議会の過半数を超え、保守層も含めた反対の声が広がっているのは当然である。
 また、規制緩和・改革の目玉と位置づけられていた「混合診療」の解禁について、衆参両院が「解禁反対の請願」を採択する事態もおきている。

 富の偏在や地域間の格差拡大など二極化傾向が強まり、社会不安が増大するもとで、この間の規制緩和・改革の陰の部分を検証することもなく、さらに「規制改革」を進め、「公共サービスの商品化」に拍車をかけることに、国公労連は断固反対するものである。
 私たちは、国民の暮らしと権利を守るためにも、「競争より公正な社会を」を旗印に、「市場化テスト」など「官業の民間開放」を許さず、社会保障の充実や国民の暮らしに関わる公務の拡充にむけ、国民共同のたたかいを展開するものである。

 以上、決議する。


2004年12月11日
日本国家公務員労働組合連合会
第121回拡大中央委員会